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・・・なんて、思ってた。
うん、そんなこと思ってたのって、どれくらい前だっけ?
そんな風に思ってた矢先、プロジェクトと別の本来の部署での仕事が急に入って、気づけば仕事に追われる毎日。
しかもそれがなかなかの仕事量で全然余裕がない。終わらない。
そんなこんなで毎日残業続きの日々。
そんな私と同じように樹も自分の部署の仕事が忙しくて残業続きらしく、お互い自由な時間もなく最近は会えてない。
私としては、気を遣わなくてそれは助かったというか、お互い部署でもそこそこのポジションで仕事してるからか、それは仕事優先で出来るのが有難い。
なので今は樹との週イチのプロジェクトのミーティングも飛ばしてお互いの部署の仕事優先。
お互いの仕事が落ち着くまでは自然に会う時間も連絡も控えて。
土曜日も出勤で、さすがに日曜は自分の身体を休める為にひたすら寝て自分を甘やかす時間に。
樹も特に必要以上には連絡してこない。
同じ職場でお互いの仕事状況を分かり合えるのは、案外こういう時いいかもしれない。
そして、ようやくうちの部署は今日の残業で今の仕事が落ち着いたので、樹にメールでとりあえず連絡。
『ようやくうちの仕事落ち着いたよ。樹の方はどう? まだ忙しい?』
すると樹から返って来た返事は
『お疲れさま。こっちはまだしばらく忙しいの続きそう。まだまだ夜遅くまで仕事続くと思うから、また落ち着いたら連絡する』
とのこと。
樹のとこはまだ忙しいの続いてるんだ。
じゃあまだお互いの家で会うことも出来なさそうだし、週イチのミーティングも出来そうにないか。
忙しい合間に、プロジェクトで動きがあったことだけ伝えたかったから、それを資料としてまとめて、樹の部署に届けることにした。
今の時間は普通なら皆帰ってるけど、残業組ならまだ会社に残ってるはずだから、今行けば資料だけでも樹に渡せるはず。
そして樹の部署に到着。
うん、皆まだ残業やってる。
あっ、同じプロジェクトの高杉くんみっけ。
「あっ、高杉くん。早瀬くんいます?プロジェクトの資料渡したいんですけど」
入口の近くにいた高杉くんに声をかける。
「あぁ、望月さん。早瀬? 早瀬はもう帰りましたよ?」
「えっ・・・?」
あれ?樹、今日も遅くまで仕事って言ってたよね?
「あっ、そうなんだ・・?最近お互い忙しくてミーティング出来てなくて。まだ忙しいの続くみたいだから資料だけ渡しに来たんだけど・・・」
「いや、最近特にそんな忙しくないですよ、早瀬は」
え・・どういうこと?
「オレはまた早瀬とは違う残業で今日残ってますけど、早瀬は最近プライベートが忙しいらしく、残業もないんで定時ですぐ帰ってますけどね~。女と会う時間充実させてんですかね」
え・・ちょっと待って。
樹が言ってることと、高杉くんの話が全然違うんだけど。
ずっと忙しいの続くって言ってたよね?
しばらく夜遅いからって言ってたよね?
「アイツ基本秘密主義なんで、昔からプライベート謎なんですよね~。そこがやっぱアイツのモテるとこなんですかね~」
高杉くんの話すことが更に疑問と不安を煽る。
「あっ、そう、なんだ・・」
「最近アイツ外回りがやたら多くて会社いないことも多いんで、オレその資料明日早瀬に渡しておきますよ?」
しかも会社でもそんなにいないって・・何。
「あっ、じゃあ・・これお願い出来るかな・?」
「了解っす」
高杉くんに資料を渡してその場を後にする。
よくわからない状況すぎて頭が回らない。
・・・どういうこと?
仕事じゃないってこと?
私が忙しくて会えない間に気が変わったってこと?
確かに、まだ私たち始まったばっかだし、樹は元々女関係は激しかったみたいだし、そもそも本気の相手いるって言ってたし。
私が会えなくなって飽きたから、今また遊び回ってる?
それとも知らない間にその本気だった相手とどうにかなった?
それで私はどうでもよくなった?
私が会える状況になったのに、嘘ついてすぐに会おうとせずに距離そのまま置くって、そういう理由しかなくない?
私と離れてみたら、案外つまんなくて面倒なことに気付いて、楽な状況に戻ったってことなのかな。
それで私をそのまま遠ざけるとか・・?
元々樹がどういう人なのかもわからないし、全部を理解出来ないまま忙しくて会えなくなったから、結局何考えてるかわかんない。
結局遊びでした、飽きました、ってなっても全然おかしくないよね・・。
なんなのよ・・私どうしたらいいの?
連絡来るまで待つとか、それ自然消滅のやつじゃん・・・。
え?もうこれで終わり?
いや、プロジェクト一緒なんだし、さすがにそんな面倒なことしないよね・・・。
だからそんな中途半端なんだったら、私とそういう仲になるの面倒なだけなんだよ・・・。
だから言ったのに・・・。
でも。
まだ何か理由があるかわからないし、誰か女の人がいるって決まったワケじゃないし、まだ結論出すのは早い。
まだ理由わかるまでは樹のこと信じていいよね・・。
樹、仕事終わってから何してんだろ。
いつからそんなことになったんだろ。
考えたくなくてもあまりにもマイナスの材料しかなくて、悪い方向にばっかり考えがいってしまう。
「望月さ~ん。大丈夫ですか-?ボーッとして」
あっ、三輪ちゃん隣にいたこと忘れてた。
今日で忙しい仕事も終わったので、打ち上げするのに三輪ちゃんと一緒に飲みに行く約束してて一緒に帰ってる途中だった。
「あっ、ごめん。ようやく忙しいの終わったから、なんか気が抜けちゃったのかな」
三輪ちゃんにバレないように適当な言葉で誤魔化す。
「ですよね~。ようやく落ち着いてホントこれでホッと出来ますよね~」
「だね~・・」
「あっ、でも今度はまたプロジェクトも進めていかなきゃいけない感じですよね~」
プロジェクト・・樹・・・。
あっ、ダメだ。
また樹を連想させてしまう。
「あれ?そんな話してたら、あれ早瀬さんじゃないですか?」
「えっ!?」
お店に向かう為、歩いてる途中で三輪ちゃんが樹の名前を出した瞬間、我に返る。
「ほら。あれ」
そう言って三輪ちゃんが指差した向かい側の道を見ると、確かに樹の姿だ。
「あれ?隣、居る人・・彼女ですかね?」
その言葉通り、樹の横には知らない女性もいて。
その姿を見た瞬間、モヤモヤで鼓動も激しくなる。
なん、で・・。
どういうこと・・?
さっきの高杉くんの話から、あまりにもリアルタイムに樹と知らない女性の姿を目にして、ショックで頭がついてかない。
「望月さん・・?」
黙ったままいる私を不思議そうに思って声をかける三輪ちゃん。
「三輪ちゃん、ごめん。やっぱりちょっと今日疲れちゃったから打ち上げはまた今度でもいいかな・・?」
とてもじゃないけど、今は笑顔で打ち上げする気分にはなれない。
「え?あっ、そうですね。今日までずっと忙しかったですし、今日はゆっくり家帰って休みましょう」
三輪ちゃんは何かを察したのか、私のその言葉に乗っかってくれた。
「ありがと。また今度ゆっくり打ち上げしよう」
精一杯の笑顔で今はとりあえずこの場を乗り切る。
「はい!」
そのあと、なんとか崩れ落ちそうな気持ちを保たせながら家に帰った。