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まだ体が熱くて、呼吸も整わないまま。
那央はベッドの上でうつ伏せになって、腕に顔を埋めていた。
「はぁ……っ、もう、無理……ほんと、あまぎ先輩、最低……っ」
「ん? なんか言った?」
悠馬はシャワーも浴びず、汗のついたままの体でベッドに戻ってくる。
くしゃくしゃになった髪を片手でかきあげながら、 どこか満足げに笑うその顔に、那央は枕で顔を隠した。
「ねぇ、コンちゃん。……ほんとはさ」
「……?」
「隣の人、いないよ」
「……え?」
那央は一瞬、意味が分からず目をぱちくりとさせる。
でも、すぐに――その意味を理解した。
「……は、えっ、えっ、ちょっとまって、え!? い、いないって、なに、それ……」
「お隣さん? 今月頭に引っ越してって、空き部屋だよ?」
「っ……う、そ……っ」
「声我慢してるコンちゃん、可愛すぎてさ。見たくなっちゃった」
「な……っ、なにそれ……ほんとに、……っ、最低っ……!!」
那央は枕で思いっきり悠馬の頭を殴ろうとするも、 全然力が入らなくて、結局ぽふっと当たるだけ。
「マジで……ほんと無理……っ、ばか……!!」
「ばかはコンちゃんだろ」
「俺が“声出すなよ”って言っただけで、必死になっちゃって。あんなに泣いちゃってさ」
「~~~っ!! あれはっ……! だってっ……っ、だってぇ……っ」
「うんうん。わかるよ」
「だって、感じすぎて声止まんなかったんだもんな?」
「……っ、う゛っ……もうやだ……っ」
両手で顔を隠して、怒りに震え泣きそうになってる那央の頬に、
悠馬はやわらかくキスを落とした。
「でもさ――マジで可愛かった」
「……っ、ずるい……そういうの……」
「嘘ついたことは謝るけど、仕方ないだろ。俺さ、コンちゃんが我慢してる顔、見たすぎて」
「……っ、もう、見せない……!!」
「無理。俺、今日から一生コンちゃんの喘ぎ声聞いてたいもん」
「~~っ、あっち行ってよほんとにっ!!」
「じゃあ、また“お隣さん戻ってきた”ってことにする?」
「ほんとにやめろぉぉ……!!」
だけど――
怒ってるフリしてる那央の耳まで、真っ赤だった。
(マジで、かわいすぎんだろ……)
悠馬は心の中で舌打ちする。
本気でこの子を離したくなくなるほど、どんどんハマってく自分に気づいていた。