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私は…どこから道を間違えたんだろう…。
「月二夜〜朝よ〜起きなさい」月二夜の母親
「………」月二夜
私は寝起きが良くなく、その影響で人一倍保育園や学校に行くのが嫌だった。
特に小学生になってからが一番つらかったかもしれない。
寝起きから気分も良くない、その上学校での皆からの印象も良くなかった。
「月二夜ちゃん、あなたはなんで宿題をやってこないの?」小学生の担任の先生
「宿題はやらなきゃダメなの?家にいても自分のしたいことはしちゃダメなの?」月二夜
「あのね月二夜ちゃん…」小学生の担任の先生
テストだってその時から授業を聞いてるだけでそれなりに出来たし、家でも授業見たいなことをする理由がその時から私には分からなかった。
「あいつ、今日も宿題やらなかったらしいぜ」小学の同級生A
「いつもの事じゃねぇかよ、まぁやってきたとしても遊んでやんねぇけど」小学の同級生B
休み時間や放課後は教室でいつも居残り、宿題を強制される。
周りだけいつも遊んでいてずるいから私も真面目に取り組んでいると見せかけて絵を書いていた。
最終的に先生にバレて酷く怒られたっけな。
体力テストや体育の授業で体を動かす時間がある日は少し楽しかった。
「月二夜ってやっぱり足早いな…」小学の同級生C
私の持つ中で唯一自慢できるものだった、でも…
「なんであいつに限って…」小学の同級生D
小学生のクラスカーストは一部足の速さで決められるところもあり、私のクラスもそうだった。
しかし私の場合は尊敬とか偉い人に見られるはずもなく、私の能力への妬みや単なる恨みを買うものになっていた。
小学生の頃はそんな感じだった。
中学生ぐらいになると大体の女の子は自分の体や見た目を気にするようになる。
大体は体も成長してきて胸も膨らんできたり、生理も経験する。
小学生は私服でズボンやジャージを着ていたのも中学生になってからは制服でスカートを履き脚が露出する。
「あいつ…脚太くて…恥ずかしくないのかな…」中学の同級生A
私の所はスカートは長くもなく短すぎないものだったが、私にはスカートになるだけで致命的だった。
私も脚の太さをコンプレックスに思い始めるのもこの頃からだ。
そして宿題の件も相変わらずで、やらないだけで居残り、部活も代わりに居残りになる始末、周りからも変人扱いだった。
酷くなる時は、みんなが怖いと評判の男教師が担当している部活の目の前に机と椅子を持ってきてやらされていた、いわゆる公開処刑みたいなものだ。
人間はそういう生き物なんだ、「違うもの」は道徳がなくてもどれだけ非効率でもそいつを辱めて病気にしてまで排除しようとする、そういうものなんだと私は思った(実際私からすると言われたことをしてる感覚なだけなので精神的ダメージはなかった)。
高校生に上がってからは素直に生きようと思った。
「なんで唯一休めるところでまた授業じみたこと(課題)しないといけないんですか、そんなもの作ってる暇でもう少し効率的な授業できませんかね、先生だって授業中に無駄話してないで生徒にためになる情報を提供してくださいよ」月二夜
身だしなみや最低限の作法ぐらいはきっちり整えているつもりだ。
でも既に私には失うものがないと理解出来た時、私は我慢することをやめた。
最初のうちは数人か興味本位で私にちょっかいかけてくる。
「なんで弦ノ崎さんって頑なに課題やらないの?」高校の同級生A
「必要性ある?」月二夜
「いや、単位とか色々あるしやらなきゃダメでしょ…」高校の同級生A
「いんや、先生が」月二夜
「え?」高校の同級生A
「先生だって先生として働いてお金もらって飲み食いしてるわけでしょ?そういう紙切れ作るしか脳がない癖に一人の人間の自由を奪おうだなんて、そんな人間少なくとも私には必要ない、指導がならない先生は失格とか言われてさっさと路頭に迷えばいいんだよう」月二夜
「すっごい思想…面白いね」高校の同級生A
まぁ、高校生にもなれば多少の違いも受け入れられたり面白半分みたいな感じになってあまりストレスは無かったが…
それでも学校は居心地が悪い、両親との意見が合わない、その他色々嫌なものが積み重なっている。
結局は小学や中学の頃と変わらないやつもいるし、私も心の一部はそんなものだ。
それにやっぱりある程度は浮いた存在にもなるし、高校生にもなれば先生からの対応もより社会的でリアリティのある対応になってくる。
「ここの問題わかる人〜」高校の教師
分かるので素直に手を挙げて、目が合ったとしても頑なに私を指定しない先生もいたし…
私に苛立ちを覚えているのか、急にチョークを全力投球してくる先生もいた(キャッチして投げ返そうとしたら先生の目に直撃して悶絶し授業どころじゃなくなりなぜか私のせいに)。
私はそういう人だ、妬み恨みを生みやすい化け物みたいな人間。
他人の意見を聞ける(認めた訳じゃない)ようになって、尚更私には救いの与えられない人材なんだと思えた。
…気持ち悪い。
私を「化け物」だとか「魔女」だとか影で言ってるお前らが私には「悪魔」に見える。
悪魔共が生きてる場所では私は生きるべきじゃない。
逃げ出したというよりかは、ここから離れるべきだと思ってしまった。
生きる希望なんてほとんど残ってなかったのに、体が生命本能に駆られたのだろう。
体力が余るうちは走った。
振り返ることなく、周囲の景色も見ることなく…ただひたすら。
そう思ってるうちに私は──
122
4
月白
2,332
耀聖(ようせい)
536
ヒグラシの合唱が鼓膜を叩き目を覚ました。
居間の隅に敷かれた布団の上。
外はもう黄昏時だった。
ちょっと頭がぼーっとする。
まだ篭った熱のダメージが抜けていない。
そして俺は…月二夜の…月二夜視点の夢を見た、確実に。
「あっ、芦兆さんおはよ」月二夜
「…ああ」芦兆
月二夜は居間のテーブルにて呑気に間食を挟んでいた。
さすがに水分補給したかったので起き上がり、台所へ向かった。
今回飲む水は何倍にも美味しく感じられ喉が潤う快感に震えた。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙…」芦兆
あと甘くてさっぱりしたものが食べたい…トマト切って食べるか…。
トマトを切っている間、見た夢に対して複雑な感情が湧いてくる。
月二夜の生きた世界は個々の違いや自由が認められない窮屈なものだった。
特に心が大人になりつつある中で立場はまだ子供という難しい時期ではそんな世界はもはや獄中そのものに感じただろう。
今の月二夜は自由に飛ぶための羽を無理やりむし取られ続ける鳥のような存在だ。
人間共はそんな者にさえ怪物を見るような目で睨んでくる…。
俺に尽くしてくれる月二夜に対して、俺は月二夜に自由を見せてやりたいと思った。
違いや自由を認める認めない以前に、何者も何事も干渉しない自由の世界で羽ばたく彼女の姿を…俺は望んでしまった。
そのためには………。
皿に盛り付けたトマトに粉砂糖をたっぷりまぶす。
これが暑い夏にピッタリだ。
生のトマト自体はそこまで好きではないものの、砂糖をかけるだけで何百倍にも上手くなる。
教えてくれてありがとうお母さん。
ちなみに塩派は認めない。
完成したので居間に持っていき食べることにする。
月二夜もいるので一応フォーク2本も持ってきた。
「芦兆さん、具合はもう大丈夫?」月二夜
「寝る前よりかはだいぶ良くなった」芦兆
「良かった、塩トマト?」月二夜
「砂糖だよ」芦兆
「砂糖かけて食べる人本当にいたんだ…」月二夜
「……一応聞くが、塩かけても美味しいのか?」芦兆
「トマトの味が強く感じれて美味しいんだよねぇ」月二夜
元からそのままのトマトは好きじゃないからやっぱり共感ができない。
でも月二夜が言うんだし気が進んだら少しやってみようかな。
「…一応食べるか?」芦兆
「食べる!」月二夜
月二夜はフォークを持ち、初めてなので様子見のあまり砂糖のかかってないトマトを突き刺して口に運んだ。
「………」月二夜
口に合わない人も多少はいるだろう、そう思いながら俺も砂糖トマトを口に運ぶ。
うん、やっぱり美味い。
すると月二夜はまたフォークをトマトに刺し口に運んだ。
おや?月二夜の様子が…
「砂糖派になりそう」月二夜
月二夜は砂糖派に進化した!(無理矢理)
しゃっしゃっしゃっしゃっ(芦兆大歓喜)
コメント
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よかった…第12話「救い」、心にじんわりきたよ。 月二夜の過去がこんなに重かったなんて…学校での居場所のなさ、違いを認められない苦しさ、全部がリアルで胸が締め付けられた。でも芦兆が「自由を見せてやりたい」って思ったところ、すごく好き。砂糖トマトのシーンでほっとさせてくれてありがとう。二人の温かい空気が救いそのものだったよ🌙