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続きです!!
茈 side
茈 ) ……っ
廊下の角を曲がった瞬間、心臓が跳ねた。
見慣れた背中。
見たくないのに、すぐ分かる。
なつ先輩。
一瞬で、あの日のこと全部思い出す。
触れられたとこも、匂いも、声も。
茈 ) ……やば
反射的に引き返そうとする。
目を合わせたらだめ。
絶対、だめなのに——
赫 ) ……おい
低い声。
背中に冷たい手が触れたようにぞくっとした。
茈 ) っ……
聞こえないふりしようとしたのに。
足が止まった
なんで。
赫 ) ……逃げんなよ
近い。近すぎる
いつの間にかすぐ後ろにいた
茈 ) ……やめてください
振り返れないまま言う。
声がちゃんと出てるか分からない。
茈 ) ……もう、関わらないって
言ったはずなのに。
赫 ) ……あぁ( 腕掴
茈 ) っ……!
強い。
逃げようとしても、びくともしない。
赫 ) ……それで?
茈 ) ……え
赫 ) ……忘れられたのかよ
耳元で、低く落ちる声。
近すぎて、無理。
茈 ) ……っ
答えられない。
忘れられるわけない。
でも、それ言ったら終わる気がして。
茈 ) ……はなして
やっと絞り出して出た声
茈 ) ……優しくしないでって、言ったじゃないですか
赫 ) ……優しく?
小さく、笑う気配。
顔が真っ青になる気がした。
赫 ) ……これが?
ぐっと、腕引かれた。
逃げ場を潰すみたいに距離を詰められる。
茈 ) っ……
だめだ近い。
あの日と同じ匂いがする。
頭がぼーっとしてくる、あの日と同じ。
記憶が蘇ってしまう。
茈 ) ……来ないで
言ってるのに
足が動かない。
赫 ) ……来たのはお前だろ
茈 ) ……っ
違う、って言いたいのに
言えない。
だってほんとは、、会いたかった。
赫 ) ……そんな顔すんな
顎をつけられ
無理やりにも顔上げさせられる。
茈 ) っ……
目が合った瞬間
全部が終わる。
赫 ) 忘れろって言ったよな
茈 ) ……はい、、
赫 ) なのに
少しだけ顔が近づく
赫 )なんでそんな顔してんだよ
茈 ) ……っ
分かんないな、自分でも。でも
胸が苦しくなる。
赫 ) ……はぁ、、余計、離せなくなるだろ
茈 ) やだ
反射で出た声。
でも
ほんとに嫌なのは
離される方で、、
茈 ) ……っ
… 最悪。
赫 ) ほら
首をなぞられ、体がびくっと跳ねる。
赫 ) 逃げねぇじゃん。
確信したみたいな声。
悔しいのに
否定なんてできない。
茈 ) やめてください
赫 ) 無理
即答。
逃げ道なんて一つもなかった。
赫 ) 忘れさせてやるよ
茈 ) ……っ
その言葉の意味、全部分かってるのに
拒めない。
むしろ
少しだけ、期待してる自分がいる。
茈 ) ……っ
触れられたまま、動けない。
体は正直で、拒もうとしてるのに力が入らない。
むしろ、逃げたくないって思ってる自分がいる。
最低。
分かってるのに。
赫 ) ……ほら
また、触れられる。
びくっと肩が跳ねた瞬間、ふと頭に浮かぶ。
——婚約者
茈 ) ……っ
一気に、熱が引いた。
さっきまでの感覚が嘘みたいに遠くなる。
茈 ) ……やめてください
今度は、ちゃんと声が出た。
赫 ) ……は?
茈 )も、やめてください っ
赫 ) ……何言ってんだよ
低く、少し苛立った声。
でも、手は離れてくれない。
茈 ) 先輩 っ 婚約者いるじゃないですか
絞り出すみたいに言う。
茈 ) その人のとこ、行くんですよね
赫 ) あぁ
迷いのない返事。
胸の奥がぐっと締め付けられる。
茈 ) だったら っ
一瞬、言葉詰まる。
それでも、止まらない。
茈 ) ……こういうの、だめだと思います
震える声。
でも、ちゃんと届くように
茈 ) ……昨日のことも、全部
ゞ ) ……なかったことにしてください
静かに、言い切る。
空気が、張り詰める。
赫 ) 無理
即答。
茈 ) ……え、?
赫 ) できるわけねぇだろ
また腕を引かれ距離を詰められる。
茈 ) っ……
逃げなきゃいけないのに
体が言うこと聞かない。
赫 ) ……なんでそんなこと言えんだよ
いつもより低い声。
さっきよりも少しだけ焦ってる。
赫 ) 昨日のこと、忘れられてんのかよ
茈 ) ……忘れたいです
はっきり言う。
自分でも驚くくらい、ちゃんとした声だった。
茈 ) でも っ
少しだけ、息が詰まる。
茈 ) 無理なのも、分かってます
赫 ) じゃあいいだろ
すぐ返ってくる言葉。
赫 ) それなら、そのままで
茈 ) よくないです
被せる。
初めて、ちゃんと否定した。
茈 ) ……中途半端なの、嫌なんです
指先が震える。
でも、引かない。引けない。
茈 ) 先輩は、その人のとこ行くのに
ゞ ) その前に、とか
ゞ ) そういうの、無理です
全部言えた。言い切った。
赫 ) ……
一瞬間が開く
でも
次の瞬間
赫 ) ……それでも来たのはお前だろ
逃げ道を塞ぐみたいな言葉。
茈 ) ……っ
痛いとこ突いて来た。
何も言えない。
だって
来たのは、自分だから。
赫 ) ……なぁ
顔が近すぎる。。。
赫 ) ……ほんとにやめられんの?
試すみたいな声。
茈 ) ……
息が詰まる
それでも
茈 ) っ やめます
小さく、でもはっきり。
赫 ) は
茈 ) ……もう来ません
腕を突き放すように離れる。
今なら、まだ離れられる。
ここで離れなきゃ全部終わってしまう。
茈 ) さようなら。
振り返らず歩き出す。
心臓の鼓動がどんどん早くなる。
涙が出る感覚も出てくる。
でも
止まらない。
——止まったら、戻ってしまうから。
赫 side
赫 ) ……は ?
遠ざかっていく背中。
止めることも、追うこともできずに
ただ立ち尽くす。
さっきまで、あんなに近くにいたのに。
赫 ) え ?
頭が追いつかない。
何言ってんだ、あいつ。
なんであいつが終わらせる側なんだよ。
赫 ) ……ふざけんな
小さく吐き捨てる。
胸の奥が、ざわざわする。
イラつく。
——なのに
さっきの顔が、離れない。
泣きそうで、でも必死に堪えてて。
それでも離れようとしてた顔。
赫 ) ……っ
無意識に、一歩踏み出してた。
赫 ) 待てよ
声が、思ったより低く出る。
でも
足は、止まらない。
赫 ) おい
見失うわけない。
あんなに目立つやつ。
なのに
曲がり角を曲がった瞬間
——いない。
赫 ) ……は?
一気に、心臓が嫌な音立てる。
さっきまでいたのに。
赫 ) ……どこ行った
廊下を見渡す。
いない。
教室の中も、階段の方も。
どこにも。
赫 ) ……ちっ
舌打ちが漏れる。
おかしいだろ。
こんな、少し目離しただけで消えるとか。
赫 ) 逃げんなって言ってんだろ
思うがまま吐き出す。
誰に言ってるのか分からないまま。
胸の奥が、じわじわ熱くなる。
さっきとは違う焦り。
赫 ) ……なんでだよ
自分でも分からない。
今まで、こんなこと一度もなかった。
誰が離れても、どうでもよかった。
なのに
赫 ) ……なんであいつだけ
言葉が途切れる。
思い出すのは
触れた時の反応とか
拒みながらも離れなかったこととか
全部。
赫 ) ……っ
イラつく。
思い通りにならないのが、こんなに気に食わないなんて。
赫 ) ……逃がすかよ
ぽつり、落ちた声。
自分でも驚くくらい低い。
赫 ) ……絶対
握った拳に、力が入る。
赫 ) ……見つけたら
少しだけ、息を吐く。
でも
次の言葉は、止まらなかった。
赫 ) ……今度は、ちゃんと逃がさねぇ
茈 side
茈 ) ……はぁ
やっと、人のいない場所まで来て
壁に背中を預ける。
足に力が入らない。
茈 ) ……最悪
息がうまくできない。
さっきのこと、全部頭に残ってて。
触れられた感覚も
声も
あの距離も
全部。
茈 ) ……っ
ぎゅっと目閉じる。
思い出したくないのに
勝手に浮かんでくる。
茈 ) 忘れなきゃ
小さく呟く。
あんなの、続けちゃだめだ。
分かってる。
婚約者がいる人と
あんな関係
普通じゃない。
茈 ) 終わりにしなきゃ
自分に言い聞かせるみたいに。
これでいい。
これが正しい。
——なのに
茈 ) ……なんで
胸が痛い。
離れたはずなのに
さっきより苦しい。
茈 ) ……っ
そのまましゃがみ込む。
手の震え止まらない。
思い出すのは
最後の顔。
あの声。
茈 ) やだ
首振る。
忘れたいのに
忘れられない。
数日後
茈 ) ……
教室。
普通に過ごしてるはずなのに
落ち着かない。
視線が勝手に探してしまう。
いないって分かってるのに。
茈 ) ……来てない
小さく呟く。
少しだけ
ほんの少しだけ
安心した。
——と同時に
茈 ) ……なんで
胸がざわつく。
来ない方がいいって思ってたのに。
なのに
来ないと、それはそれで
落ち着かない。
茈 ) ……っ
最悪だ。
赫 side
赫 ) ……いねぇ
教室のドアに手をかけたまま、止まる。
視線だけで、中を探す。
いない。
当たり前みたいにそこにいる顔が、どこにもない。
赫 ) は
小さく、息が漏れる。
昨日も、いなかった。
その前も。
赫 ) ……サボりかよ
吐き捨てるみたいに言う。
——でも
そんなタイプじゃないのは、分かってる。
赫 ) ……ちっ
舌打ち。
イラつく。
理由なんて、分かりきってるくせに。
赫 ) 俺のせいかよ
ぽつりと落ちた言葉。
すぐに眉間を寄せる
赫 ) ……は、意味分かんねぇ
否定するみたいに呟く。
いつもなら、どうでもよかった。
誰が来ようが、来なかろうが。
なのに
赫 ) ……なんでいねぇんだよ
無意識に出た声。
思ったより、低い。
放課後
赫 ) ……
人気のない廊下。
足音だけがやけに響く。
探してる自分に、気づいてる。
どこにいるかも分かんねぇのに
意味もなく歩き回ってる。
赫 ) ……は
自嘲みたいに笑う。
赫 ) ……何してんだ俺
ほんとに。
たかが、後輩一人。
それだけのはずなのに
頭から離れない。
顔も
声も
触れた時の反応も
全部。
赫 ) ……っ
歯が痛くなるほど噛み締める
イラつく。
思い通りにならないのが
こんなに気に食わないなんて。
赫 ) ……逃げんなって言ったよな
低く、吐き出す。
返事なんて、返ってこないのに。
ふと、窓の外に目をやる。
グラウンド。
人影の中に
——似た背中。
赫 ) ……っ
一瞬で、体が動いた。
でも
よく見たら、違う。
赫 ) ……は
肩の力、抜ける。
同時に
胸の奥が、ぐっと重くなる。
赫 ) ……どこいんだよ
小さく、零れる。
探しても、見つからない。
それがこんなに苛立つなんて
知らなかった。
赫 ) ……
少しの沈黙。
そのあと
ゆっくり、息を吐く。
赫 ) ……見つけたら
ぽつり、と落ちる声。
低い。
自分でも分かるくらい。
赫 ) ……今度は、逃がさねぇ
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