トコトコ
私は江原咲綾。恋愛は興味なしの高校2年生。
私の周りはイケメンばかり。
学校1のイケメン、梅野隆太郎先輩。
ベビーフェイスでモテモテの後輩、森下翔太くん。
幼稚園のときからの幼なじみ、中野拓夢。
笑顔が可愛い同級生、木浪聖也くん。
すれ違うと何か凄いオーラがある近所の人、近本光司さん。
初恋の人、才木浩人。
そして、元彼、佐藤輝明。
「皆、私には来ないって思ってる。だって、こんな女。誰が好きになるのよって話。」
「そんなこと言わなくても、いずれ新しい彼氏は出来るよー?」
彼女は野村萌音。高一のときに出来た親友。
新しい彼氏は、出来るわけない。
あの佐藤輝明と別れた女として周知されている可能性が高い。
「あー萌音ったら、馬鹿なこと言わないで。」
「サトテルくんとの思い出が変わっちゃってもいいのー?」
「バカ。テルとの思い出は残っているから」
テルと別れたときは辛かったけど、お互い頑張ってるから…。
「本当にー?気になっちゃうなー」
「だから本当だよ!!」
キャー!!
「ちょっと耳痛い…」
いきなり歓声が聞こえてきてびっくりした。本当、オシャレ好きの女子ってわからん。
「あっ、梅野さんじゃん!!」
「梅野?あぁ、あの人ね。」
学校1のイケメン、梅野隆太郎。
めんどくさいから、つい呼び捨てしてしまった。それが、ヤバいことになるなんて…。
「ちょっと咲綾!!呼び捨てしちゃダ!!」
「(ボソッ)」
萌音に注意された瞬間、彼女は少し驚いた。
「咲綾。今、誰かに呼ばれたんじゃ」
「え、そうかな…」
私がそういった途端、周りの生徒達はざわめき始めた…。
「え、あの女誰?」
「梅野先輩に何したの?」
「確か、元彼が…」
あのざわめきの正体が知りたかったので、私は質問した。
「あの、私のこと呼んだのって…」
「お、俺だけど」
直ぐに言った人がいた。その正体は…。
は!?梅野先輩じゃん!!やばっ呼び捨てするつもりなかったのに…。
もうヤバい…謝るしかない…。
「呼び捨てしてすみませんでしたぁぁ!!」
ドタドタ!
「え…?」
「咲綾、あっ。ちょっと何処行くのよー!!」
呆然する先輩と追いかけようとする萌音の声。本当に申し訳ございませんでした。
教室
「あー、最悪。梅野先輩のこと呼び捨てしなければよかった」
「梅野さんと何かあったの?」
質問してきたのは、同級生の木浪聖也くん。
クラスの女子のほとんどは、彼の可愛い笑顔に惚れている。
「き、木浪くん。そ、そうなんだよねー。梅野先輩が私のこと呼んだみたいで…」
「梅野さん、こんなことするなんて僕は珍しいと思うけど」
梅野先輩がこんなことするのって珍しいんだ…。初耳です。
ガラガラ
萌音でいいから…。お願い…。って思っていたら。 マジか…梅野先輩じゃん…。
「江原咲綾さん、ちょっと来て欲しい。伝えたいことあるから」
何か伝えたいこととは…。私は、梅野先輩について行った。
屋上
「梅野先輩、伝えたいことって…」
「唐突やけど、俺の彼女なってくれん?」
彼は緊張していなかったように見えた。
「え、彼女…?」
また…テルのことを思い出しそう…。
「影から見ていたけど、貴方は俺にとって」
あ、あれ…?この感覚なにっ…?
バタッ!!
「江原さん!?」
梅野先輩が心配している声が聞こえた…。