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20
#dzr社
memi(めみ)
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#ryop
ゆゆ@プロフお読み下さい。

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**美月ゆめかです🌸** わあああ第2話読み終わった…!雨音に閉じ込められた密室、もう最初から最後までずっと心臓バクバクだったよ😭💕 ご飯食べるシーンの仁ちゃんが思わず舜太におかず分けてあげるところ、めっちゃ好き。あれだけで二人の関係性わかるよね。で、風呂上がりの髪拭きからの脱衣所の距離感…!あの鏡越しの視線、やばすぎて声出たわ。 そして布団の中。舜太のスイッチ入った瞬間の豹変ぶりがエグい…「可愛い弟分」の仮面が剥がれ落ちる感じ、マジで鳥肌立った。キスの描写が濃密すぎて読んでるこっちが息できんくなったよ。 最後に自分でブレーキ踏んで逃げ出す舜太もまたエモい…!次どうなるの!?続きが気になりすぎる〜〜〜!!📖🔥
土砂降りの雨は、もはや山を飲み込むほどの勢いだった。
あの後、撮影中止に伴うスケジュール調整やスタッフとのバタバタとした打ち合わせで、午後の時間はあっという間に過ぎ去った。電波の繋がりにくいロビーと部屋を何度も往復し、すっかり日が暮れた頃、二人はようやく自分たちの和室へと戻ってきた。
「……あーもう、本当に最悪だ。明日の撮影も、これじゃ絶対リスケだ……」
古い和室に戻るなり、仁人が畳の上に大の字になって転がった。手元のスマホでカレンダーアプリを睨みつけていたが、やがて諦めたように画面を伏せる。
普段ならもっと上手く力を抜いて立ち回るはずの仁人が、めずらしく疲労を隠そうともしない。電波もろくに入らない古い旅館という閉鎖空間や予測不能な天候のせいで、彼の中でチリチリと静かなストレスが蓄積しているのがわかった。
その横で、舜太はのんびりと寝転がって天井の木目を眺めていた。こんな山奥に閉じ込められようが、舜太にとっては「仁人と二人きり」という事実の方がよほど重要で、環境の変化など気にも留めていない。
「仁ちゃん、そんなに眉間にシワ寄せんでもええよ。誰も悪ないんやし」
「……わかってるけどさぁ。なんか、調子狂う」
むくれる仁人の声に、舜太は「ふふっ」と悪戯っぽく笑いながら起き上がった。
「まあまあ。とりあえず夜ご飯にしよ。さっきスタッフさんが配ってくれたロケ弁、お腹すいたしはよ食おうや」
舜太が部屋のちゃぶ台に置かれた弁当を引き寄せると、仁人も「……食べる」と渋々といった様子で身を起こした。
二人はちゃぶ台を囲んで、ロケ弁の蓋を開けた。仁人は文句を言いつつも、目の前に並んだ弁当を食べ始める。
「お前、そんなペースで食ってると喉に詰まらせるぞ」
仁人がまだ半分も食べていないというのに、舜太はすでに二つ目のお弁当に手を伸ばし、豪快に唐揚げを頬張っていた。その食べっぷりの良さは、見ていて清々しいほどだ。舜太は口の端にタレをつけながら、「んー、やっぱこの店の唐揚げ最高!」と幸せそうに目を細める。
「仁ちゃんは食わへんの? ほら、それ残すんなら俺が食うで?」
舜太はそう言いながら、仁人の視線を盗んで、仁人の手元にある副菜の卵焼きをヒョイと自分の口へ運んだ。
「……お前なぁ、自分の分があるだろ。人のものまで奪うな」
「だって、仁ちゃんが食べてるやつ、なんか美味そうに見えるんやもん。……ほら、一口分だけやから!」
舜太はそう言って、さらに仁人の弁当からコロッケを半分、奪うようにして自分の弁当へ移す。仁人は呆れたように溜息をついたが、その表情は自然と柔らかくなっていた。
「……本当、お前っていう奴は。そんなに食うなら、もっとちゃんとバランス良く栄養摂れよ」
仁人はそう言いながら、自分の弁当から野菜の煮物を舜太へと分けてやった。舜太は「えへへ、サンキュー!」と満足そうに笑い、奪い取ったおかずと一緒に、大口でご飯をかき込む。そんな舜太の無邪気な様子を眺めていると、張り詰めていた仁人の肩から、少しずつ力が抜けていくのを感じた。
「あー、やっぱり美味いもん食うと幸せやね!」
舜太は空になった弁当箱を片付けながら、満足げに伸びをした。そして、まだどこか硬さの残る仁人の表情をのぞき込む。
「ねえ仁ちゃん。明日のことは今考えても仕方ないし、諦めてお風呂でも入ってゆっくりしよーや。せっかく温泉旅館に来たんやし」
「……まぁ、そうだけどさ。温泉は、確かにちょっと惹かれるな」
「やろ? そんなカリカリしてたら、折角の仁ちゃんの可愛い顔が台無しやで」
「誰が可愛い顔だ。お前までイジりだしたのかよ」
「イジってへんよ!はやちゃんと一緒にせんといて!」
「いや、イジりじゃないならそれはそれで余計にキショいんだけど」
「えーん、仁ちゃんひどい!空気を和ませようとしただけやん!」
「はぁ…… 別に、そんなに気負ってるわけじゃないけどさ。でも、この大事なタイミングで足止め食らうのは、やっぱりちょっと焦るというか……気が引き締まっちゃうんだよ。 ……お前みたいに、どんな時でも『なんとかなるやろ!』って笑えるメンタル、正直ちょっと羨ましいわ」
仁人はふう、と息を吐き、少しだけ肩の力を抜いた。「え、今褒められたんか!?」と嬉しそうにはしゃいでいる舜太の屈託のない笑顔を見ていると、張り詰めていた糸が少しだけ緩むのを感じる。でも、その緩みが自分の心には一番危険なのだと、仁人はまだ気づいていない。
食事を終え片付けを済ませると、今度は風呂の順番を巡る小競り合いが始まった。
「俺が先に入る! こういうのは年功序列だろ?お前は今度のドラマの台本でも読んで待ってろ!」
「えー、なんでよ! 一緒に入ろうや仁ちゃん!広い湯船なんやし、仲良く入ろうよー」
「仲良くってお前……! 男同士で何言ってんだよ。誰が入るか! ……そんなに入りたいなら譲ってやるからお前が1人で先に入ってこいっての!」
仁人はそう言って、クローゼットから出した浴衣とバスタオルをせっせと抱え込んだ。その姿は完全に不貞腐れた子供のようで、反論する口元が小鳥のように少し尖っている。
怒っているはずなのに、どこか可愛らしくて、自分にだけ向けられるその無防備な態度。
ご飯を食べて少し元気になった途端にこれだ。
そんな仁人を間近で見ているうちに、舜太の胸の奥で、小さく火花が散った。
(……そんな顔して拒否されたら、余計に意地悪したくなるやん)
「じゃあさ、」
「うわっ!?」
風呂場へ逃げ込もうとした仁人の行く手を阻むように、舜太が音もなく距離を詰め、その腰を後ろからひょいと腕で抱き寄せた。
「じゃあ、順番はじゃんけんで決める? 勝ったら仁ちゃんが先で、負けたら俺と一緒に入る、でどう?」
耳元で響いた舜太の低い声に、仁人の身体がビクッと跳ねる。腰をホールドされたまま、仁人は首だけを振り回して大慌てで叫んだ。
「……お、お前、さっきから何言ってんだ!カメラも回ってないのに誰得なんだよ!? いいから離せ! 俺が先に入ってくるから、お前はそこで待ってろ!」
仁人は顔を赤くして舜太の腕をすり抜けると、逃げるように風呂場へ滑り込んだ。
脱衣所で荒くなった息を整え、湯船にドボンと浸かる。
ざばあ、と湯が溢れる音に紛れさせても、自分の心臓の音がやけにうるさく響いているのが分かった。
(……あいつ、何なんだよ。あんな力強かったっけ)
思い返されるのは、腰をガシッと掴まれた時の驚くほどのホールド感と、耳元で響いたいつもより低い声。
ただの悪ふざけにしては距離が近すぎたし、なにより、いつも「可愛い弟分」だと思っていたはずの舜太に、完全に力で組み伏せられたような形になったことが、妙に背筋をむずがゆくさせる。
「まじで、何考えてんだ、あいつ……」
お湯を顔にバシャバシャとかけ、仁人は一人で頭を抱えた。
舜太のペースに巻き込まれて、自分の調子まで狂わされている。その事実が、なんだか無性に癪だった。
湯上がり、火照った肌に脱衣所の涼やかな空気が心地よい。仁人がバスタオルで髪を拭きながら、鏡の中に映る自分の、まだ少し上気した顔を睨みつけていたときだった。
ガラッと引き戸が開き、脱衣所に舜太が入ってくる。
「仁ちゃん、髪拭くの遅いって。……ほら、貸して」
「あ、おい……!」
不意に背後から温かい手が伸び、頭に乗せていたタオルがひょいと奪い取られる。仁人が振り返ろうとするよりも早く、舜太がすぐ背後に立ち、その大きな掌がタオルの上から仁人の頭をすっぽりと包み込む。
「自分でできるから、いいって」
「ええやんか、たまには俺に甘えてよ」
舜太はそう言いながら、ポンポンと小気味いい力加減で、慣れた手つきで髪の水分を吸い取っていく。
……が、距離が、あからさまにおかしい。
舜太の胸板が、仁人の背中に触れるか触れないかの位置にある。風呂上がりの薄い浴衣越しに、互いの体温が否応なしに伝わってきて、仁人は思わず背筋を固くした。
「……なぁ、お前、近いんだけど。狭いんだからそこ退けよ」
「動かんといて、拭きにくい。っていうか、仁ちゃん。ここにあるの、よくある安い温泉のシャンプーのはずやのになんでそんなええ匂いするん?」」
舜太がわざと首を傾げるようにして顔を近づけてくる。耳元で響く声と、うなじをかすめる湿った吐息に、仁人はゾワッと鳥肌が立つような感覚に襲われ、反射的に肩をすくめて身をよじった。
「っ、おい、マジでやめろって!」
逃げようとした仁人の肩を、舜太がタオルの上からグッと上から抑え込む。その男らしい力強さに、一瞬だけ抵抗が封じられた。
鏡越しに目が合う。舜太はいつも通りの悪戯っぽい笑みを浮かべているが、その瞳の奥にある熱は、普段の「わんこ系後輩」のそれとは明らかに違っていた。
あいつの視線が、鏡越しに、自分の浴衣の少しはだけた襟元へと向けられる。
ただの悪ふざけじゃない。男が男を見る、妙に生々しい視線。仁人は心臓が跳ね上がるのを感じ、咄嗟に自分で胸元をぐっと手で隠した。
「……っ、何見てんだよ!」
「照れすぎ。顔、真っ赤やで、仁ちゃん」
「う、うるさい! 湯上がりだからだよ!」
そう言い返した瞬間、舜太は満足したようにさらりと手を引き、タオルの端で仁人の頬をポンポンと軽く叩いた。
そのまま正面へと回り込んできた舜太が、ニヤリと笑う。
「はい、おしまい。……あ、水滴ついてんで」
仁人の頬を伝う雫を、舜太が親指の腹でスッと拭い取った。
親指が、一瞬だけ仁人の下唇の端を掠める。
「……じゃ、次は俺が入ってくるわ〜」
逃げ場のない狭い脱衣所で、仁人は真っ赤な顔のまま、言葉を失って立ち尽くすしかなかった。
バタン、と風呂場のドアが閉まる。
(……何なんだよ、本当に、あいつ……)
いつもなら「何すんだよ!」と殴り飛ばせるはずの距離感だった。なのに、今の舜太から放たれた妙な威圧感と、隠しきれない熱と執着に、完全に圧倒されてしまった。
仁人は、この大きな後輩が自分に向けている感情の「正体」に、戸惑いとともに、引き返せない予感を抱き始めていた。
脱衣所に一人残された仁人は、這うようにして和室へ戻ると、乱れた呼吸を整えるように深く息を吐いた。
あの時の舜太の生々しい視線と、唇を掠めた指先の熱が、いまだに肌にまとわりついているようだ。
これ以上考えると頭がおかしくなりそうで、仁人は思考を強制停止させるように布団に潜り込み、重い瞼を閉じた。
静寂の中で、風呂場から響く水の音だけがかすかに聞こえる。
その音を聞きながら、湯船に浸かっていた舜太は、静かに牙を研いでいた。
(……あんな顔されたら、もう無理やろ)
脱衣所で襟元を隠し、耳まで真っ赤にして自分を睨んできた仁人の姿が、頭から離れない。
今までは「可愛い弟分」の仮面を被って、慎重に距離を詰めてきた。けれど、ここは電波も届かない山奥の古宿。外は激しい豪雨。完全に世界から切り離された、二人きりの密室。
神様がくれたようなこの状況で、もう我慢を続ける理由なんて、舜太の中には一滴も残っていなかった。
ウトウトと仁人の意識が混濁し始め、夢と現実の境目が曖昧になってきたその時――廊下を歩く足音が聞こえ、引き戸が滑らかに開いた。
風呂から上がってきた舜太の、石鹸と湿った空気の匂いが部屋に満ちる。仁人が咄嗟に寝たふりをしていると、微かな衣擦れの音がして、気配が布団のすぐそばで止まった。
次の瞬間、舜太は躊躇いもなく仁人の布団の端をめくると、当然のような顔をしてその中へ滑り込んできた。
「……おい、お前の布団は隣だろ」
仁人は寝たふりを諦め、薄目をあけて抗議の声を上げる。しかし、舜太は涼しい顔で仁人の背中にぴったりと身を寄せ、その長い腕を腰に回した。
「えー? 俺がお風呂入ってるあいだに、仁ちゃんがお布団あっためといてくれたんかと思った」
「んなわけあるか! お前、本当に今日なんなんだよ。いい加減にしろ!」
「冷たいなぁ。お風呂出たばっかりで湯冷めしそうなんよ……なぁ、俺のこと、あっためて?」
舜太の甘い声が、すぐ耳元で鼓膜を揺らす。腰を抱きしめる腕には、冗談の手加減など一切ない、拒絶を許さない圧倒的な重さがあった。
「……ねぇ、仁ちゃん。こっち向いて」
「っ、おい――うわっ!?」
逃げようと身をよじった仁人の肩を掴み、舜太が力任せに仰向けへとひっくり返す。抗う間もなく、仁人は分厚い布団へと背中を沈められた。
視界が反転し、目の前には、濡れた髪を垂らした舜太の顔が迫っている。
上から完全に覆い被さるように組み敷かれ、その体格差と質量に、仁人の身体が恐怖に似た緊張で強張った。先ほどまでの冷たい夜気が嘘のように、舜太の熱い吐息が顔を射抜く。
「……寒いんよ、仁ちゃん」
その低く掠れた声が、舜太の本気の合図だった。
言い訳のような言葉を最後に、舜太の熱い唇が、拒む隙さえ与えずに仁人の唇を強く塞いだ。
最初は、触れるだけ。羽毛が落ちるような、優しすぎるほどの接触。しかし、仁人は脳が理解するよりも早く、反射的に両手で舜太の硬い肩を突き飛ばそうとした。
「っ、は、離せ……! お前、頭おかしいんじゃないのか……ッ」
仁人は肩を押し返し、足をバタつかせて布団の上で暴れた。だが、舜太は仁人の両手首を片手で軽々と掴み取ると、頭上の畳へと縫い付ける。ビクともしない圧倒的な力。空いた方の手が仁人の細い腰を容赦なく掴み、逃げ場を完全に封じ込めた。
「や、やめろ……! 舜太、こんなの……っ、メンバーだろ、俺たち……!」
舜太は答えず、再び唇を重ねた。今度は先ほどよりも少しだけ強い。仁人は口を固く結び、歯を食いしばって拒絶する。しかし、舜太は捕食者のように仁人の下唇を甘噛みし、鼻先を擦り付け、執拗に仁人の肉壁を溶かそうと強請ってきた。
「んっ……、ん、んん……っ」
首を振って避けようとしても、舜太の大きな掌が仁人の頬を挟み込み、固定する。
指先が仁人のまだ少し湿っている髪をかき上げ、むき出しになった首筋から耳裏へと這い上がった。そこを不意に指の腹で強く擦られ、仁人の身体が電流が走ったように跳ねる。
「ひゃっ……!」
舜太はその隙を見逃さず、今度は熱い舌先で耳たぶを割り込み、濡れた音を立てて吸い上げた。
「……仁ちゃん、身体は正直やな。口では『やめろ』って言いながら、こんなに熱くなって」
「ち、がう……ッ! ……そんなんじゃ、ない……ッ!」
舜太の唇が、仁人の鼻先から目元、そして熱を持った頬へと、愛おしそうに何度も痕跡を刻んでいく。そのたびに仁人の心臓は、恐怖と、名前のつけようのない強烈な熱さで激しく高鳴った。舜太のキスは、甘いのに暴力的で、逃げ出したいのに芯から痺れて動けなくなるような魔力がある。
舜太は仁人の唇に、再び深く、深く覆いかぶさった。
今度は割り込んだ歯列を少しだけ押し当て、唇の力を緩めるように誘導する。仁人の抗いが、酸欠でわずかに弱まった瞬間、舜太の舌先が仁人の歯列を割るように滑り込んだ。
「ん……っ、ダメ、だ……っ!」
仁人は必死に奥の舌を巻き込み、侵入を阻もうとする。だが、舜太は仁人の顎を指先でグッと持ち上げ、逃げ場のない角度を強引に作り出した。口元がわずかに開いたその隙間を、舜太の熱い舌が蹂躙するようにこじ開ける。
「ぁ……っ、んんっ……!」
舌が絡み合う。それはもはや接吻という生易しいものではなく、互いの熱を奪い合うような深い侵犯だった。舜太の舌が仁人の口内の粘膜を丹念に舐めまわし、奥の最も敏感な場所まで執拗に追い詰める。
息ができない。肺の空気をすべて吸い出されるような強烈な抱擁に、仁人の視界がチカチカと白く染まっていく。たまらず、掴まれていた手を振りほどいて舜太の背中に爪を立てた。
「っ、あぁっ! しゅん、た……っ、は、はぁっ……!」
だが、その抵抗さえも舜太をさらに煽るだけだった。逃げ惑う仁人の舌を根元から捕らえ、絡め取り、ぬちゅりと音を立てて上下に吸い上げる。
行き場を失った唾液が細い糸を引き、二人の唇の端から容赦なく零れ落ちて顎を濡らした。
仁人は舜太の放つ圧倒的な雄の熱に当てられ、完全に思考を奪われていく。
あれほど拒んでいたはずの手は、いつの間にか抵抗を忘れ、縋り付くように舜太の首へと回り、その背中をきつく抱きしめていた。
「んっ、あ……ッ、や、もう……あぁっ!」
舜太のキスは完全にエレートしていく。さらに深く差し込み、口内の天井を、奥を、何度も突く。仁人のすべてを吸い尽くさんばかりの貪欲な接吻。仁人は、全身の骨を抜かれたように力が抜け、舜太の重みに圧し潰されながら、その甘美な地獄を全身で享受するしかなかった。
「……仁ちゃん、可愛いなぁ。……俺の仁ちゃん」
舜太の低く濡れた声が耳元で鳴り、再び容赦のない舌が深く沈み込む。
仁人は、自分のすべてが舜太という男の熱に溶かされ、染め上げられていくような、強烈な快楽に身を震わせる。
頭の中にあった「グループ」も「世間体」も、すべてがこの熱い唇の向こう側へと、激しい雨の音と共に消え去っていった。
……その時だった。
二人の荒い吐息と、淫らな口音が静かな和室に響き渡る中、不意に舜太の身体がピタリと硬直した。
舜太の呼吸は激しく、仁人の身体を組み敷いたまま肩を大きく上下させている。やがて、舜太は引きちぎるように仁人の唇から離れると、ギリギリと奥歯を噛み締めて天井を仰いだ。その首筋には、青筋が恐ろしいほど浮き出ている。
「……あかん。あかんあかんあかん……ッ!」
舜太は弾かれたように仁人の身体から飛び退くと、猛然と立ち上がった。
仁人はまだ酸素が足りず、乱れた浴衣のまま、布団の上で呆然と舜太を見上げるしかなかった。
「え、…… っおい、舜太?」
「……あかん! 明日もあるし、もう寝るで! ごめんな仁ちゃん、頭冷やしてくる!!おやすみ!!!」
舜太は自分の顔を両手でパァン!!と凄まじい音を立てて引っ叩くと、血相を変えて部屋を飛び出していった。バタン!、と廊下へ繋がるドアが乱暴に閉められる。
雨の音が、急に大きく聞こえた。
静まり返った和室に、一人布団の中に残された仁人は、しばらくの間、身動きが取れなかった。
いまだにうるさい胸の鼓動と、唇にじんわりと残る舜太の熱、そして生々しい唾液の感触だけが、明確な現実としてそこにあった。
「……は……???」
仁人は天井を見つめたまま、低く、間の抜けた声を漏らした。
さっきまであれほど猛獣みたいに襲いかかってきておいて、一体何なんだ、あいつは。
嵐の夜、電波も届かない山奥の古い旅館で。
仁人は一人、完全に置いてけぼりにされたまま、熱の引かない顔を両手で強く覆って、激しい動悸に震えることしかできなかった。