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鉄板の上でジュージューと音を立てているハンバーグから容赦なく肉汁が紙エプロンにハネてくる。
「これこれ、やっぱりハンバーグはこれじゃなきゃ」
料亭のようなところで景色や彩り豊かな料理を目で楽しみながら食べるのもたまにはいいけど、やっぱり気取らず楽に食べられる方が私には合ってる。
熱々のハンバーグを一口大に切り、口に入れると醤油ベースのソースからニンニクの香りがふっと鼻に抜け食欲をそそる。
そしてその余韻のまま頬張るライスがとても美味しい。
「瞳の食べる姿はやっぱり好きだな」
そんな言葉をしれっと言う。
「そうやって甘い言葉を吐いて女性を勘違いさせてるわけね」
「俺は今も昔も瞳にしか甘い言葉を吐かないよ」
そう言って爽やかな笑顔をキメた時テーブルに置かれた凌太のスマホに通知を知らせるバイブ音がした。
凌太はスマホを確認してからそのままテーブルに戻した。
「見なくていいの」
「瞳との食事時間を削ってまで対応するほどの案件じゃない」
「昔もこんなことあったよね、あの頃はスマホの表面を上にしていたから、料理の写真を撮ろうとしたら女性からの通知画面が写り込んだのよね」
「痛い思い出だな。おかげでスマホを置くときは裏返すようになったよ」
「小田原城だったっけ」
「ああ、気まずい雰囲気になって。自業自得なんだが焦ったし、瞳に捨てられたくなくて必死だった」
懐かしい。
西湘バイパスのサービスエリアで食べたあのカップ麺、美味しかったな。
凌太と話をしていると昔に戻ったような気持ちになる。
「この後は何か予定は?」
「特に無いけどブラブラしながら帰ろうかと思う」
「実家だよね?送らせてくれないか?もう少し話がしたいし、ドライブがてらあの公園に行かないか?」
クラミジアの恐怖から解放されたし、私ももう少しだけ凌太と一緒にいたいと思ってしまった。宇座課長から受けたストレスや正人の母親から受けたダメージのせいかもしれない。
だかど勘違いしない。友人として公園を散歩して送ってもらうだけ。
そう友人として!