テラーノベル
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「い゛ッ…!…チッ..」
日向は舌打ちをしながら直ぐに敵が打ってきた矢を抜き、血を紐で縛って止めた。舌打ちなど華奢な日向がするなんて。やっぱりその舌打ちは私に似ていた。
「流華…大丈夫?」
返り血が付いた頬を拭いながら私を心配してきた。
「うん。大丈夫だけど。」
「そう。」
姉は敵の死体を見つめ、手を合わせた。
「ごめんなさい。次に生まれてくる時は戦争なんてありません様に…」
姉はまるで天使だ。こんな状況でも相手の心配を出来るなんて。
「戦争なんて無かったら良かったのにね。戦争が無かったら私達もきっと幸せに手を繋ぎあって…流華だって両親の愛をしっかりと受けて素直な性格になっていた筈なのにね。」
まさかずっと憎んでいた姉がそんな事を言うなんて。そんな姉をまだ許せない私がいた。
「私だって…..ごめん何でもない。」
『私だって日向を恨む事無く、平穏な生活を送りたかった。』
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