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そんな事を考えているともう夜になった。私達はなるべく敵を避け、逃げた。国の為に敵を殺さないと行けないのに逃げるなんて行為、やってもいいのかと姉に問うと
「誰だって生きる権利はある。敵だってここに来たく無かった人もいる筈よ。」
「ねぇ…….このまま村まで逃げない?」
日向が信じられない提案をしてきた。
「冗談だよ。それじゃ裏切り者になっちゃう。」
日向の顔を伺いたかったが髪で見えなかった。
「日向。今までごめんね…」
そう言うと走っいた足を日向が止めた。
「謝るのはこっちの方だよ。両親が怖かったせいで流華に話せなかったの。本当にごめんね。」
姉の腕が伸び、私を包み込んだ。日の光の様に温かかった。
「____朝だ..!」
私達は日の出で笑い、戦場にいる事を忘れた。
そんな空気を戦争は許してくれない。ここは戦場なのだと実感したのは矢が何かを貫く音だった。
「え…..あ..ひ..日向…..?」
日向の背から温かい液体が流れていた。私はその光景が信じられなく、ただ声を震わす事しか出来なかった。
「流華………」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
日向を仕留めた敵が退く音がした。
私は直ぐ日向を寝かせ、抱きしめた。
「ごめん..ッ私のせいで…!」
「流華…これは何も出来なかった私への罰だよ。」
「そんな事ない!….ねぇ日向!ねぇ!」
私が呼んでも返ってくるのはか細い声だけ。
「流華…………….」
___________愛してる______________
「ッッ~!」
熱い涙が私の頬を伝う。
「私だって..!」
__「愛してるよ!!」__
そうだ。本当は、 そう言う事を伝えたかった。
でも時はそれを待ってはくれない。時は流れるだけ。死んだ者は土に帰るだけ。それでも私はこんな現実を受け入れられなかった。
多くの人を殺して、足掻いて、恐怖を抱えて、今更笑って、何がしたかったんだろ。
「日向ッ、生きて、生きて、生きて!生きて!」
___________『生きろ』_______________