テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ライトノベル
こはる
732
242
#切ない
こはる
16
15
#ヤンデレ
第15話
あれから、ずーっとモヤモヤしている日々か続いている。
「何なのこのモヤモヤは……」
私がポツリと呟くと、どこかへ飛ばされた。
比喩じゃなくて、魂が飛ばされた。空の上の亜空間――天の王座。
あれ? 知らん名詞が沢山出てくるのは、なぁぜなぁぜ?
ってか、『なぁぜなぁぜ』も久しぶりに聞いたわ。
「あれ? もう思い出したくなったの?」
あ? 誰?
声の主は、白いフードを深く被った薄いブロンド髪の……何か分からないけど、ムカつくやつ。
知らん人なのに、何でこんなにムカつくの……
「ちょっと、名乗ってください。どこの馬の骨なのか知りませんけれど、会った事があるんですか?」
いや、何か私の直感という名の魂がそう叫んでいる。
『こいつは、厄介で久しく会ってない人間っぽい神様』
……え? 神様?
私が目を白黒させていると「色々と混乱してるみたいだね。全部思い出したいかい?」と私の事を指さした。
「えぇ。とっても」
「りょーかい! 僕が神様って事も思い出したみたいだしね」
……心の中読まれてる?
「あ、顔にぜーんぶ書かれてるから、分かったんだよ」
あ、めっちゃムカつく……けど、いうこと聞かないといけなさそ。
私は黙って、降ってきた記憶を探った。
――私の前前世は、殺し屋。
神様に、『地獄行きだ』って言われて、地獄のような仕事を押し付けられた。
毎日、殺して一生が過ぎた。享年、二十二歳。
その前の前前前世は、最初は私の経験してきた他の一生よりかは普通だった。
でも、自分の才能を活かさないまま一生を終えた為、《《救えるはずの命を見捨てた》》として、前前世へ転生した。享年、二十五歳。
前世は、それらの記憶か全く無かった。この一生は、前からはっきりと覚えている。
でも、何故記憶が無かったのかはモヤっとしていて、思い出せない。
「一気に記憶を渡すとさ、君の頭がショートしちゃうみたいだから、また今度のお楽しみ。んじゃ、まったねー」
「ちょっと!」
私がハッとして起き上がると、寝坊している時間だった。
色々な意味で頭が痛くて、頭を抱えながら準備をして、いつものルーティーンで動いた。
そんなある日から数ヶ月後。
私が七歳の夏になった。大体、家を出てから二年。
あの神様に会うことも無いし、普通の日々が続いた。
偶に、ニルスさんとカールさんがお出かけしたり、ノアに道ばたで会ったり、留守番中に気弱な盗人を懲らしめたり……普通とは言い難いけど、前世を考えると、普通だと思う。
……あと、前前前世の私の才能――剣術に恵まれた事。その感覚を思い出した。
星霊の剣っていう小柄な片手剣。とっても強くて、目立って……正直嫌だった。
昔は、こんな事やってて、普通の女の子として受け入れてもらえず、常に一人だった。友達はいない。
強いから戦友もいなかった。
でもこの感覚はどの人生でも、というか、どの身体でも使えるらしい。魂に刻まれている感覚。
もう、あんな誘拐される心配はさせません。
私が一人、道を歩いていると何か不気味な影が後ろを過った。
魔力反応は無い。だけど、気配は凄い。というか、香水付けるな! 薔薇の香水付けていきってるし……
やっぱり、狙われてるのかな?
しばらく、気づかないふりをして歩いていると、店に着いちゃった。
あれ? まだ気づかないの?
私が後ろを向いて目を凝らすと、絶対、誰かの護衛らしき人が居た。いかにも、脳筋って感じの見た目。遠目でもめっちゃゴツい。
流石に私も固まった。
どういう事? 誰?
でも、私が見つめていると、流石にその人もどこかへ行った。
「本当に何だったの……?」
私は心の中の言葉を零しながら、お店の掃除を始めた。
❂
今年のクラスは、ニルスという魔道具屋と同じだった。
ここに通ってる時点で、継ぐような気配ゼロだけどな。
ま、とんでもない噂が流れているやつとしか認識できてないし、挨拶を交わしたことも無い。だけど、このままいけば、同じ第五部隊に入る事になりそうだ。
……黒い髪と黒い目の小さな子供を連れていたという噂。その子が、とんでもない強者だという噂。その子が俺の妹――グレーテ。グレーテ・ケスラーと間違われて誘拐されたという、家の中で広まった噂。というか、事実。
外から見れば普通の男の子だ。顔立ちはいいけど、口を開くことが殆ど無い、無愛想な人。
俺が考えていると、『何ですか?』と言いたげに視線をこちらへ向けてきた。
あ、これがバレたのか。腕としてはかなりの実力者。
席としては、一人を挟んで右横にいる。
俺は首を横に振ってノートを取り始めた。
……父上が言っていた印象とは違うな。
俺は欠伸を噛み殺して窓の中から外を眺めた。
コメント
1件
こはるさん、第16話読みました! ついに前前世の記憶が!♡♡♡屋から神様に地獄行きを宣告されて…って、重い過去が一気にきましたね。でも「なぁぜなぁぜ」って言う神様、ムカつくけど憎めない感じがいいキャラしてます。 七歳になったグレーテ、ちゃんと星霊の剣の感覚を取り戻してるのが頼もしい。ラストの無愛想なニルス視点との切り替えも、世界の広がりを感じさせてくれて好きです。次が楽しみ!