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朝四時半。
まだ夜の延長のような時間に、目が覚めた。
外は静まり返っていて、世界全体が息をひそめているようだった。
本音を言えば、もう少しだけ布団の中にいたかった。
だが、今日はそうもいかない。
――日課の筋トレを再開する。
合同練習以来、身体の衰えをなかったことにするのはやめた。
リビングの片隅に置いたダンベルを手に取る。
軽めのはずだが、朝一番には十分な存在感がある。
肘の様子を確かめながら、ゆっくり動かす。
勢いはつけない。
回数も欲張らない。
筋肉をつけるというより、
「まだ動ける」と身体に思い出させるための時間だ。
数分で終わる。
それだけで、気持ちが少し前を向く。
六時半、出発。
外はまだ真っ暗で、車のライトが道路を切り取る。
この時間帯の出勤は、どうしても気分が沈みがちになる。
今日は研修日。
研修という言葉に、胸が高鳴ることは正直あまりない。
「本当に勉強になるのか?」
そんな疑問が頭に浮かぶのも、いつものことだ。
それでも、行かないわけにはいかない。
学校に到着すると、校舎は静かだった。
誰もいない職員室は、少しだけ落ち着く。
ふと、思う。
――これがなければ、休みを取れたかもしれないな。
だが、机に座った瞬間、その考えは現実にかき消される。
目の前には、山のような仕事。
書類、確認事項、連絡対応。
本当は見たくない。
けれど、見なければ先に進めない。
一つずつ片づけていく。
淡々と、無心で。
時計を見ると、研修の時間が近づいていた。
資料をまとめ、会場へ移動する。
参加者は二十人ほど。
事前に「人数が少なくなりそうなので」と救援を頼まれていたが、思ったより集まっている。
――まあ、必要とされているなら、それでいい。
そう自分に言い聞かせ、席に着く。
研修は予定通り進む。
説明、資料、事例紹介。
内容は決して無意味ではない。
ただ、現場でどう生かすかは、結局自分次第だと改めて感じる。
協議の時間になる。
積極的に話す人もいれば、静かに聞いている人もいる。
その中に、ほとんど言葉を発しないベテランがいた。
黙って資料を眺め、時々うなずくだけ。
寝ているわけではなさそうだが、存在感は薄い。
――ああいう関わり方も、長く続けてきたからこそなのかもしれない。
そう思うと、不思議と悪い気はしなかった。
協議は無難に終わり、研修も終了。
派手な達成感はないが、
「今日も一日をちゃんと使った」という感覚は残った。
時計を見る。
午後からは、部活。
この瞬間、気持ちが少し軽くなる。
研修よりも、書類よりも、
やはり体育館に向かう時間は嫌いじゃない。
シャトルの音。
生徒の声。
動きの中でしか見えない成長。
それがあるから、この仕事を続けているのだと思う。
――今日は定時で帰りたい。
そう願いながらも、
午後の部活を思い浮かべると、自然と口角が上がった。
2026年は、
学ぶ日もあれば、教える日もある。
そしてそのどちらも、
体育館へ向かう足取りで、
少しだけ前向きに変わっていく。
私はバッグを持ち、
楽しみにしている場所へ向かった。