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第4章:逃げられない檻日向の家は、静まり返っていた。
リビングに通された谷地は、ソファの端に縮こまり、震えながら天井を見上げていた。
両親には日向から「部活の特別合宿の準備で泊まりになる」と連絡がいっているらしく、もう逃げ出すことは不可能だった。
ガチャリ、とリビングの扉が開いた。
制服の上着を脱ぎ、ワイシャツ姿になった日向が、手にトレイを持ってきた。
その上には、湯気が立つ温かいスープと、綺麗に盛り付けられた食事が乗っている。
「ほら、食べて、仁花ちゃん。お腹空いたでしょ?」
日向は優しげな笑みを浮かべながら、谷地の目の前にトレイを置いた。
しかし、その目の奥底には、獲物を逃がさない獣のような冷徹な光が宿っている。
「……いらない、食べられないよ……」
「そんなこと言わないの。俺がせっかく作ったんだよ? それとも、俺の作ったものじゃなくて、他の男が作ったものがよかった? 例えば、影山とかさ」
「ち、違う! そういうのじゃなくて……っ!」
「じゃあ、食べて。口開けて、あーんってしてあげるから」
日向はスプーンにスープをすくい、谷地の口元へと無理やり近づけた。
逃げようと顔を背けようとすると、日向の反対の手が谷地の後頭部をガッチリと掴み、逃げ道を完全に塞いだ。
「ほら、いい子だから。逆らわないでって言ったよね?」
「んっ……!」
無理やり口の中にスープを流し込まれ、谷地はむせ返りながらも飲み込むしかなかった。
涙がポロポロとこぼれ落ち、頬を伝って顎からポタポタと床に落ちていく。
その様子を見て、日向は嬉しそうに目を細めた。
「美味しい? よかった。ねえ、仁花ちゃん。もう学校も、バレー部も、全部やめちゃえばいいのにそしたらさ、俺たちは一日中ずっと一緒にいられるよ。誰にも邪魔されずに、二人きりで暮らせる。すごく素敵なことだと思わない?」
「そ、そんなの……おかしいよ……! バレーも、学校も、私の人生なのに……!」
「人生? 何言ってるの。仁花ちゃんの人生は、最初から俺のものだよ。俺が拾って、俺がここまで特別にしてあげたんだから。それを忘れたなんて言わせない」
日向の言葉はあまりにも重く、そして狂気に満ちていて、谷地はもう反論する気力すらなかった。
頭が真っ白になり、ただ目の前の「暗い太陽」に焼き尽くされていくような感覚だけが、全身を支配していた。
コメント
1件
うわあ……読んでて胸がぎゅーってなったよ。日向くんの「優しさ」の裏にある執着が、もう完全に狂気の領域に達してて、仁花ちゃんが無理やり食べさせられてるシーン、ほんとに辛かった。涙が床に落ちる描写とか、細かいところがリアルでゾッとする。こんなに重い方向に持っていくの、すごい表現力だと思う。続き、どうなっちゃうんだろう……ちゃんと読ませてもらうね。
ゆの
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