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「穂乃果ちゃんを愛する気持ちは、月城さんに負けません。そこだけは絶対に勝ってる自信があります。だから、すぐには彼女を忘れられないし、忘れるのにいったいどれだけ時間がかかるのかわかりません。それを考えたら……確かにちょっと怖くなります」
そう言って、少し、笑った。
「でも、僕は2人のことは応援します。遠くから穂乃果ちゃんの幸せを願います。月城さん……絶対に、絶対に、穂乃果ちゃんを幸せにして下さい。あんな素敵な人、泣かしたら……僕は絶対許しませんよ」
鏡越しに俺を見て、真剣な眼差しで氷野さんが言った。
「わかりました。必ず幸せにします。俺も、心の底から彼女を愛してますから」
氷野さんは、ゆっくりとうなづいた。
俺はカットの続きをしながら、穂乃果を幸せにしたいと、ただそのことだけを考えていた。
「ありがとうございます。さすがですね、こんな感じの髪にしてみたかったんです。嬉しいな」
「それなら良かった。氷野さん、ぜひまた予約して来て下さい。お待ちしてます」
「……ええ、ぜひ。ありがとうございます。いつか……また」
全てが終わって、氷野さんは笑顔で挨拶をして帰っていった。
正直、俺はホッとした。
氷野さんが本当に素晴らしい人格者で良かった。
それにしても……
穂乃果は自分の魅力に全く気づいていない。
可愛くて、優しくて、一緒にいてとても癒される。その可愛らしさの中に大人の色気も持ち合わせていて、男として、とても惹き付けられてしまう。
輝も、氷野さんも……
本気で彼女を想っている。
これからも、そんな男性が出てくるかも知れない。
そう思うと不安になった。
早く穂乃果を自分だけのものにしたい。
絶対に、誰にも渡さない。
俺は、強くそう思った。