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〈凸もり視点〉
………もう、死のうかな
どうせ俺なんかうたちゃんの隣に相応しくなかったんだ。
今、うたちゃんを支えてくれているニグさんの方が、よっぽどお似合いだ。
…苦しんで死んだほうが良いかな、せめてもの罪滅ぼしとして
なんかいいのないかな…
ロープかなんかないかと思って部屋の中を探したが、当然そんなものなかった。
外に出る気力はないな…代わりになりそうなもの…
「凸さん!!!!!」
べるちゃんが俺の部屋に飛び込んでくる。
べるちゃんがノックしないなんて珍しい。
そう思いながら振り向くと、べるちゃんの目には涙が浮かんでいた。
「う、うたいさんが…」
「事故、に…あったって…」
は………………………?
「え、は、なに、それ…なんでだよ…」
なんで、何も悪くないうたちゃんが、こんな不幸な目に遭うんだよ…?
………あ、そっか
俺のせいか
「…ニグさん」
呼吸器を付けて、包帯を頭や体に巻かれたうたちゃんの眠るベットの横にニグさんはいた。
振り返ったニグさんの顔は酷かった。眠れていないらしい。
…うたちゃんはショッピングモールに突っ込んできたトラックに轢かれたらしい。
「…これってさ」
ニグさんの声は震えていた。
「誰が、悪かったのかな…?」
そんなの…………………………
この世界。うたちゃんを不幸にしてしまったこの世界だよ。
………俺は責任を世界に押し付けたかったのかもしれない。
「…俺、だよ…」
そう言うと、ニグさんの顔はみるみる内に歪んでいって、俺の首を締め付けてきた。
「あ”…ぐぁ”…」
「ニグさん!?」
べるちゃんが叫ぶ。
「ニグさん…!?落ち着いて!」
病室に入ってきたさもさんが、俺からニグさんを引き剥がす。
「ぅ”…ぁ、ああ…」
ニグさんは抵抗せず、ただ泣き続けていた。
「ほら、一旦落ち着こ?眠れてないんでしょ?ちょっと寝た方がいいよ。」
さもさんは気まずそうに俺を一瞬見てから、ニグさんと一緒に病室を出ていった。
「…私も一旦出るね。他の皆にも伝えないと…」
そうしてべるちゃんも病室を出ていった。
…俺とうたちゃん、二人きり
何が悪かったんだろ。何が駄目だったんだろ。
「…ごめんなさい、ごめんなざい…」
こんな、謝っても何も変わらないのに。
「凸さん、泣かないで…」
「!?」
見ると俺の手に、うたちゃんの手が重なっていた。
「え、は、うたちゃん…?」
「…うん、ちゃんと…思い出したよ…」
起きたばかりだからか、まだうたちゃんの顔色は良くない。
ただ、俺はうたちゃんが無事だったのと、うたちゃんの記憶が戻ったことが、とにかく嬉しかった。
「…ごめん、やっぱ俺、うたちゃんのこと大好きだ…」
「うん…僕も!」
天使のような笑顔を浮かべてくれる。
────けどそれと同時に悪魔でもあった。
何もかも吹っ切れてしまったうたちゃんがこれから起こす行動は、俺が招いてしまった結末で、残酷なことだった。
けど、俺はそれを心の何処かで望んで居たのかもしれない。
俺はうたちゃんの頭を、壊さないように優しく撫でた。
コメント
2件
うわ…え…あ………なんか…もう…神? 思い出していいのか悪いのか…
記憶戻ってよかったよ…でもこっから色々複雑になりそうだな…