夜のスタジオ。
リハーサルが終わって、機材を片付けるスタッフの声がまだ響いていた。
若井はギターケースを背負いながら、ちらちらと大森の方を見ていた。
「……なぁ、元貴。」
「ん? なに?」
振り返った大森の口元には、疲れているのにどこか余裕の笑みが浮かんでいる。
「俺らさ……付き合ってるんだよな?」
唐突な問いに、大森は目を丸くした後、ふっと笑い出した。
「なにそれ、今さら確認?」
「いや、その……言葉で、ちゃんと聞きたいんだよ。」
大森はわざと首を傾げ、悪戯っぽい目を向けてくる。
「ふぅん。じゃあ“証拠”見せてよ。俺と付き合ってるって、どこで分かるの?」
「証拠って……えっと……」
「もしかして、こないだ手ぇ繋いだくらいで“俺ら付き合ってます”って思ってんの? かわいい〜」
頬杖をついてわざと馬鹿にするように笑う元貴。
若井の顔はあっという間に赤くなった。
「そ、そういうことじゃなくて!」
「じゃあどういうことよ?ほら。言ってみ?」
耳元に近づいて囁かれる声に、若井の心臓は破裂しそうだった。
「お前さ……からかってるだろ。」
「うん。でもさ、もし本当に付き合ってるなら……ちゃんと口で言えるだろ?」
じりじりと追い詰められていく。
若井は思わず、息を詰めたまま視線を落とす。
「……なぁ元貴。本気で聞いてんだ。どう思ってるんだよ。」
その声に、大森は少しだけ真顔になった。
だが次の瞬間、またにやっと笑う。
「……やっぱり焦らされるとかわいいな、お前。」
「……っ、言えよ!」
「言ってほしいの?」
「……あぁ。」
「じゃあさ。“彼氏は元貴がいいです”って言ってみ?」
「なっ……!」
「早く。言えないなら、俺たち“付き合ってない”ってことにするけど?」
挑発的に目を細める大森。
若井は限界まで追い込まれて、震える声でやっと口にした。
「……俺の彼氏は、元貴がいいです。」
一瞬の沈黙。
大森は大きく瞬きをして、ふっと息を吐いた。
「……やっと言えたな。」
「……くそ……からかわれてばっかだ……」
悔しそうにうつむく若井の頬に、大森はそっと触れる。
「安心しろよ。俺たち、ちゃんと付き合ってるよ。」
その一言に、若井の視界がじんわりと滲む。
「……っ、ほんとに……?」
「うん。だから泣くなって。ほら、顔ぐしゃぐしゃ。」
「……お前が焦らすからだろ……」
「ふふ。だって、お前がめちゃくちゃかわいいから。」
最後は、恋人つなぎした手をぎゅっと握って。
2人だけの秘密の答え合わせが終わった。
コメント
4件
大森くんがめっちゃぐいぐいいってる〜 ちょー可愛い!!次はひろぱ何されちゃうんだろ? ちなみに発表会は少し間違えちゃったけど自分なりには うまくいってよかった!!
わ…!尊い!尊すぎる…! 小悪魔なもっくん、可愛すぎんか…? 尊すぎて、心の中で、発狂してます! 主さん、いつも素敵なお話ありがとうございます✨ 次のお話も楽しみにしてます!