※ コウを追いかけてを聴きながら読むのがオススメです。
ある、水曜日の朝…
君は突然、僕の前から姿を消した。
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その日はいつもと特に変わりのない日だった。
「なぁ、アオイ !! 早く帰ろうぜ !!」
君はいつもと変わらない顔で僕にそういう
事件が起きるとか、問題が起きるとか特にそういうのはなかった。
ただ、なんだろう…
いつもと変わらない顔のはずなのに
いつもと何も変わらない水曜日のはずなのに…
僕は心の中でコウに違和感を覚えていた。
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そして、翌日…
いつも通り、コウといつもの場所で待ち合わせをする。たけど今日はなんだか不吉だった。
カァー カァー
「わっ…、 」
カラスが集団で空を飛び、外にはいつも見かけないはずの黒猫も何匹か見かけた。
(コウ、まだかな…)
僕はそう思いながらもコウを待ち続けた。
だけど、どれだけ待ってもコウがいつもの場所に来ることはなかった。
その日は遅れて学校に行って、確かめてみるつもりだった。
もしかしたらコウは僕に内緒で先に行ったのかもしれない。
そう思い、遅れてはいたものの今までにないくらいのスピードで僕は学校に向かった。
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学校に着くとコウのいた痕跡とか席は全部なくなっていて先生や友達もそのことを気にしていないようだった。
「先生 !! コウは!? 」
僕が慌ててそういうと、先生は何も分からないとでもいいたげな顔で、僕に…
「コウは…、家庭の事情で転向することになったんだ。だからもう忘れなさい。」
そういった。
訳が分からない、なぜ僕に一言も言わずどこかへ行ってしまったのか。
なんで、なんで…
昨日までのコウは悲しむ素振りもなんも見せないで、いつも通り明るく元気なままだった。
「じゃあ…」
今思えば、昨日のコウにはちょっと違和感があった。
いつもは目が合うのに、目が会った瞬間の逸らす。
いつもは自分から話しかけてくるのに、昨日は話しかけてこなかった。
なんと言っても最後の別れ際のあの笑顔が1番違和感があったかもしれない…
そう思い、僕は少し後悔した。
気づいて僕が先に聞いていれば何か変わったかもしれない。
そう思いながら僕は席に着いた。
「では、国語の授業を始める。教科書102ページから___」
「…あれ?」
教科書を出そうと机に手を入れると、中には教科書とひとつの手紙が入っていた。
「瀬戸、どうした?」
「いや、なんでもありません。」
「ならいい、続けるぞ。」
手紙を開けてみると、中には【アオイへ】と書かれた紙が入っていた。
【アオイへ】
『これを読んでるってことはきっともう僕は学校に居ない。
先生には転校すると伝えてたんだけど、アオイはそれじゃ納得しなさそうだからこの手紙を残すよ。
僕はちょっとだけ遠いところに行くことになったんだ。
大丈夫、行先はもう決まってるし、道にも迷わないよ
俺はあの日、未来の方角を見つけた。だから俺は行く。
もし、アオイが僕のことを探すなら
天淋公園の時計を見に行って、少しだけ時計がズレているはずだよ。
そこに僕からのヒントを置いておいたんだ。
君が僕を探さないなら幸せに生きて欲しい。
もちろん僕はこっちの選択を望んでる。
アオイを巻き込みたくない。
これで最後だ
ヒントの意味がわかったらそのあとの選択は君に任せるよ。
コウより…』
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その日の放課後、僕は天淋公園に向かった。
「時計が少し、ズレている…」
見てみると時計は本当に少しズレていた。
多少ズレているだけだったけど、そばにはちゃんとコウからのヒントらしき紙が落ちていた。
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