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鷹槻れん/鷹槻うなの

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鷹槻れん/鷹槻うなの

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臣桜
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#恋愛
水無月 京
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他の個室からの賑やかな声が、わずかに聞こえてくる。静謐な空間と、これから始まる会合の見通しの悪さが緊張感を誘い、ソワソワしてくる。
「どしたの」
私の挙動不審さを感じ取ったのか、隣で豆さんが揶揄を含んだ調子で話しかけてくる。
「なんかだんだん緊張してきました」
「なんでよ。飯食うだけでしょ」
「そんな表向きの理由だけで終わると思えないじゃないですか」
「そう?」
俺は飯食う以外に何もしたくないんだけど。
「俺なんのためにランチあんな軽っいモノにしたと思ってんの」
「今日アラカルトなんですか?」
「え、まさかコース?」
コースだとしても追加で頼んでやるわ。
豆さんのこだわりが、やや違う方向にでてるな…!
でも、上司の肩の力がこれだけ抜けているなら、私だけが緊張しても意味がないのかもしれない。目の前の水を一口飲んで、少しだけ大きめに息を吐く。
「まあ、気になさんな」
やっぱり私の心を見抜いたのか、的確な一言が飛んでくる。メニューを眺めていたはずの彼の視線は、私に柔らかく向けられているから少しだけ鼓動が早まる。
「弓家さんには迷惑がかからないようにするから」
「いえ、それは…」
「ま、すでに巻き込んで散々迷惑掛けてるけどね」
私にはなんの力もないけど、豆さんの助けになるならなんだってしたい。そんな、身勝手で暑苦しい気持ちを吐露する前に、豆さんは彼なりの正義を語り始める。
「パートナーと秘書は割と一心同体のように見られるけど、本来それが健全かと言われると俺はそうは思わない」
少しだけ、背筋がヒヤリとした。
「こんなくだらない話に、本来秘書を巻き込むのが無理筋なんだよ」
だから、もう今日だけな。
苦笑いする豆さんに、私はうまく笑顔を返せたのだろうか。
私の気持ちが、なんとなく先回りして否定されたような気がして。
「やあやあやあ」
突如、無遠慮にガラリと障子が開かれたかと思えば、遅くなってすみませんね、とガサツな大声が小部屋に響く。
「この時間、道が混んでましてね。いやあ、クライアント先から急いできたんですけども」
靴を脱ぎながらもなおも喋る伊藤さんと、その数歩後ろで待っている秘書さん。彼女も一緒にクライアント先に出向いた、のだろうか。
「まあこの時間は仕方ないですね。我々も余裕持って出ましたけど結構ギリギリで」
豆さんがよそ行きの薄い笑みを貼り付けて伊藤さんを歓迎する。
「ああ上座まで。申し訳ない」
相変わらずの薄気味悪い笑顔を浮かべながら、豆さんに会釈し、そして私の顔をじっと見つめる。過去のことを思い出したんだろうか、とか、何か顔についてるだろうか、とか色々なことが過ぎりその視線のやり過ごし方を探っていれば、
「どうしました」
横から柔らかい中にも少しだけ鋭さを持った言葉が飛んできて、伊藤さんの視線が豆さんに移る。助かった、という気持ちが正直なところだった。
「いやいや。相変わらずお綺麗ですなあ大豆生田さんの秘書さんは」
ガハハ、と笑う伊藤さんはつい見惚れてしまいまして、と椅子を引いて腰掛ける。物静かな彼の秘書は、そっと隣の椅子に座る。
新人の彼女の表情はほとんど無に近くて。こんな上司とうまくやっていけているのだろうかと他人事ながら心配になる。今度機会があれば話を…
「伊藤さん、そういう発言今時アウトですよ」
彼女のフォローを考えていれば、豆さんの呆れた声が響く。相変わらず豆さんも笑顔を貼り付けているけれど、いつでも剥がれてしまいそうな危ういそれは、私ですらはっきりとわかる。
「あら、厳しいね大豆生田さん。もしかして今回はお気に入りの子?」
全く折れないどころか、きな臭いことを言い始める伊藤さんに、豆さんは眉を顰める。彼に助けてもらうだけじゃなくて、流石に私も何か言い返した方が、と思案し始めれば。
失礼します、と店員がタイミングよく現れた。お茶のセットにメニューの説明、ドリンクの注文と、店員の一連の案内に対応し終えれば、流石に話題は違う方向に向かって安心する。
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