テラーノベル
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港からかなり離れた郊外。誰も使わなくなった廃ビルの3階に、二人は身を潜めていた。
壁はひび割れ、風が隙間から鳴いている。
それでも、ここには敵も追手もいなかった。
🎼📢「……ここなら、しばらくは安全だ」
🎼🌸「寒いね……」
🎼📢「我慢しろ。
この毛布、半分しかねぇけど……ほら、使え」
🎼🌸「いるまは?」
🎼📢「俺は平気だ」
🎼🌸「嘘。
肩、まだ血が出てる」
らんが小さな声で言うと、
いるまは少し視線を逸らして笑った。
🎼📢「……お前、ほんとによく見てんな」
🎼🌸「見てなきゃ不安になるもん」
らんは拾った救急箱を抱えて、
彼の隣に座る。
古びた包帯と消毒液。
震える手でキャップを開け、傷口にそっと当てた。
🎼📢「……いって」
🎼🌸「ごめん!」
🎼📢「はは……いいよ。
お前がやってくれんなら、痛ぇのも悪くねぇ」
冗談のように言って、
いるまはふと息をついた。
らんの手が、驚くほど優しい。
その温かさに、何かがほどけていく。
🎼🌸「……ねぇ、いるま」
🎼📢「ん」
🎼🌸「あんたさ、
人を殺したこと、あるんでしょ」
その問いに、少し空気が変わった。
火のついていないランタンの明かりの中、
いるまはしばらく黙っていた。
🎼📢「ある。
数も覚えてねぇくらい、な」
🎼🌸「……怖くなかった?」
🎼📢「最初はな。
でも、そのうち何も感じなくなった。
感じなくしねぇと、生きられなかったから」
🎼🌸「……じゃあ、今は?」
🎼📢「今は……もう無理だ」
🎼🌸「え?」
🎼📢「お前見てたら、
もう二度とそんなことしたくねぇって思う。
血より、温もりのほうが……ずっと重ぇんだなって」
らんの手が止まる。
胸の奥がきゅっと締めつけられるような痛み。
🎼🌸「……俺なんかのせいで、変わっちゃったの?」
🎼📢「“せい”じゃねぇ。
“おかげ”だよ」
🎼🌸「……」
🎼📢「お前が生きててくれるだけで、
俺は、俺にまだ人間らしいとこが残ってんだって思える」
その言葉は、らんの心を深く揺らした。
包帯を巻く手が震えて、思わず顔を俯かせる。
🎼🌸「そんなこと言われたら、泣く……」
🎼📢「泣くな。泣くと余計弱く見える」
🎼🌸「でも、泣いてもいいって言ったの、いるまだよ」
🎼📢「……あー、そうだったな」
二人の間に、微かな笑い声。
廃ビルの風の音に混じって、
どこかあたたかい空気が生まれていた。
🎼📢「らん」
🎼🌸「なに?」
🎼📢「……お前の手、あったけぇな」
🎼🌸「いるまの体、冷たいよ」
🎼📢「そりゃ、血が出てるからな」
🎼🌸「……だから、もう少しこうしてて」
らんはためらいながらも、
そっと彼の手を包んだ。
互いの鼓動が静かに重なる。
それだけで、世界の音が遠のいた。
🎼📢「……お前が傍にいるだけで、
今まで見えなかった景色が見える気がすんだよ」
🎼🌸「……それって、どういう意味?」
🎼📢「さぁな」
そう言って、いるまは少しだけ笑った。
その笑顔は、戦場のどんな光よりも穏やかで、
らんの胸に焼きついた。
その夜――
らんは初めて、怖くない夢を見た。
冷たい銃声の代わりに、
誰かの温もりに包まれる夢を。
コメント
1件
めあさん、第25話読みました……。 廃ビルの静けさの中で、いるまが「お前がいてくれるおかげで人間らしさが残ってるって思える」って言うところ、本当に泣きそうになりました。血よりも温もりのほうが重いって台詞、重くて優しくて心に刺さりました。最後の「怖くない夢」で、二人にやっと明かりが差した気がして、静かにじんわり温かくなりました。包帯を巻く手と手の温度の描写が美しくて、胸がいっぱいです……🌙
#すちみこ
りお
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めあ🎼☔️
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