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ちょいグロ
「え__」
絵の具のように明るい、赤色の液体が飛び散った。
ライヒタングルが生き返ったのだ。
「お母様!!」
ノルウェーが慌てて駆け寄った時にはもう遅かった。デンマークの身体がライヒタングルに吸われていく様子を、黙って見ているしかできない。
「お母様に……何をするんですか」
怒り狂ったノルウェーが槍斧を振り回したが、効果はない。
「リトアニアの時と何が違うんだ?」
俺はひどく冷静に、素直な疑問を口にした。動きを止めようと射撃を続けていたフィンランドが、少し考えてから答えた。
「デンマークはリトアニアたちと違って陸上国境のほとんどをドイツと接している。おそらく、本土扱いになって救出不可能になったんだろう」
口先では落ち着きつつも、フィンランドのエイム能力は明らかに下がっていた。300m以内なら百発百中のはずなのに、銃弾があちこちに飛んでいってしまっている。
ひとまずエストニアがスタンガンで動きを止め、拠点に戻って作戦を練り直すことになった。
「話はフィンランドからトランシーバーで聞いたよ。メンタル的には大丈夫そう?」
玄関の扉を開けると、眉の下がったスイスとリヒテンシュタインが立っていた。俺たちはひとまず大丈夫そうだと答え、中に入れてもらった。
デンマークがいなくなったことで、グループの再編成を考える必要が出てきた。
「今の平行四辺形もいいと思うけど、丸の形になってぐるっと囲んで攻めるのもいいと思う。並び順はグループタイプだった時と同じで」
オランダがボソッと呟いた。ハイネケンの瓶を手にし、アルコールが回り始めている様子だった。
「じゃ、それで決定ね。明日には僕も前線に行けると思うから安心して」
スイスがそう言ったところで、周囲の空気は再び深く沈んだ。誰も口を開こうとしない。肩を震わせて今にも泣き出しそうになっているノルウェー、自分を責めるように俯くフィンランド、いつもの強気な様子とは打って変わって静かなイギリス。
「みんな、こんな時こそなんね。ぴっつぁ食べて元気出すんよ」
イタリアが無理に明るく言った。
「キッチン、どうぞ」
スイスが消え入るような声でキッチンカウンターを使えると言ったが、イタリアの足取りは重かった。数十分後、彼が完成したピザを持ってくるまでは誰もが黙り込んでいた。
何も言わずに手をつけたピザは、味がしなかった。スペインが一回くしゃみをしたのと、咀嚼以外は音が聞こえなかった。
「明日はオランダの提案通り討伐作戦を進めよう。リヒテンシュタインの体調も大丈夫そうだし、僕が指揮するからフィンランドは戦闘の方に集中して」
外は、ライヒタングルが現れた日のような曇り空だった。
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