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「…涼ちゃんのこと、俺が上から下まで全部管理してあげるからね。ほら、早くパンツ脱いで」
…そんな若井の一言で僕の地獄の日々が始まってしまった。
「涼ちゃん、さっきの電話誰?」
「涼ちゃん、こっち向いて、俺だけ見てて」
「涼ちゃん、好き。愛してるよ」
僕の彼氏は愛が重い、とにかく重い。
家に居る時だけでなく仕事中にも恥ずかしくなるようなことばっかり囁いて僕の反応を楽しんでる。この前なんかレコーディングに向けてキーボードの練習をしていたらいきなり後ろから好きだよなんて囁くと同時に耳を甘噛みされた。 驚いた僕はピッなんて間抜けな声とともに鍵盤を両手で打ち付けてしまい、現場のスタッフさんには体調が悪いんじゃないかと心配され、元貴には呆れを含んだ目で見つめられてどれだけ恥ずかしかったことか…!
でも、だけど、その重さに安心している僕がいる。だってさ?それってそれだけ僕のことを好きで好きで、離れたくないってことだよね。
僕も絶対若井と離れたくないし、なんだかんだお似合いなのかも、なんて。
若井に愛されているという事実につい口元が緩んでしまい、仕事中であったことを思い出し首をフルフルと振って自分の頬を軽く叩く。
変な顔してるの元貴に見られたらまたなんて言われるか分からないからね。
今日帰ったら晩御飯何作ろうかな、きのこと豚肉の炒め物なんてどうだろ。またきのこ?なんて言いながらいっつも美味しそうに食べてくれるんだよね。
それと、若井は僕のこと可愛いなんていうけど、ご飯食べてる時の若井とっても可愛いんだよね。口いっぱいにご飯を頬張る姿を見て、こんな動物いたなぁーといつも思う。
ご飯を食べた後には…自分からキス、しちゃおうかな。いややっぱり恥ずかしい無理!
…あーやばい、今すっごく幸せだなぁ。
一度引き締めた口もとがまた緩みだして、フフッと声が漏れてしまう。
「涼ちゃん」
「あれ、元貴。マネージャーさんとの話はもう終わったの?」
「うん、僕はね。今は若井がマネージャーさんと話してる。それよりさぁお願いがあるんだけど今大丈夫?」
「うん!元貴のお願いならなんでもー」
「良かった、実は今次のライブのキーボードのアレンジ迷ってて。この後俺の家に来てくれない?」
「えっ、いいけどここじゃダメなの?」
「結構行き詰まってるから場所変えたら気分転換になるかなと思って」
「わかった!すぐ行こ」
若井に伝える…のはマネージャーさんと話してるなら邪魔しない方がいいか。後でラインしよ
そう思った僕は元貴とタクシーに乗り込み、元貴の家へと向かった。