kkvv注意(カプ固定なし)
vv→『』
kk→「」
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この辺では、最近事件が続いている。
信号無視など軽犯罪から万引き、窃盗など重いものまで。
俺が住んでいるのは、そんな治安が悪いところ。
ある日、すぐ近所で、殺人事件が起きたというのだ。犯人は逃走中。
『結構やばいか?これ』
とりあえず家の鍵は全部閉めた。
『kkに連絡しとこう』
と思った途端、kkから連絡が来た。
〈vvくん大丈夫?!殺人事件あったんでしょ!?〉
『…相変わらず、心配性なこってw』
《俺は大丈夫》
〈よかったぁあ〜…〉
《てかなんで知ってんの?もうニュースになった?》
〈え?〉
〈あ、知人から聞いたんだよ〉
『kkってこの辺に知り合い居たのか…?』
《まじ?てかお前この辺に知り合いいたんか》
〈親戚なんだよ〜〉
《なるほどな》
『…kkって、親戚あんまいないんじゃなかったっけ…』
『なんか考えるほど怖くなってきたわ。もう寝よ』
『いや今寝たらまずいか?ただでさえ殺人事件起こってんだもんな』
『……今日はオールかぁ〜!!w』
1人、変なテンションで喋る。
『…kk…大丈夫かな』
kkの家は言うほど近くもないし、心配いらないと言われればそうなんだけど
やっぱ心配なんだよなぁ…今頃1人でビビってねぇかな…?
『…1番ビビってんのは俺か』
『kkなら大丈夫に決まってる』
自分にそう諭し、寝ないけどベッドに寝転んだ。
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ドンドンドンドンッ
早朝、物凄い音で一気に目が覚める。
どうやら、知らない間に寝てしまったようだ。
『本当俺って呑気なやつだな、…ってそうじゃなくて!』
ドンドンドンッ
『…誰だ…?』
インターホンから映像を見てみる。
そこに映っていたのは…
「vvくん!!開けて!お願い!!早く!!!」
血だらけのkkだった。
『は?!』
「殺人鬼に襲われてるの!!早く開けて!!!」
『嘘だろ、え、ちょ……』
kkを助けなきゃいけない。そう思った
そう思ったはずなのに、何故か動けなかった。
「vvくん!お願い反応して!!」
『………』
このまま居留守を使おうとした。
kkは、大事なはずなのに。なんでだ?
『俺は…何してるんだ? 』
その場に立ちすくんでしまった。
突然、ドアを叩く音が止んだ。
はっとして、恐る恐るもう一度インターホンの映像を確認する。
「…あーあ…」
「vvくんって、無駄に勘が鋭いよねぇ」
『……kk?』
その時俺は確信した。こいつは、kkだけど違う。
今逃走中の殺人犯は、kkだったんだ。
その証拠に、kkは手に血まみれのナイフを握っていた。
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あれから何分経ったのか。
未だに2人ドアを挟んで沈黙が続いている。
…いや、俺だけが黙りこくっているだけ。
kkは1人俺に向かって話しかけている。
「vvくーん?あれ?本当にいないのかなぁ?」
「用事あったりしたのかなぁ」
「なーんだ、残念っ」
kkがいなくなったようだ。
何を血迷ったのか、俺は静かに玄関のドアを開けた。
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いなくなったはず。インターホンにも映っていなかったし、物音や話し声、呼吸音さえもぱたりと止んだ。
はずなのに。
「あははっ、なぁんだ、やっぱりいたんだ!」
俺に向けて狂気を感じさせる笑顔を見せてくるkk。
「なんで俺の事無視したの?」
『………』
また無視。…無視、というか
言葉が出ない。
「なんで黙るのー?おーい、生きてる?」
こんな状況だと言うのに、いつものテンションで話し続けるkk。
『……kk』
ようやく喉から声が出た。
「なぁに?」
何故か楽しそうだ。
『な、んで……血だらけなの?怪我したの? 』
何を言っているんだ、俺は。
kkの体についている血はどう見ても怪我によるものではなく、返り血だ。
「……お前、感鋭いの?鈍いの?」
そりゃ、そんな反応にもなる。
『いや、……』
『………』
また黙ってしまう。
「……vvくん」
「なんで黙り続けるの?」
『………』
「…反応してよ…しっかりして、vvくん!!」
がしっと肩を掴まれる。
しっかりして?それはこっちのセリフだ。
「止めて!!俺の事止めてよ!」
「ねぇ、お願いなんか言って!!」
必死に俺を呼ぶkk。
その目には、涙が浮かんでいた。
「おねがい、……俺、また…やっちゃう……!」
…ああ、そういうことか。
kkだけどkkじゃないんだ。
何かに取り憑かれてるのか、はたまた病気や催眠なのか……
そんなこと、今はどうでもいい。
「………もういいよ」
「vvくんも、死んじゃえ。」
俺に向かって振り下ろされたナイフ。
kkの目には、光がなかった。ただ、静かに涙が頬を伝っていた。
『っく……』
なんとか自慢の反射神経で避けた。
と言っても、完全には避けられなくて…
顔をとっさに庇った腕に傷を負った。
『いったぁ……なにこれ…』
「なんで避けるの?」
『は?』
「vvくんだって、どうせ消えたいと思ってるんでしょ? 」
「だから”俺”が殺ってあげようと思ったのに。」
「どうして避けるの?生きることの意味も見い出せないくせに。」
『……』
「ほら、都合が悪いとそうやってすぐ黙り決め込んで。」
「本当いつもそうだよね、vvって。」
うるさい。俺の事分かったような顔で話しやがって。
お前はkkじゃないくせに。
『…お前に何が分かるんだよ』
「分かるよ。4年の仲だよ?」
『俺が4年話し続けてきたのはkkだ。お前じゃない』
「ふーん、屁理屈?」
『違う』
「なんで避けたがるのさ」
「ほら、自殺よりもずぅっと楽だよ?」
『なんで死ななきゃいけねぇの』
「だって死にたいでしょ?」
『別に。お前と一緒にすんな』
「嘘つき」
『もう嘘つきでもなんでもいい。kkを返せ』
「俺がkkだよ?」
『嘘つきはどっちだ』
「はっ、kkのことなぁんも知らないくせに」
『……』
何も言い返せなかった。そうかもしれないから。
4年一緒にいると言っても、俺はまだまだkkを知らない。
こいつの言うことは、もっともだった。
そこで、油断したのがいけなかった。
ざしゅっと鈍い音が響く。
俺は、胸あたりに深い怪我を負ってしまった。
そこは人通りもなく静かな場所だったので見つかるのも苦難だろう。
「はぁ、大人しくしておけば優しく殺ってあげたのに。」
『っうるさい、余計なお世話だ』
「ふぅん、負け犬の遠吠えってやつかなぁ?」
『黙れ』
「ほら、何か言うことある?聞いてあげるよ」
『……お前じゃなくて、kkに言いたいことがある』
「だから、kkは俺だってば」
『もうなんでもいいよ。聞いてくれ…』
「なに?」
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『俺、お前のことが好き…』
こんな時に言うことじゃない。それは分かってる。
『頑張ってくれてありがとう…俺のそばにいてくれて、ありがとう……』
『…多分、お前がいなきゃ俺は……』
そこで俺の意識は途切れた。
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「………」
[お前のことが好き。]
「vvくん、俺を救ってくれてありがとう。」
「…恩を仇で返しちゃってごめんね」
「……っふぐ、うぅっ……」
「ごめん、、ごめんねぇ…っ」
「vvくん、ごめん……っ」
涙がぼろぼろ溢れ出して止まらない。
俺、なんで殺しちゃったんだろう。
なんで”自分”を取り戻せなかったんだろう。
なんで、…vvくんを助けてあげられなかったんだろう。
「俺のせいで……みんなが、vvくんがぁ…っ」
近くでサイレン音が聞こえてくる。きっと誰かが通報したんだ。
ここで、終わりか。
「……vvくん」
ちゅっ。
「愛してくれて……ありがとう」
そういえば、
「あの言葉の続き、何だったんだろう。」
【お前がいなきゃ俺は俺じゃなかった。】