テレビからカウントダウンの声が聞こえる……。
10.9.8.7.6…..
残り5秒になった時、どちらからともなく顔をよせ唇を重ねる。
『あけましておめでとうございます!』
元気な新年のあいさつがテレビから聞こえてもまだ、唇は重なったまま。
目を合わせ、ふっ、と笑い合うとようやく唇が離れた。
恥ずかしそうにうつむく湊に
「あけましておめでとうございます。湊さん」
シンが新年のあいさつをした。
「おめでとう……シン…」
シンから提案された毎年恒例のこの儀式だが、今だに湊は慣れない…。
今年もまたこのイケメンが隣にいるのかと思うと照れずにはいられなかった。
「また照れてるんですか?」
照れてうつむくのも毎年恒例なようだ。
微笑みながらシンが聞いてくるが、慣れるわけがない。1年の終わりから始まりにかけてキスをするだとか…アラサーにとって恥ずかしい事極まりない。
顔をあげようとしない湊をそっと抱きしめて耳元で囁く。
「今年も、2人で、たくさん思い出つくりましょうね……」
2人で…をやたら強調してくるあたりがなんだかいやらしい…。
「あぁ……」
だから、そう返事をするしかなかった。
それじゃあ…シンはそう言って顔を近づけてくる「とりあえず…今から一緒に…」
そこまでシンが言いかけると、シンを押して咄嗟に離れる。
「しませんっ!」
真面目に答える湊にシンがぷっと笑った。
「なにあらぬ想像しているんですか?俺は、一緒に初詣に行きませんかって誘おうとしただけなのに…」
シンの言葉の続きを勝手に勘違いしてしまった自分がなんだか恥ずかしくなって、赤らめた顔を両手で隠した。そんな湊の腕を掴み湊を押し倒す。
「おい…っ……」
シンはニヤリと笑う。
「俺は湊さんの期待に応えようとしているだけですけど」
「期待って……」
そう言って湊は顔を横にそむける。
シンは手を伸ばし、湊の頬にそっと触れた。
「今年はいつ誘ってくれるんですか?」
親指で湊の頬を撫でる。
「湊さんから聞きたい…」
「……」
今度は湊の唇を親指でなぞった。
「この口で俺を誘惑して……」
新年早々大胆なシンの発言に湊はギュッと目をつむる。そして、目を開けると一度まばたきをしてシンの首に手を回した。
「湊さん……」
シンの顔が近づいてくると、右手でシンの顔を止める。
「そう簡単には言わねぇよ!シンちゃんっ!!」
口角を上げてからかう様に言った。
シンは、湊の腕を掴み
「往生際が悪いですよ!湊さんっ」
「新年早々くだらねぇことばっか言ってんじゃねーよ!」
「じゃ、俺が誘惑しますっ」
「はあっ?……」
「いいですよね?」
「いいわけねぇだろっ!っうか、行くんだろ?初詣」
「……でも」
「じゃあ、シンちゃんはお留守してなさいっ!俺1人で行ってくるわ。じゃあな」
「行きますっ!湊さん待ってください!」
今年も楽しい1年になりそうな予感……。
【あとがき】
年内最後の作品になります。
2025年が、皆様にとって素敵な1年になりますように…。
2024.12.31
月乃水萌 拝
コメント
6件
あけましておめでとうございます!😊 今年もお話楽しみにさせてください🥹 応援してます📣 素敵な年になりますように…⛩
2024年もありがとうございました(⁎˃ᴗ˂⁎) 2025年も物語楽しみにしてますね💓 年内最後にまた物語出してくれて嬉しかったです♡♡
2025も物語待ってます‼️ 最近コメント出来ずにごめんなさい🙏🏻いろんな準備でいいねしかできなかったのでこれからいっぱいお話できるの楽しみにしてます💓