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マグカップ
⚠︎irxs ⚠︎青桃 ⚠︎同棲中
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「ないこ、コーヒー入れてくるな」
そう言って隣にいたまろが立ち上がる
「あ、…ありがと、」
「じゃあ、これ。一旦停めとくね。」
「別にええのに、w」
今日は俺もまろも有給をとり、2人で過ごそうと決めた日だった。
「2人で見たいの。」
「はいはいw」
なんて話しながらまろはキッチンに向かっていく。
2人とも25を超えて休日に外に出たいといつ欲も薄れてきていたもんだから、久々に借りてきた映画でも鑑賞しようとなったのだ。
今日はどこも行かないで、普段はしない出前も頼んで、2人きりで過ごす。
そんな1日。
普段仕事でゆっくりできなかった俺らにとっては、最高の時間なのかもしれない。
「はい、おまたせ。」
なんて浸っていれば、まろが戻ってきていた
机に置かれたマグカップ。
同じ形で同じ柄の、色の違うマグカップが2つ。
「ありがと。」
同棲を始めた時に、まろからのプレゼントで貰ったお揃いのマグカップ。
同棲を初めて早数年が経った今でも愛用している
男と同棲なんて、普通おかしいだろうけど、俺のためにまろは了承してくれたのだ。
普通とは少しかけ離れた俺でも、受け入れてくれた。
俺にはまろがいないとどうにもできないんだな、と。
つくづく思ってしまう。
「…俺は、まろがいないとダメみたい。」
「急やな、どしたん?w」
「……別にー。」
なんて言って、まろの方にもたれかかる
「…ま、俺も。ないこがいないとどうしようもないんやけどな」
サラリとそう言って、俺を抱き寄せる
「…まろのそういうとこ、ずるいよね。」
「ふふ、可愛い恋人に負けてちゃ、カッコつかないやろ。w」
お互いの顔は見ず、会話をする。
目線はテレビに向けているのに、内容は全くと言っていいほど頭に入ってこなかった。
マグカップを手に取り、コーヒーを口に運ぶ。
中のコーヒーはまだ、温かい。
マグカップも温かい。
このマグカップが、俺らの仲を保ってくれていたのかもしれない。
…とか。
恥ずかしながら、そんなことを考えてしまうこともある。
でも、それが本当ならどれだけ嬉しいことだろうか。
「ありがとね、まろ。」