「お、宗四郎」
あれから3日が経ち、鳴海との約束の日があと2日にまで迫っていた。
だが相変わらず仕事に追われる保科は、亜白の名代として有明りんかい基地を訪れていた。
そして、用事を終え帰ろうとしたところ、長谷川に声をかけられたのだ。
「あ、長谷川さん。お疲れ様です、お邪魔しとります」
会釈をしながらそう返す。
「あぁ。もうすぐ帰るのか?」
「まぁそうですね…あんま長居しすぎてもあれやし」
正直自分が第1に居ると隊員達に何かしら影響が出るのではと懸念はしている。
「そんな事はない。鳴海も寂しがっているぞ」
「えぇ?あの人に限ってそんな笑」
長谷川から意外な言葉が返ってくるが、顔を合わせればよく分からないイチャモンをつけて怒鳴る上司の顔を想像して、そんな訳がないと一蹴する。
そしてふと、思い出した。
「…そういえば今日鳴海隊長に会うてへんな」
「…あー…鳴海なら執務室にこもって仕事をしているぞ」
「え!?」
思わず声を出してしまった。
だって、あの鳴海隊長が。ゲーム三昧で仕事はいつも長谷川さんに押し付けて、だらしなく布団に寝転んでいるあの人が。
「驚いただろう。3日程前からずっとそうなんだ」
「…ん?3日?」
「あぁ。もしかして心当たりでもあるのか?」
聞き返した自分を訝しげに見ながらそう聞かれる。
「い、いや…」
言い淀んでから、考えを巡らせる。
え、3日前て、…え、僕とご飯行く約束した日やんな…?
…いや、あの人は人との約束の為に仕事片付けるとかせぇへんか。
「そうか。…ん?しまった、もう時間だ」
「用事ですか?」
時計を確認した長谷川が眉を寄せる。
「隊員の相談に乗る約束をしていてな」
「なるほど」
強面やけど優しいんよなぁ、なんて考える。
…あ、そういえば。
「せや、長谷川さん」
「ん、なんだ?」
「鳴海隊長にご飯誘うように言うてくれて、ありがとうございました」
あのまま気まずくなるのは避けたかったので、実は感謝していた。
すると。
「…?、何の事だ?」
本気で分からない、というように首をひねる長谷川。
「え?長谷川さんが鳴海隊長に言うたんやないんですか?」
「……なるほど、そういうことか」
妙に納得したように呟く長谷川に、今度はこちらが首をひねる番だった。
「?」
「いや、何でもない。引き止めて悪かったな」
「いえいえ、とんでもないです」
笑顔を作りそう返す。
「では失礼する」
「はい。お疲れさんでした」
結局分からず終いのまま長谷川は去ってしまった。
「何やったんやろ。鳴海隊長にも会わんかったし」
3日前から仕事してるて。
…あーあ、僕との約束の為やったらええのに。
「!、…?」
自分の考えに驚き、同時に困惑した。なぜこんなことを思っているのかと。
自分との約束の為に、なんてあるはずもない期待を抱き、勝手に落ち込んでいる自分に辟易した。
鳴海を訪ねようかと思ったが、仕事中だろうし特に理由もないのでやめておくことにしよう。
…理由か。そら無いわな。僕他部隊の副隊長やし。犬猿の仲やし。
「…はぁ」
ため息をついて、立川基地への帰路についた。
コメント
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Σ( ˙꒳˙ )ダニィ これは、脈アリ!!!!!!!!!(独断と偏見による腐女子としての判断)ま、マジでか、鳴海さん可愛すぎませんかちょっと( ^^ω)そのままアタックしましょ保科さんや(っ'-')╮=͟͞💗
うへぇ!好きです!!!