そこは、ほわいとすぺーす。俺はそう呼んでいる
何もないわけじゃない。病院みたいな形をしてて、でも分かるのは形だけ。色なんてないし音もない
ただそこに自分という存在があるのかも疑うくらいには何をしても物は動かない、色はつかない、音は響かない
夢だから良いけど。これが現実だったらとっくに気がおかしくなっていただろう
人間は無音のところに数時間放置されると幻聴が聞こえたり、まぁとにかくおかしくなるらしい。色がない所ではどうなるかは知らないけど。毎回、その病院であろう所をさまよって人の気配がして、頑張って向かうけど何もなくて
確かに俺を呼ぶ声が聞こえた
聴こえて向かうけど何もなくて
両手が空を切るだけ。
空気があるのかもわからない。自分が呼吸してると自覚しようとすると途端に息が苦しくなるからだ。
もちろん、苦しいって感覚だけで音は何もないからむせてるはずなのに何もない。
そんなほわいとすぺーすでも、今日進展があった。まぁ、物が増えただけなんだけど。
それは病室の一角に、ベットの上に置かれていた
脳天をかち割られた人のシルエットが。
俺は検死ができるわけじゃない。それでもなんとなく、これは自殺だと思った。なんの根拠もないけどそう直感的に感じたんだ。割れてるくぼみをみれば、ツルハシかなんかの尖っていて重たいもので殴っている感じがある。
勿論血は苦手で、見るだけで失神仕掛ける俺だけど。このほわいとすぺーすは都合がよくて、色なんてないからそういう形をした死体のオブジェクトにしかならない
にしても、これはどういう意味だろうか。
急に死体が表れたと思ったら、それは眼鏡をかけていて、登山服なのだから。
それにこの状態。頭がおかしくなったのか、事故なのか
山の事故なんて、毎年本当の山のこわさを知らずに余裕こいて、軽装備で登り始めるバカな都会の人間だったり
立ち入り禁止のいみを習わずに生きてきた人間だったり
天気という自然現象にあらがえると思っている人間だったり
そんな奴らのおかげで山の事故はよくある話になってるけど。
これは何かがおかしかった。確かにおかしいと感じたのだ
まるでそれは、狂気に侵されているような。
ゴーグルらしい形も見えたから、雪山だろう。
俺の知らない世界が、その死体のオブジェクト一つで作られていた。
そんな不気味な発見があってからまた後日。何時ものように夢はこのほわいとすぺーすで。
おおきな壁ができていた。
繋がりを切ってしまいそうなほどに大きくそびえたつ壁。
まぁ、繋がりを切ることが目的だろうか。
かんぜんに壁にはなっていなくて、一つの箱と小さな道がその壁の繋がりを作っている
入ってみれば制服に身を包んだ、俺とおんなじ身長の何かがたっていた。
その箱の壁を見れば、『優』とか書かれたプレートが複数枚飾られている…様に見えた。
審査でもするのだろうか。この壁を通っていいものかどうかを確かめる為の人間のように感じた。
正直、病院しかなかったところにいきなりこんなものが表れるなんて思ってもいなかったから、この壁は何を区切っているのだろうかと人が審査を待機しているであろう方向に向かう。
歩いてると、そんなことありえないのに爆発音だったり、悲鳴が聞こえる。音のないこの場所で、そう感じてしまうのはなぜだろうか。勿論何も起こっていなくて、静寂なんて言葉で表すことはできない、ただその“空間”を感じる
そろそろ別のほうの景色が見れるかもしれない、そう期待に胸を躍らせてその場からさらに離れようとすれば
息ができなくなった。
目が痛かった
耳が、鼓膜が破けて永遠に治らないような感じがした
とにかく、とにかく不快で直ぐ離れる。今自分は動悸が激しいだろうか?それすらわからない。だって音が無いのだから。でもそれが妙に居心地がよくて、ずっとこのほわいとすぺーすに居たかった。
夢から覚めたくなかった
起きたら鬱陶しい光が網膜を刺して
起きたら騒がしい音が鼓膜を刺して
起きたら否が応でも感じる感情があるから。
ずっとずっと、ここに居たい。ここならおなかもすかないしなにもかんがえなくていいしうるさいやつもまぶしいものもなくてただじぶんがすきなようにすごせるから。しにんみたいにたとえいきをしていなくてもたとえたいおんがなくても。
それがもう、自分にとってはかけがえのないモノで存在しなければ生きれないものになっている。
ずっとずっと、ここに居よう。
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