TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

なんかできちゃった話 こぎつねと名探偵

 ある村にこぎつねがおりました。こぎつねは最近名探偵がでてくるテレビをみています。その名探偵役の者は誰もが知っている様な、有名な役者の大ぎつねでした。こぎつねはそれをみて憧れ、私も名探偵になりたい と思うようになりました。そしてその日からめいっぱい勉強をして、運動もたくさんして、苦手な食べ物も頑張って食べました。あの人に近づきたいという一心で、日々努力していました。

 今日もみるぞとテレビをつけてみると、そこに大ぎつねの姿はありません。そしてその番組もテレビにでていませんでした。お母さんぎつねに聞いてみると、その役者は撮影中に倒れて病院へ搬送されたそうなのです。まぁ、それも仕方がありません。なぜなら大ぎつねは、もう78歳。名探偵という動きのある役を演じるとなると年相応の負担がかかります。こぎつねはそのことを知り、急いで病院へ駆けつけました。

 病院へついて、中をうろちょろしていると、やっとこさあの役者様のもとへつきました。大ぎつねは起きているようですが、どこか痛みがあるような、苦しそうな顔でした。ですが、こぎつねはいることに気がつくと少しびっくりしたような顔をしましたが、すぐ笑顔へ戻りました。こぎつねが少し黙っていると、「どうしたんだい」と、大ぎつねがはなしかけてくれました。

「あのねあのね、大ぎつねさんが体調が悪いってきいてね、それでね、私急いでここへきたの」

そう言って、途中で摘んできた花をみせ、大ぎつねに渡しました。そして言いました。

「あのね、私大ぎつねさんみたいな名探偵になりたいの。だから勉強も、運動もしたのよ。苦手なものだって、食べたんだから。」

と、自慢げに話しました。すると大ぎつねはこぎつねの頭を優しく撫でました。もらった花を、優しく握りながら。

 少し時間がたったころ、またこぎつねが口を開けました。

「ねぇ、私はあとどれくらい頑張ったら大ぎつねさんみたいな名探偵になれるのかな」

大ぎつねさんの大きな手を握りながら言いました。大ぎつねさんは笑ってこたえました。

「もうとっくに、きみはわたしを超えているよ。」

そう言われてこぎつねはびっくりしました。だって、そんな返答がくるとは思わなかったんですから。もう大ぎつねさんを超えているだなんて、思ってもいなかったんですから。なんで、なんで、と大ぎつねさんにききました。大ぎつねさんは笑いながら答えてくれました。

「わたしはもう年寄りだからね。でもきみはかけっこもたくさんご飯を食べるのもできるだろう。だからきみはもうすでにわたし超えているよ。」

こぎつねは少し意味がわかりませんでしたが、何となく、わかった気がしました。夕焼けの光が、大ぎつねさんの大きな耳や鼻を照らしました。

 こぎつねは家に戻って、お母さんぎつねに今日の出来事を話しました。お父さんぎつねが仕事から戻ってきて、もう一度話しました。誇らしそうに、楽しそうに。

 それからのこと。大ぎつねさんが亡くなり、こぎつねは悲しみに暮れました。ですが、こぎつねはまだ名探偵になることを諦めていませんでした。人に優しく、勇気のある素敵なきつねとなり、村ではすっかり人気者に。

 今ではもう、 こぎつね と呼ぶものは誰もいません。それは成長したこと。もう一つは、大ぎつねさんのような大きな背中を持っていたからかもしれませんね。

なんかできちゃった話 大ぎつねと名探偵

なんかできちゃった話

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

3

コメント

1

ユーザー

こん🤘

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚