あの日から僕の心はずっと雨だった。
「止まないな」
天気も、心の雨も。
ずっと夢を見てたんだ。僕は
今更願ったって意味ないのに。
こんなことを考えながら歩いていると、班のメンバーが目の前にいた。
「なんでそんなに落ち込んでるんだよ〜」
1人が言った。
するともう1人が
「南雲さんの件だろ?あれは前川も悲しんでたぜ?元気出せよ、な?」
こんな南雲さんに興味一つない奴らに言われても説得力があるとはとても言えなかった。
そんな話をしていると南雲さんがよく通った声で
「おはよう」
と言って通り過ぎて行った。
やはり好きという気持ちは加速していく。
恋とか愛とか別れる時に辛いだけなのに。
悲しむのが嫌ならばしなければいいのに。
なんてことをついこの前まで思っていたが、やめたくてもやめられないのが恋なんだな、と実感した。
朝礼
南雲さんが気になって仕方ない。
いつもなら自分でもキモいと自覚していたからこんなことはしないと自分で決めていたが、こんな状況にもなると気になるのは僕だけなんだろうか。
南雲麗転校当日
見知らぬ女子たちが南雲さんへ花束やメッセージつきの色紙などを用意していた。
前川さんは何かよく分からない箱を渡していた。
僕は南雲さんのことしか頭になくて、プレゼントなんて当然用意していないし、用意していたとしても当たり前のことだが公共の場で渡せるはずがなかった。
放課後、家とは真反対の方向に足を運んでいた。
まったく、どこまで南雲さんのことが好きなんだと自分でも呆れていた。
そんなことやあんなことを色々思っていたら南雲さんの家のチャイムを鳴らしていた。
あんなこと、こんなことを思い出しながら待っていると南雲さんの部屋へ案内されていた。
そして南雲さんと声が枯れるほどに笑った。
帰り際、南雲さんが秘密の話をしてくれた。
「私ね、転校するけど、すぐに戻ってくるよ」
僕は嬉しかった。
不思議と、、いや、安心感と嬉しさに包まれてその場で目を潤ませていた。
南雲さんの家を後にした時、時間は7時を過ぎていた。
そして今まで我慢していた涙が一斉に溢れ出し、それからは止まらなかった。
そして涙を遮るように笑みも溢れ出てきた。
コメント
16件
ありがと!! そう言って貰えるとやる気出る! これからも頑張る!
凄い凄すぎる! 本当に言葉が出ないよ 零の作品は凄いね尊敬するよ! これからも投稿がんばれ!