次のページを見ると少しとんで8月の記しになっていた。
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2005年8月13日(土)
久しぶりに日記書きます。今日おじいちゃんのおはかまいりにいきました。柔道場に行かなくていいからラッキーでした。帰りに誠くんと会いました。
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照りつけるように暑い八月の半ば、誠は静岡県熱海市に旅行に来ていた。車で行く予定だったのだが昨日母が買い物に利用した時に故障してしまい、仕方なく「あずさ」、「ふじかわ」に乗ってきたのだ。最終日の昼、気温は38℃を記録している。暑さに耐えきれなくなった誠は両親と共に近くにあった甘味処へ訪れた。そこは国道の沿線にある古びた家でドアなどの仕切りがなく、暑い思われたのだが扇風機やエアコンの風が効いていてちょうど良かった。父と母はあんみつを、誠はかき氷を頼んだ。
「たまにはこういうのもいいもんだなぁ」
「本当ですね、私もあんみつなんか久々に食べましたよ」
両親が話していると、駐車場に一台の車が停まった。駐車場と言っても2、3台分しかない小さなところなのだが。
「ねえお母さん、かき氷買って!」
なんだか聞き覚えのある声だ、と思っていると
「あー、誠くん!」
見ると美晴と美晴の親が立っていた。美晴は驚きながら自分を指差している。
「み、美晴?」
自分も驚きを隠せない、長野から結構離れたところでまた会うなんて。
「あら、美晴さんのお母さん!」
「いやあ、誠くんのお父さん。こんなところで会うなんて奇遇ですなぁ、はっはっは!」
互いの両親が話し始める。
「お母さん、かき氷!」
「はいはい、じゃあこれで買ってきなさい」
美晴は母親からもらった500円を片手におばちゃんの方へ走っていく。出てきたいちご味のかき氷に目をキラキラさせながら誠の横で食べる。
「なんでここにいるの?」
「えっとね、おじいちゃんのお墓参り!」
「そうなんだ」
「誠くんは?」
「僕は旅行で」
「旅行、いいなぁ!」
「いいでしょ笑」
「私も柔道行かなくていいからラッキー!」
「え、美晴柔道やってるの?」
「うん、あとは剣道でしょ、空手でしょ、水泳でしょ?」
「え、めっちゃやってるじゃん!」
話しながらも二人同時かき氷を食べ終わる。
「ねえ、砂浜行こうよ」
「ダメだよ、お母さんに怒られる」
「大丈夫、海には行かないから」
「僕は知らないからね」
親たちはまだ話に花を咲かせているようだ。二人は親たちの目をかいくぐり、道路を渡って階段を降りる。そこには広い砂浜と広大な海が広がっている。
「わー、綺麗!」
「ほんとだね、あっ」
海をみて目をキラキラさせている美晴、誠はある物を見つける。
「美晴、見て!」
「なに、うわぁ!」
誠が持っていたのは小さな貝殻だった。サザエや巻貝、アワビなど5つがあり、どれも光沢があってとても綺麗だ。
「めっちゃきれい!」
「あげるよ」
「え、いいの?!」
「うん、美晴貝がらとか大好きでしょ」
「うん、ありがとう!」
すると嬉しくなった美晴が誠に抱きついた。
「く、苦しい」
もがく誠、全く離そうとしない美晴。すると階段の方から
「こらぁ!」
「子供だけで砂浜に行くなと言っただろうが!」
親たちの怒鳴り声がきこえた。
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お父さんとおかあさんに怒られました。でも楽しかったです。
このあと、おすしを食べて帰りました。
「そういえばこんなこともあったな〜」
「美晴は昔から人に懐っこかったからな」
懐かしさに浸りながら誠は次のページを見た。