それはある晴れた日。
見慣れた星空の下で、草原に寝そべった二人の少年が約束を交わす。
「俺ら、ずっと一緒にいような!そんで大きくなったら旅に出よう!こんなとこ出てってやるんだ!」
「うん。」
「雨ってどんななんだろうな。空から水が降ってくるってどういう感じなんだろう。」
「うん。」
「へへっ。お前と旅かぁ。どこ行こうかな。ま。お前と一緒ならどこでもいいや!お前がいればなんだって楽しいし!」
「うん。」
“普通の読み聞かせとは少々異なる”。
“普通の読み聞かせ”しか知らない僕は、その言葉が引っかかっていた。
だが、意味はすぐに分かった。
ホログラムだろうか。しっかりとした実体は無い。
声は確かにあの女性のものだが、その声に合わせて映像が見えるのだった。
映像内で動く口から聞こえる目の前の女性の声。
とても不思議なものだった。
“普通の読み聞かせとは少々異なる”。
この読み聞かせのほうが”普通の読み聞かせ”より好きだ。
非常につまらなかったここ十数年からは、想像も出来ない体験だった。
ワクワクするという感情を思い出すのは、もっとワクワクするものだった。