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高校の入学初日、
俺は人生で初めて恋をした───
4月8日、××高校の入学式。
普通に怠い。
休もうと思ったが、母に叩き起された。
体育館に出席番号順に並んでいると、隣の同級生が話しかけてきた。が、二つ返事で素っ気なく返した。
式が始まった。
終わりの見えない長い長い祝辞のせいで、時計の針すらも嫌になって止まっているんじゃないかと本気で疑いたくなる。
俺は、窓の外の運動場をぼーっと眺めていた。
壇上の校長がしゃべり始めてからすでに三十分は経った気がする。
それから体感5時間後。
「__続きまして、新入生代表挨拶。生徒会会長、二年生、zm。」
司会の退屈な声に釣られて、俺は気だるげに顔を上げた。
壇上に立ったその人は、式服を着崩し、どこか面倒臭そうにマイクの前に立っていた。
ミルクティー色の髪をフッと揺らしながら、退屈そうに原稿に目を落とす姿。
だらしないのに、なぜか目を離せなくて__次の瞬間、そいつがふっと笑った。
目が合った、気がした。
───ドクンッ
と、静まり返った体育館の中で、俺の心臓の音だけがうるさく響いた。
__あぁ、クソ。
俺、多分今、
人生で一番ヤバい沼に落ちたんだ。
そう理解すのには0.1秒もかからなかった。
彼から出てくる声が心地よい子守唄のように聞こえ、原稿を見下す姿はまるで神話に出てくる美しい捕食者のようだった。
触れたい。
彼に触れたい。
あの美しい髪をサラリと撫でで、切れ長で美しい目に俺だけを写して、高く小さな鼻には匂いを嗅げばすぐ俺だって分かるようにして、小さくほんのりと赤みがかった唇に何度も何度も唇が剥がれるくらいにキスをしたい。
始業式が終わり、俺は直ぐにzm先輩の教室に向かった。
「すみません、zm先輩いますか。」
ガラリとドアを開けると、教室のざわめきがスッと静まり返る。
窓際でクラスメイトと話していた彼が、怪訝そうにこちらを向いた。
目が合った。
胸が高鳴る。
周りの視線が突き刺さる中、俺はまっすぐzm先輩の元へと歩み寄り、一歩も引かずにその瞳を見据えた。
「zmは俺やけど。誰やねん、お前。新入生か?」
突然現れた後輩に、zm先輩はわずかに眉をひそめ、困惑したように頬を掻く。
その引きつった笑みは少しだけ困っているようにも見えたけれど、そんなの知ったことじゃない。
俺は息を吸い込み、教室中の空気を凍らせるようにハッキリと言い放った。
「一目惚れしました。俺と、付き合ってください。」
静まり返った教室に、俺の声だけがやけに大きく響いた。
一瞬の静寂のあと、zm先輩は「は、?」と間抜けな声を漏らし、引きつった笑みを貼り付けたまま顔を引き攣らせた。
「な、なんかの冗談、? やとしてもおもんないんやけど、w」
ひきつった笑顔で周りの空気を笑いに変えようと誤魔化す先輩に、俺は微動だにせず、真剣な目を向けたまま首を横に振る。
「冗談じゃないです。本気です。俺と付き合ってください。」
俺はzm先輩の片手を取って両手で包んだ。
暖かい。すべすべで爪が少し長い。
爪切りは結構サボるタイプなのか?
かわいい。
「おいおいまじかよw」「新入生いきなりぶっ込んでくれるやん笑」「ウケる。zm付き合っちゃえばー?w」
周りのクラスメイトたちが一斉にざわめきだし、冷やかすような歓声や笑い声が上がり始める。
その喧騒の中で、先輩は頭を抱えたいような顔をしながら、ぐっと息を吐き出した。
引きつっていた笑みがスッと消え、先輩は真剣味を帯びた鋭い目を俺に向ける。
そして、周りの茶化す声を遮るように、きっぱりと言い放った。
「__悪いけど、初対面の奴と付き合う気はないわ。気持ちはありがた迷惑やし、帰れ。」
「うっわ、zm冷た過ぎん?笑」「後輩くん可哀想だよーw」「まぁ、初対面で告ってくるこいつもこいつだけどな。」
教室がまたざわめく。
───ドクンッ
冷たく突き放されたはずなのに、その真剣に向き合ってくれた冷たい顔に、俺の胸はさらに激しく跳ね上がった。
「断られても、諦めませんけど。」
ボソリとそう呟いた俺に、先輩は「、、マジで頭おかしいんちゃうこいつ、。」と、本気で頭を抱えたのだった。
コメント
1件
ああ、もう、すごくドキドキしました……! 入学式で一目惚れして、いきなり教室まで押しかけて告白する主人公の勢いが潔くて気持ちいいですね。特に「人生で一番ヤバい沼に落ちた」って表現に、恋の衝撃がぎゅっと詰まっていて好きです。zm先輩の困り顔と冷たい対応もリアルで、このあとどうなるんだろうと続きが気になって仕方ありません! 素敵な作品をありがとうございます🌷
49
あめ。
7,169
大好 キ ナノ 。 / 也
3,894