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「なあ、しょにだ」
「んー?」
「やっぱ背、ちっさいよな」
「……は?まろちゃん、いきなり何言い出しやがる?」
いふはニヤニヤしながら初兎の横に並び、ついっと背比べするように肩を寄せる。
初兎はちょっとむっとして、いふの肩を肘でつついた。
「うるさいな、別にそんな変わらんやろ」
「いやいや、こうやって並んだらぜんっぜん違うって。ほら、ちょうど頭にアゴ乗っけられそうやし」
「乗せんなバカ!!!」
「ふふ、でもさ。背が小さいってことは、手もちっさいんかなって思って」
「は?」
「手、出してみ?」
「は??」
「ほらほら、検証~♪」
初兎は露骨に警戒した顔をしたが、いふのノリに押されてしぶしぶ片手を差し出す。
すると、すかさずいふが自分の手を重ねてくる。
「……うわ、ほんとちっちゃ」
「まろちゃんがデカすぎんのやろ!?」
「いやいや、しょにだが小さいだけ説あるって~。てか、指も短いな。かわいい」
「かわいい言うな!!てか!手をずっと離さんのなんなん!?」
「比べてるんやし、当然やん?」
「もう比べ終わったやろ!!!」
「うーん、でもさ。どうせなら“恋人つなぎ”の方がちゃんと指の長さわかるくない?」
「!?!?!?!?!?!?」
「ほら、こうして……ぴたっ」
いふはそのまま、自然な流れで指を絡めてくる。
ぎゅっと手のひらに収まる、あたたかい感触。初兎の耳が一気に赤くなる。
「な、なんで……」
「ん?検証続き」
「うそつけ!!!絶対ただつなぎたいだけやろ!!!」
「バレた?」
「バレバレやわ!!!!」
言いながらも、初兎は手を振りほどかない。
むしろ、ちょっとだけ力が入ってる気もする。
「……しょにだの手、ちっちゃくてもちゃんとあったかいね」
「……うっさい。しばらくつなぎっぱでええから、黙っとけ」
「それ、命令?ご褒美?」
「うるさいな!!!」
ツッコミと一緒に指がキュッと締まる。
重ねた手のひらのあいだに、どちらからともなく微笑みがにじんだ。