桃視点
学校では、俺の噂はさらに広がった。
「弟が過保護すぎじゃね?」
「兄貴のメンタルやばいんじゃね?」
無視しようとした。
でも、全部刺さってくる。
昼休み、ノートを閉じた瞬間、
背中に紙くずが飛んだ。
「ほら弟くんのとこ戻りなよ、ないこくん?」
にやけた男子たちの声。
視界がにじんだ。
俺は教室を飛び出した。
桃(りうらに会いたい……
声が聞きたい……
でも、また迷惑かけちゃう……)
その葛藤のまま廊下を歩いていたら、
誰かの肩がぶつかった。
「うわごめーん、あ、不登校の人だ」
その瞬間、呼吸が乱れた。
胸が痛い。
視界が白い。
桃(ダメ、ッ泣いちゃダメ、泣くなら誰もいないとこでッ、)
足元がふらつきながら、トイレに走った 。
もう、誰に迷惑掛けたくないから。
桃「………」
結局泣きはしなかった。
むしろ冷静になってうずくまりながら色々考えてた。
なんで生きてるのか。どうして俺はこんなに人に迷惑を掛けているのか。俺がいることでなにかが成功したことがあったか。
何を考えても「俺のせいで」にありつく。
当たり前だ。事実なんだから。
考え方や主張は人によって異なるが、事実は変わらない。
つまり天地がひっくり返っても俺が悪いにありつく。
なぜだろう。そんなことばかりが脳に溢れだしてきては呼吸が浅くなる。
そういうものなのかな。
それを最後に意識がなくなった。
気付いたら自分の家のベッドにいた。
起きて右側をみたらりうらが顔を伏せて寝ていた。
桃「りうら、」
そっと彼の瞼の下に指を擦る。
少し赤くなっている。泣かせてしまったのだろう。
俺はりうらが起きるまで、兄になりたくて彼の頭を撫でていた。
赤視点
俺が起きた後、すぐ父さんから呼び出された。
「学校から連絡があったぞ。何回目だ? 」
二人「……」
「もういい」
父が目を細めた。
「りうら、お前は過保護すぎる。 ないこ、お前はりうらに甘えすぎだ。」
その言葉に、
ないくんが小さく震えた。
俺はただ一言、ポツリと呟いた。
赤「父さんが一番ないくんを追い詰めてるの自覚してよッ、」
空気が凍る。
父は顔を真っ赤にして怒鳴り返した。
「そんな口聞く奴はうちにはいないッ”!」
その瞬間、
ないくんの表情が真っ青になった。
赤(あ、もう…限界だ。)
俺はないくんの手をつかんだ。
赤「行こう。ここにいたら潰れる。」
ないくんは抵抗しなかった。
力が入らない腕で、
ただ俺の手を握りしめていた。
桃視点
家を出て公園のベンチに座り込む。
寒い風が吹く。
街灯の下で、りうらが必死にネットで何か調べていた。
赤「……ないくん」
りうらの声は震えていた。
赤「……このアパート、二人でなら住めそうじゃない?」
スマホの画面には
小さなアパートの写真。
俺は息を飲んだ。
桃「、、でもお金はどうするの、?」
赤「…バイトしかないよね、」
りうらは真剣だった。
赤「先生に申請書出せばできるし、俺なるべく頑張るよ」
俺はすぐ言い返した。
桃「え、いや俺も働くよ、?」
りうらは少し考え込むと、
俺の肩に手を置いた。
「ないくんは家で家事とかしてほしい。
分担した方が良いでしょ、??」
胸がぎゅっと苦しくなった。
俺が、こういう性格だから人と関わらないようにしてくれてるんだ。
涙が溢れた。
桃「……りうらっ、なんでそこまでッ…」
赤「なんでって……」
りうらは俺の手を握った。
赤「俺、ないくんがいないと無理だから。前も言ったでしょ?」
その言葉は、
どんな言葉よりも重くて、
でも救いだった。
赤視点
ベンチで肩を寄せ合っていると、
ないくんがうつむいたまま呟いた。
桃「……俺、昔から父さんに言われてたんだ。 期待してるって。 金かけたんだから結果出せって。 俺は……結果出せなかったから…… いらなかったんだよ、きっと」
心臓がひりついた。
赤「そんなわけないよ……」
桃「じゃあなんであんなこと言うの、?……
俺がいらないなら、だってっ ……」
ないくんの声が途切れる。
沈黙が怖かった。
俺は、震える声で言った。
赤「……ないくん。 消えたいって思ってもいいけど…… 俺を置いて消えるのはダメだよ」
ないくんの肩が跳ねた。
俺は続けた。
赤「だって俺は…死ぬときはないくんと一緒が良いからさ。」
その言葉で、
ないくんは声を殺して泣き始めた。
俺はそっと抱き寄せた。
赤「泣いていい。 ここでは沢山泣いていい。
誰も見てないから。」
ないくんは胸の中で震えていた。
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コメント
1件
やばいよー!なくよー! 明日目パンパンや…