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ベランダの扉を開けると、静かな朝の光が差し込んできた。
特に理由はなかった。
ただ、またあの光に包まれたかっただけだった。
――ネグ、佐藤は目を細めながら、ゆっくりと外の空気を吸い込む。
柔らかい風と、じわりとあたたかい日差し。
6ヶ月間閉じこもっていた日々とは違う。
少しだけ、心が軽くなるような気がした。
「……ふふ」
自然と声が漏れる。
こんな穏やかな時間、随分と久しぶりだった。
•
部屋へ戻ると――
リビングには、すかーと夢魔がいた。
2人とも、もうすっかり起きていて、
だけどソファには座らず、立ち上がっていた。
「……ネグ」
夢魔が先に声をかけた。
次の瞬間。
すかーと夢魔、2人が同時にネグの手を取った。
「……どうしたの?」とネグが聞く前に――
すかーが、静かに、けれど確かに言った。
「……食べれたの、お前のおかげや」
夢魔も、手をぎゅっと握りながら、同じように呟いた。
「ありがとな」
•
2人視点――
すかー(俺)は、ネグの手の温かさを、ただただ感じていた。
6ヶ月。
長かった。
ほんまに、長すぎた。
だからこそ、今こうやってネグの手を握れていることが、
まるで夢みたいで――でも、現実なんやと胸が痛いくらい分かった。
ネグが「食べれて偉いね」って、優しく微笑んだ時。
その柔らかい声を聞いた瞬間、俺の中で何かが限界を超えた。
•
夢魔(俺)も同じだった。
静かにネグを見つめるだけで、胸がいっぱいになった。
長い時間、ただ寝室の前で話しかけ続けるだけしかできなかった。
何もできなくて、何も届かなくて。
でも今は――ネグが、ちゃんとそこにいてくれる。
それだけで、もう堪えられなかった。
だから。
自然と、体が動いた。
•
「……ネグ」
夢魔が先に、ネグの頬に手を伸ばした。
そして、そっと唇を重ねた。
次いですかーも、ネグの反対側の頬にキスを落とした。
ネグは驚いたように目を見開いたけど、すぐにふにゃっと微笑んだ。
「ん……」
甘えたような声が、静かに漏れた。
•
その声に――俺たちはもう、止まらなかった。
ソファの前。
2人でネグをそっと座らせて、膝の上に抱くようにして。
静かに、だけど確かに体を寄せ合った。
すかーはネグの首筋に唇を落として、
夢魔はネグの手の甲に、何度もキスを重ねた。
「ネグ……好きや」
「……ずっと、そばにいたい」
そんな言葉を繰り返しながら。
ネグは、何も言わずに――甘えるように、俺たちの背中に手を回してきた。
「ん……ぁ、ふ……」
甘えた声が、また漏れる。
その声に、俺たちは心臓が跳ね上がるような感覚を覚えた。
本当に、今ここにネグがいてくれる。
それだけで、胸がいっぱいで。
•
ネグは目を細めながら、俺たちを見上げてきた。
「……大好き」
その一言に、すかーも夢魔も、何も言わずにネグをさらに強く抱きしめた。