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あの後敵船は何とか撃ち沈めたようだ。
いぶきが居る場所へ向かうと、
あいつは隊長達や隊員達の手当てを懸命にしていた。
なかなか手強い相手だったし、
何人か傷を負わされているみたいだな…
「よし…終わりましたナミュール隊長。」
「ありがとな、助かった。」
「いぶき〜ここ痛いよぉぉ…」
「俺さっき絆創膏貼りましたよねハルタ隊長!?
あんた頬軽く切られた程度でしょうが…!」
にしてもあいつら…いぶきに手当てしてもらいたくて列作って並んでやがんな…?
しかも大した傷でもねェ奴も居るし無傷の奴もちゃっかり……
「ああ…俺戦って超疲れちった……
いぶきちゃん、手を握って“サッチ隊長お疲れ様♡痛いの痛いのとんでけ〜♡”
ってしてくれ…そしたら治るから…」
「おめェは俺の青い炎で十分だよいサッチ…?」
「うおおびっくりしたぁ!?
ちぇっ…せっかくいぶきちゃんの手を握ってもらえるチャンスだったのによ…」
…ったく、こいつの女好きは相変わらずなもんだ……
「それはそうとマルコ、起きて大丈夫なのか?攻撃食らったんだろ?」
「不死鳥なめんじゃねェ、海楼石も毒も体にはねェし傷なんざ再生してんよい。
そんでお前ら、大したケガじゃねェのにいぶきの前に並んでんじゃねェ。
おら、帰った帰った。」
並んでる奴らを追い払い、ようやくいぶきの周りが落ちつく。
「マルコ隊長…!だ、大丈夫ですか…?まだゆっくり寝てないと…」
「はは、心配ねェ大丈夫だ。聞いたぜ?
お前さんが俺の処置をしてくれたんだってな?」
「は、はい…。教わった事を思い出しながら何とか…。
本当良かったです……
死んでしまったらどうしようって実はずっとヒヤヒヤしてました…。」
と、いぶきの手が震え始める。
「あはは…すみません…。何か震えちゃって…
ほっとしたからかも…」
突然襲撃が来たし俺はこの有り様になっちまったんだ
怖かったのも無理ねェよな……
「ありがとよい……」
俺はそっと手を伸ばし、いぶきの頭を撫でる。
いぶきは次第に目を潤ませながらそっと微笑んだ。
「…へへ…、本当良かったです…。」
涙を手で拭いながらも安心したように笑ういぶきに、胸がきゅっと締め付けられる…。
こいつは大変な状況の中で頑張って処置をしてくれた
一生懸命で、健気な奴だというのはよく分かった。
楽しそうに笑う奴なんだってのも……
だけど、怖かったのももちろんだが、
俺の為に流してくれるその涙に胸がきゅっと締め付けられる……
この時、俺の中でいぶきを見る目がゆっくりと変わり始めていた。