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「ねぇ,スカイ。」
「なに?」
この地の守護者,私のお母様カルミアがいた洞窟『夢心地』を出てすぐの事だ。お母様に出会った私はふと思った。お父様にも会ってみたい。どんな人だったのかは私には見当もつかない…。
「お父様に会うために家に寄ってもい?」
「別にいいけど。」
彼氏と言われてからスカイの様子がおかしいのは置いておくとして。私は我が家に戻るために歩いた。この洞窟から私の家まではかなり遠い。スカイは長旅がすごく嫌いだから道中でおいしい食事処を見つけないと自我が無くなってしまう。そこだけ注意していくとして,あ,旅代がもうないから簡単な依頼を受けよう。
「…エアリスの昔の話もっと聞きたい。」
「え,何?急に怖いんだけど。」
「俺の話したのに教えてくれないのか?」
そんなに聞きたいんだったらいくらでも教えてあげますよ。ギルドで依頼を受けた後,私は過去を振り返った。
今よりずっと戦争が激しかった頃,私は20代だった。まだ半人前で魔物1匹もまともに倒せないくて嘆いていた時,お母様は親身に寄り添ってくれてアドバイスをくれた。あの頃は本当に幸せだったな。家に帰れば大好きな家族が居て,おいしいご飯をみんなで食べる。スカイと出会う前までは一人さみしく食べていたから。
「お母様,どうして私を置いていったの?お母様はエルフでしょ?長生きするんじゃないの?」
私が30代の時,お母様は亡くなった。見た目はお父様よりも老けていて80代とは思えない見た目だったから私は何かの病にでもかかったんじゃないかと考えて毎日回復魔法を勉強した。
そのせいで,回復魔法しか使えなくなったんだよね。
でもよくよく考えたらお母様は人間としか思えない。60代に差し掛かったとき記憶力が低下してきて,ついには私の事を忘れてしまった。朝起きたときのあの笑顔は虚無に変わったんだから。
そのことが町に広まると私は不純物だと馬鹿にされた。人間と戦争をしていたこの時代,人間との子だなんて恐ろしい。そう思われていたから。
「もう何十年も前の話よ。本当,馬鹿馬鹿しい。」
「…。」
スカイが可愛そうになってしまった。でももう人間との戦争は終わったの。それが30年前の事。まだ人間を恨むエルフは居るだろうけどごくわずかでしかない。ノーアバリスだってほとんどが人間。エルフは…。
…エルフのほとんどはあの戦争で売り飛ばされたんだもの。もうほとんどエルフは残ってない。私を馬鹿にした男の子はこの国には居ない。この世界には居ない。
「エアリス。」
「どうしたの?」
「エアリスはお父さんに会ったら一番に何を言いたい?」
急にこの世界に送られたスカイのほうが可愛そうよね。だってもう家族に会うことができないんだから。
お父様に会ったら私は一番にただいまと言って笑いたい。その時はスカイも家に入れてみんなで机を囲いたい。お母様の分までご飯を食べてやるんだから!
「じゃあ,行くか!」
「その前に依頼。私たちならこんなもの一瞬で終わらせるわ!」
そこらへんに居た依頼内容にある魔物を倒していく。もう昔の私じゃない。今は最強の小さな仲間(パートナー)がいて,ノーアバリスにはロナウディアさんがいる。まだまだ最弱コンビで精進できるけど,あんな弱っちくない。明日を楽しみって思えるようになったんだから。
to be continued→