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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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あくまで個人の趣味であり、現実の事象とは一切無関係です。

スクショ、無断転載、晒し行為等はおやめください。



スプリングの軋む音にビビりながらそっとベッドに腰掛けた。とは言えそんな配慮は無意味だ。ベッドに飛び乗ろうが蹴り飛ばそうが多分コイツは起きない。

案の定、安定した寝息で呑気に眠っている。ニキはこんなに穏やかな顔で眠っているが、疲れ果てて眠ったと表現する方が正しいだろう。散らばった衣服に乱れたシーツ、ヘッドボードに投げ置かれたローションのボトルやコンドームが先程までの行為を物語っていた。

相変わらずキショい寝相やなぁと眺めていたが、しばらくすると口寂しくなってきた。ヤニの補給に行こうと立ち上がった瞬間に呻き声が聞こえて足を止めた。

「んん…ぼ、びぃ」

「あ、わりぃ起こしたか」

「んや…」

枯れた声が可哀想で、なんか飲むか?と顔を覗く。いらないとガサガサの声で返された。

「まだ寝とけ。疲れたやろ」

「んん〜…」

何をぐずっているのか眠りたがらないニキの髪を梳く。嫌がる事なく俺にされるがままで、調子に乗ってしまう。髪から頬に手を滑らせ、親指でいつもより血色の良い口唇をなぞった。


「ね、ぼび」


子供みたいに危うい発音で名前を呼ばれた。


「うん?」

「もっかい、しよ」

「は?」

頬を撫でていた手が捉えられた。手を握って俺を見上げてくる。

「ダメ?」

「お前体大丈夫なん」

「だいじょーぶだいじょーぶ。余裕だよ」

「いやでもな…」

本当に大丈夫か?と心配していれば、気怠げに体を起こして抱きついてきた。

「ね、早く」

「お前なぁ、明日実写の配信やろ?分かってんのか?」

「分かってるし」

「動けんくなったらどうすんねん」

「そん時はボビちゃん俺の事抱っこしてね」


語尾にハートマークでも付いてそうな弾んだ声。何がそんなにコイツをご機嫌にさせているのかさっぱり分からない。


「…お前自分の体重考えた事ある?」

「ええ…じゃあおんぶでもいい」

「ちょっと無理っすわ」

「もしかしてお姫様抱っこしてくれんの?やだぁ、ボビーすごぉい」

「お兄さん話聞いてます?無理やって」

「なんやねんお前。何のために鍛えてんだよ」

「自分の為やわ」


事後でこれからもう一回戦しましょうかって時でもテンポよく言葉のやり取りが続く。色気もクソも無いけれど、この空気感が好きで、それを生み出すコイツがもっと好きだとか小っ恥ずかしい事を考えてしまうのは俺がニキにベタ惚れだから。


その証拠に俺はコイツのおねだりにとことん弱い。


「ああもう、しゃあないな」

「やった」

「あと一回だけやからな」

「んへ、一回で終われたらいいね」

「言ってろ」


ガチと歯が当たる勢いでキスをする。抗議しようとするニキが動き出す前に呼吸ごと飲み込んでやった。

そのまま手を絡めてベッドに沈み込んだ。ふらっとベッドに落ちる瞬間、飛んでいるんじゃないかって勘違いしそうだった。そんな馬鹿げた事が頭に浮かぶくらい興奮してる。誘ってきたのはニキなのに、いつの間にかその気にさせられていたらしい。


この高揚感をニキも感じていたらいいな。


そんな事考えなくても、熱すぎる吐息や必死にしがみついてくる腕が全てを物語っている。

「好きだよ」

「俺も愛してる」

「あはっ、俺を上回ってきたな」

「当たり前やん」


空は飛べないから、こうやって二人で堕ちていくんだろう。

どこまで堕ちても、どこへ堕ちても、二人なら何だって大丈夫な気がする。


僕だって、愛してるよ


ニキのやけに照れた声に愛しさが暴走しそうになって、体をキツく抱きしめた。

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あぁ…良い……

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