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凄く好みで面白いです!!!
毎年、雪が降り始める季節になると、あの日の公園での出来事を思い出してしまう。
二年四組、「篠崎小雪」。
その人は、どこかのグループに所属している…というわけでもないのに、常に周りに男女関係なく人が集まっているような人だった。
私は、彼女とは正反対と言えるような性格だったこともあり、そんな彼女が羨ましく、同時に嫌いでもあった。
8月6日の下校途中、私は趣味である写真を撮るため、家の近くの公園へと出向いた。
今日も全く人がいない。
私は、いつもと同じ様子の公園に少しほっとしながら、今日撮影する物を決めるため、辺りを見渡した。
すると、花壇の中の1輪の花に目が止まった。
今日は、その花を撮影することにした。
その花は、まるで雪のように繊細な白で美しく、見たことがない花だった。
なんだかどこか篠崎さんに似ているような…そんな気がした。
撮影が終わり、カメラをしまおうとした時、カメラを落としてしまった。
運悪く、カメラはその白い花へと直撃し、白い花の花びらに傷がついてしまった。
私は、誰も見ていなかったことを確認し、すぐさま家へと帰った。
次の日、篠崎さんは、顔に大きな傷をつけていた。
篠崎さんのその傷は、昨日私が白い花へつけてしまった傷にとても似ていた。
なんだか気味が悪くなり、その日は学校を早退することにした。
もしかして、あの白い花は、篠崎さんなのではないだろうか。
そう思えてならないのだ。
あの白い花に特徴的な傷を付けてみれば、この馬鹿らしい考えが合っているかどうかがわかる。
そう思い、私は次の日の朝早くにあの公園へと向かった。
今日も白い花はきれいに咲いていた。
私はその白い花に十字の傷を付けた。
十字の傷ならば、偶然に付くということは滅多にないだろうと思ったのだ。
少しどきどきしながら学校へと向かった。
彼女の顔には、十字の傷があった。
私は、一生手の届くことがないだろうと思っていた彼女の上に立てたように思えて、少し怖いのと同時に、背徳感があった。
その日、下校していると、学校の近くのビルの花壇を踏み荒らしている子供たちがいた。
注意する勇気はないので、そそくさと通り過ぎることにした。
あの白い花も子供が踏んでしまう可能性があるのではないか。突然そう思った私は、すぐさま公園へと向かった。
大嫌いな彼女、見ず知らずの子供に命を奪われるより先に、私が命を奪ってやりたいと思ったのだ。
今日はいつもより、白い花が美しく、とても魅力的に見えた。
私は、おもむろに取り出したハサミで、その花の茎をちょん切った。
地面にボトリと落ちた花を見て、私は顔がニヤけた。一生関わることはないだろうと思っていたクラスの人気者の命はこんなにも軽いものなのだ。
愉悦に浸っている私の遠くでは、救急車のサイレンがなっていた。
翌日、学校には篠崎さんは来なかった。
朝のホームルームで篠崎さんの死が知らされた時、二年四組は悲しみに染まっていた。
ただ一人を除いて。
下校途中、あの公園によってみた。
白い花は、どこにも見当たらなかった。