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wki side



─ 俺は元貴が羨ましい。


人に対して簡単に、素直に甘えられる。


そんなこと今まで思ったことは無かった。

元貴のその特徴を意識したこともなかったし、羨んだこともなかった。


それなのに最近は、涼ちゃんに甘える元貴がすごく羨ましい。


俺はそんなことできない。

いつでも1歩引いて見守って、彼が必要としている時に全力でフォロー、ケアをする。

それで俺を1番に頼ってくれて必要としてくれたらラッキーみたいな。

踏み込むことが怖くて、拒絶されることが怖くて自分から当たりに行くことが出来ない。

小賢しいことしか出来ない。


涼ちゃんが好き、だと思う。

あまり自分から人を好いた経験が無かったので、自分でも分からなかった。


でも涼ちゃんが共演者と仲良く話したり、肩を組まれて居たりすると涼ちゃんから目を離すことが出来なくなる。

いつも家に帰ってからその共演者のことを片っ端から調べあげていた。

結婚経験は?子供は?家族構成は?仕事は?今までの熱愛は?タイプは?などなど、

無心になってそいつのことを調べている。

調べれば調べるほど勝手な考えが増えていき、自分を黒い厚い膜が覆っていくだけなのは分かっていた。

それでも何故か涼ちゃんと繋がるそいつのことを知り尽くしていないと不安になる。


勝手に心配して勝手に落ち込んで、それでも後日涼ちゃんと話したり笑ったりすればその瞬間は全てを忘れて幸せな気分になれる。

仕事が忙しく他との繋がりを大切にされて行く一方、それの繰り返しなのは分かっていた。


不安も幸せも、涼ちゃんのことからしか生まれない。


頭でぐちゃぐちゃ考えていても、涼ちゃんと話し始めると、魔法のように全てが幸せに変換された。

涼ちゃんが連絡を取らなかったという会話は、いつも通りテンポよく進んで行った。体感時間はとても短く、涼ちゃんが元貴に視点を移した瞬間に魔法は解けた。


─ 好きなんだ。涼ちゃんは特別なんだ。


幸せと不安が右往左往する中自覚した。


でもきっと、元貴も涼ちゃんのことが好き。

10年も一緒に居れば、あいつの行動から違和感とその意図くらいは汲み取れた。


正直あいつは難敵だ。

自分というキャラを最大限に活かして、アタックする。


今だってそう。

あいつは素直に涼ちゃんに甘えれている。

頬を両手で包まれて、誰でもわかる泣き真似をすれば涼ちゃんはハグして慰めてくれて。

分かってやってるあいつが羨ましい。


「ふぅ…」


短く深いため息を静かについて、無心で涼ちゃんに釘着いていた目線に意識を戻す。そこには、立ち上がった元貴の手を取り立ち上がろうとする涼ちゃんが居た。


苦しい。痛い。


手を取り立ち上がろうとする涼ちゃんが、一瞬よろけて元貴の胸に体を寄せた。


(プツン)


と、自分の中で何かが切れた。


何も思考する間も無く、早歩きで2人に近寄り、元貴の手から涼ちゃんを移し取る。

元貴の表情は見ず、されるがままの涼ちゃんを出来る限り体に寄せて密着させながらソファまてゆっくり歩いた。


やっぱりいつも通り魔法はかかっていく。

涼ちゃんに触れている部分が暖かく、そこからじわじわと幸せな気分が俺を覆った。


元貴のことが嫌いな訳じゃない。大切なメンバーに違いは無い。

小賢しいことしか出来なくても、涼ちゃんを自分のものにしたいのは事実。

見ているだけはさすがに出来ない。


─ ごめんな元貴。俺も気付いたからには自分の気持ち無視できないから。




━━━━━━━━━━




\3話後記╱


ひろぱもりょつにゾッコンということで…

大切な人に関係するものについては知り尽くしておきたいひろぱさん。 最終話にちょっと繋がってきてます…

離れ始めてから自覚するおもりと、魔法が解けた瞬間に自覚するひろぱ。類友です。

もとぱがピリピリしてますね。


お互いが涼ちゃんを好きということはしっかり気付いているようです。


ひろぱの嫉妬した時に好きな人から目を離さないというのは無意識のようですね!この話には2回ほどその表現があったかな…?


正直メンバーに嫉妬はあんまり無いだろうなって思ってるので、和解して行きそうです。

10年も続いた幼なじみですよ?!

なんとなる絶対。てかなんとかなってる(裏話)


次回からはやっとお話が進んでいきます…

お待たせしました!


それではまた次回!🙌🏻


コメントとハート変わらずお待ちしてます🙈


泡 沫 の 体 温 に 触 れ る

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コメント

4

ユーザー

続きまってるねー!

ユーザー

話が深くて最高!

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