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物語最高すぎ。。。続き楽しみにしてます!
今回もめっちゃ良かったです😊また続き楽しみにしてますね💕︎ 本当に物語だいすきです✨
年末の商店街は活気に溢れていた。
その人混みをかき分けるようにすり抜け、シンは湊の居るコインランドリーに向う。
受験から解放されたシンは毎日のように湊の元へ通っていた。
「湊さん。今日はお弁当作ってきました」
湊は朝から店の大掃除をしていた。
「さんきゅー。ちょうど腹減ってたんだわ」
乾燥機の掃除をしていた湊が顔を出す。
シンは湊に近づくと
「湊さん動かないで…」
そう言って湊に向かって手を伸ばした。
近づいてくるシンの手にドキッとする。
シンの手が湊の髪に触れた。
思わずキュッと目を閉じてしまう。
「ホコリ…ついてますよ」
摘んだホコリを湊に見せた。
湊は目を開けると
「あ…ありがとうな…」
挙動不審になってしまう。
ヤバい…
あれ以来シンの顔を近くで見る度に胸のドキドキが止まらない。
まともに目すら合わせられない…
「どうしたんですか…?」
「………」
微笑むシンの顔から目をそらした。
「休憩だ休憩っ!」
そう言ってシンの脇を通り過ぎようとすると、腕を掴まれた。
「何すんだよ…」
「食べていいですか……?」
シンが湊の顔を覗き込む。
「た…た…食べるって…!何を…?!」
湊の動きが止まる。
身構える湊に
「お弁当ですけど…」
弁当の入ったバッグを持ち上げる。
「あっ…」
拍子抜けしたような湊の顔をシンは見逃さなかった。
「湊さん…もしかしてあらぬ想像しました?笑」
「し…してねーし!」
慌てる湊がかわいくて
「食べてもいいんですか?……湊さんを…」
つい、からかいたくなってしまう。
「ばーかっ!だめに決まってんだろっ!」
「………こんなに美味しそうなのに」
「昼間っからくだらねー事言ってんじゃねーよ!」
「照れてる…かわいい…」
口に手をやってクスクスと笑っている。
「うるせぇー…」
真っ赤になった顔を隠すように顔を手で覆った。
「そういやお前、家の大掃除しなくていいのか?」
「それならとっくに終わりましたよ」
ご飯を口に運びながら答えた。
「はぇーな」
「うち、家族多いから分担してやればそんなに時間かからないんです」
「家族多いと、こういう時便利だな。笑」
「普段は騒がしいですよ」
「賑やかでいいじゃねーか」
「俺は湊さん家で静かに過ごしたいですけど…」
「何で俺ん家なんだよ…」
「そうだ。俺、今年の大掃除は断捨離したんです」
「すげぇな…ってか、なんで?」
「荷物少しでも減らそうかと…」
「へぇー…だから、なんで?」
「湊さん家に入りきらないじゃないですか」
「俺ん家に?…なんで?」
「なんでって、同棲するからに決まってるでしょ」
「げほっ…げほっ……」
むせる湊にお茶を差し出す。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけねーだろっ!同棲ってなんだよっ!」
「付き合ったらしますよね?同棲」
「なにその当然!みたいな言い方…」
「しないんですか?」
「………簡単に言うなよ…」
「簡単な事じゃないですか。一緒に住むだけですよ」
「そんな簡単な事じゃねーだろ。だいたいご家族が…」
「家族にはもう話してあります。卒業したら俺の部屋も弟に渡すようになってます。湊さんの家以外行き場所がないんです」
「ご家族に話したのか……?」
「話す前に気がついてましたけど」
「反対されなかったのか…?」
「喜んでました」
にこっと笑う。
「………」
湊は頭を抱える。
「まだ付き合ってもいねーのに…」
「俺と一緒に暮らすのイヤですか?」
「シンちゃん…そういう事じゃねーんだわ…」
「じゃ、どういう事ですか?」
「物事には順序ってのがあるんだよっ!だいたいな、1番大事な俺の許可取ってねーだろっ勝手に話進めんなっ!」
「じゃ……」
シンは箸を置き湊を真っ直ぐ見つめ
「卒業したら同棲してくださ…」
「却下!!」
「湊さんっ!もういい加減腹くくってください!俺は湊さんとずっと一緒に居たいんです!あんたと離れているなんてもう無理だ!」
「自分の部屋がないなら廊下でもリビングでも寝れる所ならあんだろっ!とにかく俺ん家は絶対にだめっ!同棲は認めない!」
「俺が浮浪者になってもいいんですか…?!」
「お前は話が飛躍し過ぎんだよっ!」
「……」
シンは頬杖をついて湊を見ている。
「なんだよ…」
「しましたよね…」
「なにを…?」
「キス…」
「あ…あれはっ」
「友達はキスしないんですよね?」
「だからあれは…」
「2回です」
「はっ?」
「俺からしたのは1回。湊さんから…」
「わぁぁーかったからっ!もう言うな!」
「同棲。考えてくださいね」
にこっと笑うシンの顔を見て湊は卑怯だと思った…
「……」
毎日この顔見るなんて…考えただけで…
ぶるっと身震いをする。
「どうしたんですか?」
ヤバい…これじゃ完全にシンのペースにはまってしまう…
「湊さん…?」
「なんでもねーよっ!」
なんでこいつの顔は…こんなにどストライクなんだよっ!…
「はああ……」
ため息をつきながら顔を両手で覆った。
「明日の大晦日湊さん家行きますね」
「は…?」
「一緒に年越ししましょうね」
「年越しって夜中まで…」
「もちろん朝までです」
当たり前!とでも言いそうなシンの顔に
「もう何言ってもだめだ…」
再び頭を抱える。
「そのままずっと一緒に居てもいいんですよ」
「わるい…なんか腹いっぱいになってきたわ…」
「だめですよ。まだ残ってるじゃないですか」
「お前がくだらねー事ばっかり言うから食欲なくなったんだろっ!」
「俺の言葉でお腹いっぱいになるんだったらいくらでも言ってあげますよ。どんな言葉がいいですか?」
「受験終わったからって浮かれてんじゃねーよっ!クソガキっ」
「浮かれるような事したのは湊さんですよ。俺にキスしたから」
「お前…っ」
「なんでそんなに赤くなってるんですか…?」
湊の頬に触れる。
「また…したくなっちゃうじゃないですか…」
「……」
ズルい…そんな目で見られたら…
シンの顔が近づいてくる。
完全に流されている…
バンッ!
勢いよく扉が開いた。
音に驚いて2人同時に扉の方を見る。
「アキラさーん!!………んっ?」
入ってきたのは明日香だった。
ただならぬ雰囲気に
「もしかして………取り込み中だった?」
そう言って出て行こうとする。
「待てっ!明日香!」
慌ててシンから離れると明日香を引き止める。
「お前明日暇か?!」
「暇って事はないけど…」
「予定はないんだなっ!なっ!」
助け舟を求めるように明日香に懇願する。
「まぁ…」
「じゃ、家来いよ!」
湊の言葉に
「待ってください湊さんっ!なんで英なんか誘うんですかっ!」
シンが異議を唱えた。
「うるせっ!皆で集まった方が楽しいだろ!」
2人のやりとりを見ていた明日香は
「アキラさん俺は行かない方が…」
「気にすんな明日香!」
「だって…シンがすんげぇ睨んでる…」
明日香が指差したシンは思いっきり明日香を睨んでいた。
「あっそうだ!柊くんも誘うから」
「柊くんっ?!」
「最近よく店来るんだよ。洗濯機壊れたみたいで。昔は良く遊んでたから懐かしくなって連絡先交換したんだわ」
「行く!絶対!」
「良し!決まりだな」
湊はシンの方を向くと
「いいよな?」
「……湊さんがそうしたいなら」
渋々了承する。
「そういや明日香、何か用だったのか?」
「あっそうだ!これっ」
持っていた、袋を差し出す。
「ばーちゃんから。カニ!アキラさんに持って行けって」
「いーのか!?」
「足折れてるから売物にはならないけど、味は保証するよ!」
「さんきゅー!ばーちゃんにお礼言っといてな!美味そうだなーシン」
「……」
「なんだよ!いつまでもふてくされてんなっ」
「……」
「明日一緒に食べような」
口を尖らせながらも
「…はい」
湊の笑顔に負けてしまった。
「明日香!せっかく来たなら大掃除手伝え!」
「えっー!やだよ。」
「どうせ暇だろっ」
「俺はシンと違ってまだ受験終わってないんですけど」
「柊くん呼ばねーぞ」
「やるっ!手伝わせてアキラさん!」
「よしっ!じゃ、窓拭き頼むわ」
「結局、窓拭きだけして帰ったじゃないですか…」
「年の瀬だからな。あいつだって店の手伝いとか忙しいんだよ」
「なんで英達誘ったんですか?俺と2人きりになるのがそんなにイヤですか?」
「言ったろ。皆で集まった方が楽しいって…」
「本当にそれだけ?」
言えるわけがない。
「本当にそれだけだよ…」
「ふーん…」
今度、クリスマスの時みたいな空気になったら…
断りきれる自信がない…なんて…
【あとがき】
クリスマス編。たくさんのコメント&いいね ありがとうございました!
毎回皆様に活力頂いております。
感謝です♪
投稿できれば…次は大晦日編です♪
それでは、次回作でまたお会いできますように…
月乃水萌