大森side
藤澤「ふふっ、良かったぁ、元貴が笑えて」
大森「え、そりゃ俺も人間ですから、笑」
藤澤「だはっ、もうっ、そうじゃなくて…………昨日は本当にごめん」
大森「いや、涼ちゃんが謝る事じゃない、俺が謝る方だから!!」
藤澤「ううん、……僕がもっとしっかりしてればこんな事ならなかった」
大森「涼ちゃんは俺を助けようとしてくれてたでしょ?って俺、ちょっと記憶飛んでて曖昧だけど」
藤澤「え、覚えてないの?!記憶喪失!!たたたっ大変!先生に言わなきゃ!」
涼ちゃんの服を掴んで、またもや走って飛び出して行きそうなのをなんとか阻止する。
大森「ちょちょちょ、大袈裟!記憶喪失じゃないから!」
藤澤「でも記憶がないって言ったじゃんっ!」
大森「Glareを浴びた前後と、最後涼ちゃんが切り替わった後をあんまり覚えてないだけだから……涼ちゃんコマンド出してくれたんでしょ?」
藤澤「……うん……」
大森「やっぱり涼ちゃんは俺を助けようとしてくれてんじゃん」
藤澤「でもっ、元はと言えば僕が」
大森「もういいんだって、涼ちゃんにどんな理由があっても最終的に事を大きくしたのは俺だから……若井を拒否したのは俺なんだ」
藤澤「でも、でもっ」
大森「はい、もう涼ちゃんとこの話おしまい。ずっと互いに謝るだけになるから……仲直りじゃないけど……」
俺たちは喧嘩した訳じゃない。
でもこのままだと互いに謝ってばっかりで罪悪感を持ったままになる。
そんなのはイヤだから俺は涼ちゃんに手を差し伸べた。
その手を、少し不満気ながらも涼ちゃんは手を取り握手をしてくれた。
大森「これで謝るのは終わり。……って、そう言えば、若井、は?」
藤澤「あっ!……若井はね、この病院の何処かには居るよ……でも……元貴が会いたくないかもって思って僕が連絡するまで待機してもらってる」
大森「……そっか、ありがとう……涼ちゃん」
藤澤「後ね、僕が若井を一発殴っといたんだよ」
ん?
涼ちゃんが若井を殴った?
え
大森「えーーー!!」
藤澤「若井が病院に駆け付けて来た瞬間にこうやって……」
そう言って涼ちゃんは僕にシャドーボクシングを見せてくれた
大森「いや、いくらなんでも殴るのは……今後にも差し支えるし」
藤澤「化粧で何とかなると思うし大丈夫だよ。ウチのメイクさん達凄いから」
いや。そう言う問題ではない気がするけど……涼ちゃんが俺を思ってしてくれた事……
若井の顔も心配だけど、それより……
大森「……涼ちゃんの手は大丈夫?」
藤澤「僕の手は大丈夫!」
ヒラヒラと見せてきた涼ちゃん手は、少しだけ拳の所が赤くなっていた。
キーボードを弾くための大切な涼ちゃんの手。
こまめに爪の手入れやメディアで手が映し出されるからとハンドクリームを塗ったりして手入れを欠かさずしている。
大森「涼ちゃん手……貸して」
藤澤「ん?本当に大丈夫だよ?」
差し出してくれた手を俺は優しく手で包んでゆっくりと撫でながら涼ちゃんに謝罪した
大森「さっき謝るのは終わりって言ったけど、ごめん、本当にごめん……大事な手を怪我させるような事させてほんと……ごめん……」
藤澤「ちょ、元貴、本当に大丈夫だから」
大森「俺のためにごめん……そしてありがとう」
藤澤「元貴……」
涼ちゃん手を包んでる俺の手に更に涼ちゃんの右手が俺の手を包んだ
藤澤「こちらこそありがとう、僕のために泣いてくれて…………ゔ、うぅ」
大森「りょ、涼ちゃんまで泣き出してんじゃん」
藤澤「だってぇぇ、もどぎが優しいからぁぁぁ」
結局涼ちゃんの方が俺より泣いて、何故か俺が涼ちゃんを慰め落ち着かせることになった。
藤澤「う、……ぅ……」
大森「もう落ち着いた?」
藤澤「ゔん、ありがと……元貴、そう言えばなんだけどさ……」
大森「ん?」
藤澤「若井の事、放置してるよね……」
大森「あ」
確かに殴った話ですっかり忘れてたけど、若井も病院内に居て涼ちゃんの連絡次第でって話だったわ。
藤澤「元貴が今日は会いたくないなら会わなくていいからね」
大森「……ちょっと考えていい?」
藤澤「ん、どうぞどうぞ、じゃあちょっと僕顔を洗ってくるね」
若井と……か
若井にも会って謝らないといけない事はわかってる
わかっていても怖い
自分の感情が知られてしまっている気がしてどんな顔をして会えばいいのか分からない
でも
今回の事で迷惑をかけたのは事実
俺のせいで涼ちゃんに殴られ、先生からも説教をくらってる。
下手に長引かせて次に会う時に気まずくなるのは避けたい……
昔のように……なるのは嫌だ
コンコンッ
藤澤「元貴入るねぇ〜…………その顔は決まったみたいだね」
俺の顔を見るなり涼ちゃんが言った。
大森「うん」
藤澤「じゃあ、若井に連絡するから来るまで待っててね」
大森「え、涼ちゃん一緒居ないの?!」
藤澤「え、僕一緒に居なきゃだめなの?!」
大森「だって……気まずいし」
藤澤「元貴、頼ってくれるのは嬉しいけど……ちゃんとしないといけない時はちゃんとしなきゃ……大丈夫、素直な気持ちを言えば……若井はわかってくれる」
大森「でも……」
藤澤「あー!!」
大森「っ!??」
藤澤「い、痛いっ痛たたた……ナ、ナンダカ手ガ急二痛クナッテキタ!じゃ、ちょっと僕先生に診てもらってくる!!」
大森「ちょ、涼ちゃん!………………ありえない……」
バタバタと病室を出て行った涼ちゃん
本当にありえない……
演技が下手すぎる!!!
しかも先生に診てもらうってここdomsubの病院な上、心療内科。
って、まあ痛いのは嘘で優柔不断な俺を強制的に若井とふたりで話させる為の演技。
俺のお願いを断りきれない事を思っての涼ちゃんなりの強硬手段だったのだろう……
にしても下手すぎる!!
大森「……ぷ、……あはははっ」
狙ってした事じゃないとしても、涼ちゃんのおかげで少し張り詰めた心が和らいだ。
まあ、
そんなに広くない病院だ。
どこに居たとしても後数分で若井が来る。
俺はゆっくりと瞼を閉じて若井が来るまでの時間を過ごした。
コメント
28件
大森さん頑張れ! という展開だったのに、涼ちゃんの下手な演技…笑 声に出して笑ってしまいました(?) そんな涼ちゃんも好きですけどね! やはりkurara様のお話は最高です〜!♡
♡♡♡だな、涼ちゃん笑 可愛い。笑 続きが楽しみですね、大森さんイン ザ ビョウシツ 。若井さんハヤクオイデ(?)
最高です💞 まぢで好きです😭