テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
55
校舎裏
沈黙
りゅうきは顔を覆ったまま。
たくとは固まったまま。
「……りゅう、き」
「……」
「今のって、//」
やめろ。
聞くな。
りゅうきの脳内は大混乱だった。
でも。
たくとは止まらない。
止まれるわけがない。
だって。
ずっと好きだった人が。
自分を意識していると言った。
期待するなって方が無理だった。
「俺のこと?」
りゅうき
「っ!!」
図星。
分かりやすすぎる。
耳まで真っ赤。
たくとの心臓が跳ねる。
もしかして。
本当に。
もしかして。
「りゅうき」
「……」
「顔見せて」
「嫌」
即答。
たくと
「なんで」
りゅうき
「無理」
たくと
「なんで?」
りゅうき
「無理やもん!」
可愛い。
まずい。
可愛い。
たくとは少し笑ってしまった。
「りゅうき」
「……」
「俺、期待していい?」
りゅうき停止。
たくとも言ってから驚いた。
こんなこと言うつもりじゃなかった。
でも。
出てしまった。
本音が。
りゅうきの肩が震える。
「知らん……」
「知らない?」
「知らん」
たくとが少し近づく。
りゅうきが一歩下がる。
さらに近づく。
また下がる。
「逃げないで」
「逃げる」
「なんで」
「好きな人が近いけん」
沈黙。
沈黙。
沈黙。
たくと
「え?」
りゅうき
「、、え、?」
りゅうき
(あ、終わった、)
全部終わった。
言った。
言ってしまった。
たくとは完全に固まっていた。
好きな人。
今。
好きな人って言った?
誰が?
りゅうきが?
俺の前で?
りゅうきはもう顔を上げられない。
すると。
ふっ。
小さな笑い声。
「……先輩?」
恐る恐る見る。
たくとだった。
今まで見たことがないくらい。
幸せそうな顔。
「ごめん笑 」
「なにが」
「嬉しくて笑」
りゅうき
「……」
たくと
「すごく」
その顔を見た瞬間。
りゅうきの胸がぎゅっとなる。
ああ。
好きだ。
本当に。
好きなんだ。
たくと先輩のこと。
でも。
まだ告白じゃない。
まだ。
たくとはゆっくり言う。
「りゅうき」
「……ん」
「これからもっと意識してもらえるように頑張るから」
りゅうき
「、、は?」
たくと
「もっと好きになってもらいたいから」
りゅうき
「いやもう」
「ん?」
「なんでもなか!」
もう好きなのに。
本人だけがまだ
これ告白じゃないよね?
まだだよね?
って慌ててる
そしてここからのたくとは強い。
なぜなら。
今まで
脈なし
だと思っていたのが
脈あり
どころか
ほぼ好き
になったから
だから翌日から、
たくとは人生で一番積極的になる
コメント
1件
うわあ、この第6話、胸がぎゅっとなりました……!「好きな人が近いけん」って口を滑らせちゃうりゅうきの慌てっぷりと、その一言で「期待していい?」と踏み込むたくとの距離感の変化、本当に丁寧に描かれてますね。「これ告白じゃないよね?」って内心で慌ててるりゅうきと、確信を得てから積極的になるたくとの温度差が絶妙で、これからの展開が楽しみすぎます。方言が自然にキャラの愛らしさを引き立ててるのも素敵でした!