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そのとき――
ドゥルドゥルドゥルドゥルと少し離れた場所にまたバイクの一団が到着した。新手の敵だろうか? 逃げ回るだけの敵を殲滅するゲームに飽き飽きしていたところだったから、余は歓喜した。
「総長!」
猪狩徹也の声。徹也たち新参の四人組は横浜デビルの四天王と呼ばれ敵対組織から恐れられているそうだ。
残念ながら新手の一団は味方だった。味方のバイクは次々に押し寄せてきて、おそらく二百人以上のメンバーを動員したようだ。
「首都圏連合が総長の家に乗り込んだと聞いて急いで駆けつけましたが、もう手遅れでしたか……」
徹也は周囲の惨状を目にして絶句した。
「手遅れとは何だ? まるで余が負けたみたいに。まあ、いい。ちょうどいいところに来た。こいつら全員積み上げて燃やせ。弱すぎて味方の一員に加える気にもならない。バイクが五百台もあるのだから、五百人燃やせるくらいのガソリンはあるはずだ」
徹也は大きくため息をついた。
「これだから総長を遠征に連れていけないんですよ」
「どういう意味だ?」
「おれたちがこれだけ暴れまわっても警察が手を出してこないのは警察が少年犯罪に甘いからです。おれだって首都圏連合の連中がどうなろうが知ったこっちゃないです。でも横浜デビルのせいでやつらが一人でも死んだとしたら、警察は総力を挙げておれたちをつぶしにきますよ」
「お、おい、徹也。総長に口答えなんてしたら殺されるぞ」
四天王の一人の西冬馬にたしなめられたが、徹也は黙らなかった。
「おれは世界を獲りたいという総長の夢を自分の夢として叶えたいんだ。それなのに、こんなことで夢がポシャったらつまらねえじゃねえか」
徹也に泣きながら抗議されて、余も矛を収めずにはいられなくなった。
「分かった。なるべく殺さないようにこれから気をつける」
「そうしてください。火責めするにしても必ず死ぬ前に火を消してください」