テラーノベル
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ユキ
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ある日の夜だった。
私たちはいつものように家で晩酌をしていた。
テレビでは二人とも大好きだったバラエティ番組が流れている。
笑って。
ツッコんで。
そんな何気ない時間だった。
ヤマはハイボールを飲み終えると、空になったグラスを私の方へ少しだけ押した。
「ハイボール、おかわり。」
少し間を空けて、続けて言う。
「ついでに水も。」
その瞬間だった。
私の中で、何かが切れた。
「……自分でやって。」
静かに返した。
するとヤマは、不思議そうな顔で私を見る。
そして、何気ない口調で言った。
「女がやることやん。」
「俺、そういう女と結婚したい。」
その一言が、胸に突き刺さった。
ああ。
もう無理や。
私は何も言わずに立ち上がる。
キッチンへ行き、コップ一杯の水だけを入れた。
ハイボールは作らない。
そのままヤマの前へ水を置き、自分の席へ戻った。
テレビを消す。
部屋が静かになる。
私はヤマを見て言った。
「……もう、別れよっか。」
コメント
1件
ああ、もう…胸がぎゅっとなりました。 「女がやることやん」って、きっと悪気はないんだろうけど、その一言が積み重なった何かをぷつんと切らせたんですよね。日常の何気ない晩酌の風景だからこそ、余計にリアルで刺さりました。イツカさん、この一瞬の空気の変わり方を描くのが本当に上手いです。