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ユキ
28
「なんで?」
ヤマはそれだけ聞いた。
私は少し息を吸って、ゆっくり話し始める。
「仕事が大変なのも分かる。」
「疲れてるのも分かる。」
「でも……もうしんどいわ。」
ヤマは何も言わなかった。
少し呆れたような顔で、座ったまま膝を抱える。
昔なら、「別れよう」なんて簡単に口にすることはなかった。
でも、よりを戻ってからは違った。
喧嘩のたびに、その言葉が出るようになっていた。
だからヤマも、またか。
そう思ったんだと思う。
でも今回は違った。
私はもう、決めていた。
「今は絶対、一緒におったらあかん。」
ヤマは静かに私の話を聞いていた。
「もし何年か経って。」
「その時に、お互いがまた思い出して。」
「それでも必要やと思えたら、その時に戻ればいい。」
「もし、そんな日が来んかったら。」
「私らは、それまでやったってことやと思う。」
言い終えた頃には、部屋の空気が少し変わっていた。
ヤマもようやく、今回だけは本気なんだと気づいたみたいだった。
コメント
1件
うわあ……このエピソード、胸にくるものがありました。「別れよう」が軽い口癖になってた過去と、今回の静かで確かな決意の対比が、地の文の少なさで逆に際立ってますね。特に「今は絶対、一緒におったらあかん」の台詞、方言が効いてて感情がストレートに伝わってきた。ヤマがようやく本気だと気づくラスト、部屋の空気の変化だけで描写してるところが好きです。連載中とのこと、続きがすごく気になります。