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うわああ第12話もドキドキが止まらなかった…!!😭💕 海斗の「痩せたから抱ける」発言マジで気持ち悪すぎて読んでて吐きそうになった…!!でもそんな最悪なタイミングで現れた栗山弁護士がまさかのヒーローすぎるし、イケメン弁護士に「着手金は笑顔で」ってズルすぎんだろ…!!✨ マリとの価値観の違いもリアルで、美香の真っ直ぐな姿勢に胸が熱くなったよ…!!続き早く読みたい…!!🌸
「やめて! 触らないで穢らわしい!」
「愛子との事をまだ怒ってるのかよ。今のお前なら抱けるから安心しろって。にしても凄いな。本当に高校時代の美香に戻ってるじゃん。俺の気を引きたくてダイエット頑張ったんだろ」
「⋯⋯」
私は返す言葉がなかった。私はダイエットなどしていない。
普通の生活に戻ったら勝手に痩せたのだ。
一日飢餓状態を強いられた上に真夜中に爆食させられる生活。
その生活自体が以上だった。
「郵送した離婚届にはサインしてくれた?」
「離婚なんてする気がない癖に何言ってるんだよ」
海斗の態度が少し甘くなっているが、これは私を引き戻す計算だろう。
離婚というのは外聞が悪く、彼は父を失った私を嫁として受け入れた懐の深い男ということに地元ではなっている。
また無償で使える弱い立場の嫁を手放したくないだけに聞こえる。
「不倫したんだから、離婚でしょ」
「人の過ちを許せない小さい大人になるなって如月先生も言ってたよ」
ここで父の言葉を出す海斗の狡さに吐き気がする。
「良くここが分かったね⋯⋯」
私が神奈川の大学に入ったのは東京には愛子がいるからだ。
正直、もう彼女とは顔も合わせたくはない。
「有名モデルの家庭教師になったって地元で話題になってる」
私は若菜さんの影響力に驚いた。
私自身はフォトスタグラムをやっていないが、周りは結構やっている。
そしてどうやら顔を隠していても、知り合いには分かるようだ。
「それだけで家まで突き止められるわけないよね」
「母さんに言われて探偵を雇ったんだよ。芹沢若菜はうちの大口取引先のセリザワフーズのご令嬢だ。気配りの出来ない嫁が失礼がないように注意しとけって言われてな」
「そっか⋯⋯」
私は胸にナイフを刺されたような気になった。
結婚後、奴隷のように扱われても浮気されても私は未だ海斗に期待していたのだ。
───彼はきっと愛子から良くない事を吹き込まれて私に冷たくしているだけ。時間を置いたら私が恋しくなって必死に探していた。
そんな期待を抱いてしまうのは出会った頃の私が恋した彼に縛られているだけだ。
もしかしたら、その頃から既に彼は私を裏切ってたかもしれないのに馬鹿馬鹿しい。
「次、会う時は離婚届を持ってきて」
「美香⋯⋯離婚はしない。何度も言わせるな」
海斗がピシャリと言う言葉に私は何も言い返せない。
母の言う通り十年別居の事実を作って彼と離婚するしかないのだろうか。
弁護士を雇うお金なんてないし、地元の弁護士が高杉家に楯突くはずがない。
(もう嫌だ)
私がぎゅっと自分のスカートを掴んで俯いてると、私の肩に誰かの手が置かれる。
「初めまして。この度、美香さんの離婚のお手伝いをさせて頂く事になりました。弁護士の栗山政治です」
私は思わず顔を上げて声のする方を見た。
そこには初めてみる男が立っている。
口元の黒子が印象的な色っぽい男で弁護士というよりはホストみたいな風貌だ。
「はぁ? 弁護士? 美香、お前、本気で俺と離婚する気なのかよ」
自分が不倫しても離婚されない自信が海斗にはあったらしい。心底驚いたような表情を浮かべている。
「そうよ。離婚する!」
「ちょっと頭冷やせよ。せっかく玉の輿に乗れたんだから」
「玉の輿? 地獄行きの切符だったよ高杉家の嫁は!」
見知らぬ人だけれど、思わぬ援護に気持ちが強くなる。
私は海斗に対して初めて強く出られた。
「部屋に入って、二人で話そう。にしても、狭そうだな」
外階段のアパートを見上げて海斗がため息をつく。
「部屋になんて入れる訳ないでしょ。帰って!」
「何の権利があってそんな偉そうな口聞いてるんだよ」
いつになく強気な私に彼がキレて、手を振り上げる。
叩かれると思って目をぎゅっと瞑ったが衝撃が来ない。
そっと目を開けると栗山政治が彼の手首をぐっと掴んでた。
「乱暴を働こうとした現行犯です。今、警察を呼びましょうか」
栗山政治の弁護士バッチがキラリと光る。
海斗はつんのめりながら自分の車に戻り逃げて行った。
私は突然現れた初めましての男に頭を下げる。
「栗山さん。本当は初めましてなのに助けて頂きありがとうございます」
「ふふっ、通り掛かりに華麗な女性が困ってたので男のサガで助けただけです。良かったら本当に相談に乗りますよ」
栗山さんは私に名刺を差し出してきた。
私は名刺を受け取るのは初めてで緊張してしまう。
「栗山法律事務所?」
「はい。横浜で主に離婚案件を扱う法律事務所をしています。美香さんの助けになれれば嬉しいです」
私と海斗の会話から私が離婚したくて困っている「美香」という女だと知ったのだろう。
茨城の地元ではない弁護士なら高杉家への忖度がなさそうだ。
「お願いしたい気持ちでいっぱいなんですが、お金がなくて⋯⋯」
「着手金は美香さんの笑顔で大丈夫ですよ」
「な、何言って! スマイルは0円です!」
私は困っている時に現れた彼をヒーローのように勘違いしてしまっていた。
グイグイ来られたら疑えたのに、彼は上手に私と距離をとり待つ姿勢をとった。
「では、ご連絡お待ちしてます」
ひらひらと手を振って、歩いて去っていく彼の後ろ姿を私はボーッと見つめていた。
♢♢♢
騒がしい大学のカフェでスマホを見ながらアルバイトを検索する。
皆友達とワイワイやっているが、私は相変わらず孤独のロンリーウルフだ。
私は今、家賃八万円の大学の近くのアパートに住み、大学の授業料は奨学金で賄っている。
必死に家賃の安いアパートを探したが、近頃は家賃相場が上がっているらしい。
家賃だけでも四年間で三百万円を超える。
食費、光熱費、意外と高い教科書代など考えると、所持金が尽きるのは時間の問題だ。
本当は最低限周りから浮かないように流行の服も買いたいけれど、そんな余裕はない。
指先をトントンしながらそろばん勘定をしていたら、急に手を握られた。
「美香、ちょっといつの時代の人よ」
「脇田さん⋯⋯」
「そろそろ、その呼び方やめて、マリって呼んでくれない?」
「マリ、私、実は昔からそろばんを習ってて⋯⋯」
「そんな話は聞いてなーい! アルバイト探してるの?」
私の隣に座って来た彼女に少し驚く。
普通こういう時は向かいの席に座るというのは私の常識なのかもしれない。
「うん。どうしてもお金が足りなくて」
芹沢若菜の家庭教師のバイトは週に一回。それ以外もバイトをしないととてもじゃないけど金欠だ。
「旦那さん、仕送りしてくれないの?」
「あっ、えっと⋯⋯実は旦那から逃げて来ていて」
私は口籠もりながらも小声で囁く
何となく、彼女には自分の秘密をバラしても良いと思った。
そもそもこの大学で私を唯一友達扱いしてくれているのが彼女だ。
「はぁ? 逃げて来たって、どういうこと? まさかDVとか?」
「DVといえば、DVなのかな」
私は思い起こすのも苦しい高杉家の生活を思い出しながら考えた。
残飯処理、嫁いびり、旦那の不倫。
ドメスティックバイオレンスに該当するような気もする。
「まー、何となく分かるかな。田舎の嫁は地獄だからね。嫁という名の奴隷だから」
マリが何か思い出しながら私に共感してくれる。
彼女は今日も新しいブランドバッグを持っていた。
「マリは仕送りして貰ってるの?」
「当たり前じゃん! 家賃以外に月三十万円は貰ってるよ」
「三十万円? それは多いね。ご実家はキャベツ農家?」
「違うよ。ただの土地持ち」
「そうか。それは強いね」
マリの家は高杉家のような地主なのかもしれない。
月三十万円もあったら、洋服を新調して大学生活に集中できる。
私は彼女が羨ましく思いながらも、彼女の持っているブランドバッグをまじまじ見てしまった。
「⋯⋯仕送りだけじゃ買えないよ。欲しいものなんて」
「あっ、そうだよね。マリは何かアルバイトしてるの?」
私が尋ねると、マリはそっと私の耳に口元を寄せて囁いた。
「ラウンジで働いてるの。これはそこで会った人に買って貰った」
ラウンジと聞いて空港のラウンジを想起したが、ここで言うラウンジとはパパ活女子が行くような場所だろう。
(月三十万円も仕送りして貰っておいて、親に言えないようなことするなんて⋯⋯)
私の中でマリが一気に遠い存在になってくる。
私と彼女は出身が北関東というだけで、全く違う価値観を持っていた。
「美香、お金に困ってるんでしょ。一緒にやらない?」
「えっ?」
「その服とメイクじゃまずいから、服はまず私が貸すし、メイクも教えるよ」
私はどうにか断ろうと考えを巡らす。
『職業に貴賎はなくても金の稼ぎ方に貴賎はある』と芹沢慎也が言っていた言葉が蘇る。
「そういうとこで働くのは良くないんじゃ。就職とかする時にバレたら不利になるよ」
確かキャバクラかクラブで働いていた事が露見して内定が取り消しになったアナウンサーがいた気がする。
「美香、キャバクラとかとラウンジは違うよ。異業種交流というか人脈も増えるし、視野も広がるよ。美香は少し広い世界知った方が良いって」
呆れたような言葉を掛けられてカチンと来てしまった。
確かに私は狭い世界しか知らないと自覚がある。
だからと言って爛れた世界を知って大人ぶられるのは気分が悪い。
「私は人に顔向けできないような事はしたくない。マリも辞めた方が良いよ」
「何それ、人がせっかく親身になってやったのに」
マリはムッとした顔をすると、席を立ちカフェを出て行ってしまった。
私は思わず頭を抱える。マリにはマリの価値観があるのに、どうして全面的に否定してしまったのだろう。
彼女自身も、少し後ろめたさがあるから私に耳打ちしてラウンジのバイトを教えて来た。
それは私がお金に困っているから、何とかしてあげようとしてくれていたのだ。
「待ってマリ!」
私は慌てて立ち上がって、マリを追った。
カフェを出たところで彼女を捕まえる。
彼女は驚いたように私を見た。