柚香「誠一さんお風呂行っちゃったな」
「綺麗なお家…」
「好きなようにか…」
誠一「出たで〜」
柚香「あの…誠一さん…」
誠一「どうした?」
柚香「…やっぱりなんも無いです」
誠一「…なんでも言いやできる限りなら俺が叶えたる!」
柚香「…あの!絵…が描きたいです…」
誠一「!そうか…なんか欲しいもんとかあるか?」
柚香「…スケッチブックが欲しいです」
誠一「おっし!明日買いに行くか!」
柚香「ありがとうございます!」
誠一「こういうのはどうや?」
まどか「…ねぇ」
柚香「いいですね…」
まどか「ねえってば」
誠一「なんでも買ったる!」
まどか「ねぇ!なんで僕まで!?」
誠一「そりゃあ元画家なんやから」
柚香「すみません」
まどか「はぁ…でどんな絵が描きたいの?」
柚香「どんな…?」
まどか「うーんじゃあ鉛筆?絵の具?クレヨン?色鉛筆?他にもあるけど」
柚香「鉛筆です」
まどか「じゃあこれとか」
「なんで鉛筆で描こうと思ったの?」
柚香「お母さんが…描いてたので」
「よく分からないんですけどまあまあ有名なようで」
まどか「もしかして…小鳥遊…これか」
誠一「知っとんのか?」
まどか「まぁ少し」
柚香「お母さんはすごいなぁ…」
柚香「今日はありがとうございました」
まどか「うんじゃあ頑張ってね」
誠一「他にしたいこととか欲しいもんあったらいつでも言ってな!」
柚香「はいありがとうございます」
…初めて絵を描く
スケッチブックに鉛筆を滑らせる
「楽しい」
自分の手によって何かが生み出されるのが楽しくてたまらない
「…できた」
誠一「おっ描けたんか?」
「見せてもらってもええか?」
柚香「はい大好きな景色を描きました」
誠一「!これって…」
そこに描かれていたのはスワロウテイルの日常であった
柚香「この景色が大好きでいつかそこに入れたらいいなと」
誠一「明日学校休みやんな」
柚香「?はい」
誠一「一緒に行くか!」
柚香「…???」
健三「おや、もう来てしまいましたか」
誠一「悪かったな…早う来て!」
健三「あら?柚香さんではないですか」
柚香「…お、おはようございます」
「えと…ごめんなさい」
健三「いえ謝らなくていいですよ」
「どうせ誠一くんが連れ出したんでしょう」
誠一「柚香ちゃんが来たいって言うから連れてきたんや!」
柚香「…」
誠一「あんな曇りなき眼でこの絵を見せて「私もいつかそこに入れたら」とか言われたら連れてきてまうやろ!」
健三「それは惚れた弱みと言いますか…」
「柚香さん誠一くんの言っていることは正しいですか?無理矢理ではないですか?」
柚香「は、はい…」
「わがまま言ってすみません」
健三「いえ柚香さんがしたいのなら構いません」
誠一「俺にだけ厳しすぎるやろ!」
まどか「ん〜騒がしいなぁ」
柚香「お、お邪魔してます」
まどか「絵は?」
「描けたの?」
柚香「はいっ!とても楽しかったです」
まどか「どれどれ?…………」
誠一「恵美?」
まどか「うん上手く描けてるね」
健三「これは…中々」
柚香「あ、ありがとうございます」
誠一「柚香ちゃんもう中に入れとるんやないか?」
柚香「え?」
まどか「誠一の大切な人を僕達が邪険に扱うわけないだろ?」
柚香「…そう…ですね」
「誠一さん…私幸せです!」
誠一「!…そうか」
誠一「“柚香”」
柚香「!忘れてましたね…」
「すみません今は“誠一さん”でいいですか?」
誠一「ええよ」
「柚香俺も幸せや」
「柚香のおかげやで」
柚香「…はい!」