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…やっとだ!
連休があけて他のコース連チャンも終わり、やっとゆうさんのコースを廻れる…!
朝荷物があるのを見つけていたので配達に出る前からテンションが上がった。
急いで他のお宅をまわり、午前の一番最後にゆうさんの家に向かった。
相変わらず、インターホンを押す前が緊張する。
玄関から出てきたゆうさんは相変わらず綺麗で可愛かった。
「ありがとう!」と言いながらにこっと受け取ってくれる。
なんか話さなきゃ終わっちゃう…!
と思った時にゆうさんが小さい可愛らしい紙袋を渡してきた。
「これ、お菓子焼いたから良かったら食べてー。手作りとか苦手だったらポイっとしちゃって〜!」
手作り?!?!
『ありがとうございます!!絶対食べます!!』
めっっちゃ嬉しいどうしようニヤニヤする…!
こないだ手作りがいいと言ったからくれたのだろうか…。
いや、それはあまりにも自意識過剰か。とにかく嬉しい…!!
『お菓子作れるのすごいですね!』
「趣味なの〜!食べるのが好きだから(笑)自分で作ったらいっぱい食べれるな〜って!」
食いしん坊が可愛いと思った。
やっぱり笑う時は口元を隠してふふ♪と笑う。その仕草と笑顔が好きだ。
「じゃあ頑張ってね」と言いながらゆうさんが片手をあげた。
俺も片手をあげて、ハイタッチのような形になったあとに手を握られた。
…
ーーーえ?!?!
もう頭の中は『????』でいっぱいだ。
ぎゅっと恋人繋ぎのように指を絡められてる。
俺のこと好きなの?
抱き締めていいの?
これはどういうこと?
頭の中がパンクしそうだった。
ゆうさんの方を見た。
少しうつむき恥ずかしそうな照れたような顔をしている…
かわいい…。
…キスしたい。
頭の中が欲望だらけになったが、「今はまだやめろ!」という声が自分の中から聞こえた。
ここで拒否されたら二度と元に戻れないぞ?
もし嫌われたらどうする?
単に挨拶のつもりだったら?
軽い奴だと思われたらどうする?
マイナスな事がいっぱい浮かんだ。
でもキスしたいという気持ちも消えなかった。
このまま手を握ったまま抱き寄せようか。
色々考えていると力強く手を握られ「じゃあ頑張ってね!」と言われた。
手をパッと離された。
俺は『行ってきます!』と言い残しゆうさんの家をあとにした。
トラックに戻り、自分の右手を見る。
さっきまでゆうさんと手を握っていた…。指も絡んでいた…。
心臓が締め付けられるのを感じた。
キスしたかった。
もらったお菓子の中を見ると、きれいに個包装されたクッキーと可愛いカップに入っている生チョコが入っていた。
売り物みたい。
一つ一つに乾燥剤までついていた。
几帳面なところが出ているようだった。
食べたいけど…食べたら無くなる。勿体ないなぁ…。
なかなか食べれずにいると、
「おつかれー!なにそれ!寺田お客さんにもらったの?!頂戴!俺腹減ってんの〜!」と別のコースの同僚に言われた。
いつもお客さんからのいただきものなどこいつに横流ししているからだ。
『無理!!これ俺のだから!1個もやんねー!』
普段お客さんからもらったものなど食べないし、あげないということが今までなかったからびっくりしていた。
余程腹減ってると思われたかもしれないけど、
彼女の手作りを誰にも食べさせたく無かった。
クッキーも生チョコも売り物みたいに美味しかった。
いや、売り物以上に美味しかった。
食べ終わったあともさっきの出来事をずっと考えていた。
彼女も俺を思ってくれているのだろうか…?
いや、期待すると違ったときに余計傷つくからやめよう。
でも何とも思ってないやつの手を握るか?
期待しては否定してを何度も繰り返した。
恥ずかしそうな彼女の伏し目がちな顔が頭から離れなかった。可愛くて可愛くてめちゃくちゃにしたいと思った。
…俺はなにを考えてんだろ。
こんなこと考えてるなんて知られたら気持ち悪がられるだろうな。
とりあえず期待するのはやめよう。
…そう思っても1日中その事が頭から離れなかった。