テラーノベル
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校舎裏の道を歩く、ヤクザ衣装のいるまとポリス衣装のひまなつ。
「……俺ら、めっちゃ目立ってね?」
「……それな……てか、俺、着替えたい……」
不機嫌そうに顔を逸らしながら呟くひまなつ。
露出の多い制服型ポリス服。ショーパンを履いているとはいえ、太ももも腕も剥き出しで、どう見ても注目の的。
「……目線、刺さってる」
ぷいっと視線を外すひまなつの横顔が、ほんのり赤く染まっていた。
「かわいすぎんだろ」
いるまの声は低く、甘く、抑えきれないほどに蕩けていた。
指先が伸び、ひまなつの頬をそっと撫でる。
「わっ……」
びくっと肩をすくめるひまなつに、いるまは笑った。
「すーぐ拗ねるし、すーぐ照れるな。
──俺の恋人、最強にかわいいわ」
「……っ、うるさい。……こっち、来て」
そう言ってひまなつは、するりと手を伸ばし、いるまの手首を引いた。
階段裏の、人通りの少ない場所。陰になった場所に2人は並び立つ。
「ここでなら、……していいから……」
ひまなつは目をそらし、小さくそう告げた。
その横顔はどこか不安げで、それでも――どこまでも甘えたがっていた。
「素直じゃねぇな、ホント……」
いるまは笑いながら、ひまなつの顎に手を添える。
軽く持ち上げるようにして、強引に視線を合わせ、唇を重ねた。
1回、2回、3回──少し乱暴に、唇を啄む。
ひまなつの背に手を添え、壁に押しつけるようにして、さらに深くキスを重ねた。
「あっ……ふ……ん……」
鼻を鳴らし、軽く息を漏らすひまなつ。
その唇は少し濡れ、目はとろけている。
やがて、ひまなつの両腕がするりといるまの首に回された。
ぎゅっと掴むように引き寄せ、今度はひまなつの方から強く、激しくキスを返す。
「ん……ふ、んっ……」
湿った音が響き、息と熱が混ざり合う。
「なつ……やっべ、……マジで、俺、我慢きかねぇ……」
「……いーよ、今日は……全部、おまえに任せる」
恥ずかしそうにそう言って、ひまなつは目を閉じた。
その声にいるまはたまらず、もう一度深く唇を塞いだ。
人知れぬ場所で交わされた、付き合いたての2人だけの、
熱く甘い口づけ。
──「あぁ、こいつが、俺の全部だ」といるまは、しみじみと思った。
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