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―翌朝―
朝なのにぬくぬくしてて温かい。これが夢なら覚めないで。ずっとこのフワフワに浸っていたい。
「おい、起きろ。」
「ダメ……まだ寝るの……。」
「それならキスして起こしてやろうか。」
「へ……？」
少しずつ瞼を開いていくと、目の前に如月さんの顔があった。そうだ、これ夢じゃなくて現実だったんだ……。
「起きたか？」
「起きた。」
「起きました、だろ。これからお前が敬語を使えなかったときはチェックをつけるからな。3回チェックがついたらお仕置きだ。」
「そ、そんなの嫌だ！お仕置きなんて怖いもん。」
「はい、1回。」
「ず、ずるいよ……！私敬語なんて分からないのに、いきなりそんなこと言うなんて……。」
「はい、2回目。」
「だから……」
「お願いしたいときは、教えてください、だろ？」
「お、教えて…ください。」
「ん。じゃあ、今日は言葉遣いと勉強からだな。お前勉強経験は…？」
「ない…です。」
「勉強見ながら言葉遣い直すか。まずは国語と英語からだな。ちょっと待ってろ、僕が使ってた教材出すから。」
私のことを玩具だって言うのに優しくされるとなんか調子がくるう。それともこれが玩具と奴隷の差だっていうの…？
「あった。これ、読めるか…？」
「3…？」
「そこからか……お前、勉強経験ないって言う割には意思の疎通はできるんだな。単に教育を受けられなかっただけみたいだから僕が全部教えてやる。」
なんか遠回しにバカにされた気がする。
でも、勉強を…何かを人に教えてもらえるというのは久しぶりで少し嬉しい。
「いいか、教科書もこんな分厚く見えても全部をやるわけじゃない。物語なんか読んでも必ずしも日常生活に役立つわけじゃないからな。まずは漢字と言葉を教える。」
「如月さん、如月さんは私をオークション…で落札して…くれましたが、今までの人にも、こうやって勉強を教えてくれたですか…？」
「……。」
少し戸惑ったような顔をする如月さん。こういう顔は、昔お父さんとお母さんもしていたことがある。あの時は確か、私に知ってほしくないことで……話を逸らされてしまった。
如月さんにも話したくないことがある…？隠したいことがある……？
私が触れてはいけないものがある…？
「さあね。お前は知らなくていい、そんなこと。お前は僕の暇さえ潰してくれればいいんだ。余計なことは考えるな。」
「はい……。」
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