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ニキ総受け前提りちょニキDom/Subユニバース
ニキ→Sub
しろ、はち→Dom
りぃちょ→Switch
キャメ→ Normal
ニキ視点
「俺ひとりぃ…?」
編集鯖に入り込んでみて初めに感じたのは、誰も居なかったことへの面白みのなさ。ちょっかいをかけに来たのに誰ひとり居ないことはあまりにも不平的で面白くない。
そして後に来る感情は
「さみしい」
それはきっと、俺がSub故。
寂しいと思ってしまったのは直近で構ってもらいすぎたが為の退屈の現れ。元を辿れば、俺が全面的に悪いのだが…。
Subであることは元々、ボビーには言ってあった。ひょんなことから彼がDomであることを知った時、都合がいいからと所謂セフレに近しい関係を築いた。お試し程度のその関係が変化したのも間もない頃ではあったような気がする。
とある日の女研メンバーでの飲み会で18号含めた全員が集結した事実に柄になく舞い上がり、羽目を外しすぎてしまった。
数時間も経てば俺はすっかり酩酊してしまい、その時の俺の思考回路はショート寸前で、自制できる訳もなくうっかり口を滑らせた。
――俺、Subなんだけどさ
正面に居たボビーがえ、言うんだ?という顔をしていて数秒後に情報処理を済ませた俺は俄然酔いも覚め、やらかしたと思った。
――意外だね。
――へえ、じゃあニキニキは褒められたいんだ?
やらかしたと思ったのもつかの間。俺の弱みを握ったことを良いように次々に交差する言葉の輪。そのままあれよあれよと話は進んでいき、俺が口を挟む間はなかった。
そうして奴らは最終的に、今後は毎日俺に構おうと決意したらしい。
当たり前だが、その日を境に俺に余計話しかけてくるようになった彼ら、彼女。元から話していたボビーに加え、新たに18号もDomであることがそのうち判明し、Commandによる服従は不服ながらも第二の性としての欲は構われるだけ膨大化していく。
それが良くも悪くも俺に働きかけるもので、誰も構ってくれやしないこの状況は非常に退屈なのである。
「………編集しよ」
良き仲間達のことを考えてしまうと孤独感が誇張しはじめてしまう。いつからこんなにも寂しがり屋になったのかという疑問を胸に秘めて、普遍的な日常に溶け込んでいった。
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りぃちょ視点
「んーっ…!」
席に着いては、ぐっと背筋を伸ばし、強ばった骨が軋むのを感じる。
今日はなんだか気分上々で、コンビニついでにとしばしば夜道を彷徨いていた。
それでも、久方ぶりに外出すると大層な運動もしないこの体は少しばかり疲弊しやすい。でもまあ、適度な運動は集中力向上への糸口だと思えば、なんてことは無い。そう考えているうちにも俺の活動エネルギーが満ちていく。
そう、俺にしては珍しく編集する気力が湧いている。
となれば編集鯖に顔を出そうと思った。そのために起動させた画面には漆黒の艶髪に王冠を乗せ、王子様という響きがしっくりくるアイコンがひとつ。
刹那、頭を過ったのはその美貌に見合わない、ガキ臭い彼の性格。
「ニキニキうぇーい」
「りぃちょ!!」
跳ねる入室音に続くように彼にちょっかいをかければ、喜びが隠しきれない声色で食らいつく。本当に俺よりも歳上かと疑いたくなるほどに無邪気な子どものよう。
「りぃちょは何しにきたん?」
「えー?それ聞いちゃうー??」
「別にそれほどじゃ……」
「しょうがないなぁ」
「いや、だからさ…」
「今日は寂しがり屋なニキニキを構いに来ようと思って」
「はっ?……なッ!!」
ビンゴ。どうやら図星のようで、あたふたと言葉を吐き出す。これ程動揺するとは意外だ。
「あれれぇ、ニキくん図星なんでちゅかあ??」
「そ、んなことねぇし!!!」
お得意のキレ芸も程々に、そのうち意気揚々と俺に話し始める彼は早々に寂しかったと無自覚に零す。どうやら"お得意様"との都合が合わないのか心做しかテンションも下がっているように感じる。
それは彼がとにかく褒められたいという性を持ち合わせているから。当たり前だけれども、Normal のキャメさんやSwitchの俺では褒めたとて、与えられる幸福の量も質もDomと比較すると桁違いに少ない。それ故に彼はよくせんせーとじゅうはちに構ってもらうことが多い…と思う。
それはそれとしてつまるところ、彼は欲求不満な訳だ。彼が欲求を満たそうにも、生憎ながら本日はお得意様同士でどうやらラジオ番組とやらにゲスト出演しているらしく、時間的にも今すぐ終わるとは考えにくい。
「りぃちょ」
そんな事を頭の片隅に彼と話していると突如、名前を呼ばれた。彼に呼ばれてびくりと反応してしまうのは、何となく彼の意図が読めたから。
彼の息を吸う音を耳に挟んだ。
俺もまた、固唾を飲む。
「今だけ俺のDomになってよ」
パチ、と俺の中のSwitchが切り替わった音がした。
―愉快な声色に囁かれて暫時、彼の虜になる。